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MX-1000 Homage(オマージュ)。

前回のRev.02はこんなf特でしたよね。

ー Rev.02 特性Fixの図 ー

温かくまったりした音でこれも悪くはないんですが、音場型なのだから高域はもう少し繊細・高分解能で爽やかな切れ味を見せてほしい。せめてあと3dBは能率を上げたいので、背面を開けてXoverをいじります。

Xover再調整

シミュレーターをいじっていて、シミュレーションと大きくずれた原因がわかりました。なんと、W3-2141の能率設定で-3dBのパッドがあたっていたのです。これでは能率が揃うはずもありません。減衰設定を外して、シミュレーションをやり直しました。

今回Xoverで変更するのはグリーンでマーカーした部分:

高域の減衰調整抵抗を、12Ωから半分の6Ωへ
加えて、高域フィルタに0.33uFを加えて、いっそう形を整えます。これらによって、アコースティッククロスは4.5~4.7kHzへ微量下降。
また、フルレンジの直列保護抵抗に0.9mHを加えました。これはBSCです。

なんとか誤魔化せないかなと淡い期待がありましたが、まったくごまかせなかったので、BSCを入れて中低域のフラットネスを改善します。

昔からBOSEのフルレンジシステムの中にはインダクタと抵抗で構成された補償回路が入っていました。日本ではこれを見て模擬した、PSTなる妙な名前で布教がされたようです。
でもこれ、ただのBaffle Step Compensator (BSC)ですから。当時の日本では1970年代からあるはずのDiffraction Lossの常識、BSCの常識は普及していなかったのです。低域増強の仕組みと勘違いされてしまったようです。BOSEは常識的ですから、フルレンジシステムの中にもBSCを入れます。拘ったり/こったりしているのではなく、これは必要なものです。

FOSTEXの1mHにするか、Daytonの0.9mHにするか、迷いましたが0.9mHにしました。大きさが全然違うのです。小さくて収納できるDaytonにしました。DCRが0.71Ωもありますが、0.9と1.0mHで特性差は微差なので。

こちらが改修後。
いっそうドーピング感の強いXoverとなりました。これまで付いていたキャパシタを移動して、BSC用のインダクタを追加。付いているのは20AWG(極細)の0.9mH。奥に見えているFOSTEXの1mHは16AWG.だがデカい。

模擬特性がこちら。1kHz-10kHzのクロスオーバー周辺が一層整いました。

とてもマトリクススピーカーとは思えないゴチャゴチャ感ですね。
これで更に特性は整うでしょう。整えば本当に音が良いのか? そのへんがオーディオの難しさです。


改造前:


改造後:

間違いさがし?

改良後の実測

クロスオーバー調整が完了しましたので、早速特性を撮り直してみましょう。

ー Ver.A Rev03 のヘッド特性 ー

赤が5msの疑似無響。
オレンジは500Hz未満が有響のBlendedです。
サブウーファーは鳴らさずヘッド単体の特性です。

あっっれええ~? 前回からあまりカタチが変わっていない様に見えます。高域のレベルが上ったように見えない。最高域だけなら少し上がったか?さらに4.2kHzのディップはむしろ目立つようになり、これは改悪か?聴感上もこの通りで、高域が繊細でシャープになったという印象はありません。前とほぼほぼ同じかな。。。

マトリクススピーカーはホント難しいです。シミュレーション通りになりません。理由のひとつが差信号のドライバーです。テスト信号を印加すると、左右の差信号ドライバも一緒に鳴る。おまけにそのうち1本は完全逆相で鳴る。Sim通りになんかなりっこないのですね。

構想段階では「ご立派」だったこのスピーカー、このまま行くと壮大なる失敗作になってしまいそうですね。聴感で「ぜんぜん聴けない音」というわけでもないんです。ただ、夢のなかで鳴っていた音がなかなか鳴らない。ANDROMEDAは私の夢想を軽々オーバーライドしてきたが、コイツはそうは成らなかった。

MX-1000H、Ver.Aで初期調整はほぼ終わり。残るは中低域改善の調整ですが、ドツボにハマりつつあるので(^ ^;)、いったん休止して他のプロジェクト進行へ移ろうと思っています。

今もMX-1000H + WiiM Ultraで Michael Hedges “Aerial Boundaries”全曲を鳴らしながらこれを書いています。実に相性がよくゴキゲンな音です。ただ、、、「MXから聴きたかった音」はこういうんじゃ無いんだな。オーデオマニヤの業は闇が深すぎてホント困りものです。


【この連載の目次】

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投稿者

KeroYon

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