miniDSP + MOS-FET + Gammaその後… – らうとしゅぷらっひぇん@びちだすとらーだ

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前回のつづき：

でもですね、良いことばかりじゃ無いんです。この音は余りにも赤裸々すぎるし、キレキレ過ぎている。聴者に緊張感を強います。温度感が下がりました。気温にして10度は下がった気がします。これではまるで・・・そう、GammaじゃなくてBetaを聴いている様です。温度感が下がったせいか、ステージもムワっというよりは少しひんやりした空気感に。女性の濡れた肉声が、ロボのように感じる瞬間もありました。最近のGammaは甘美でとろけるような味も出して来ていたのですが、今は少し冷徹で筋肉質でドリドリドライブの掛かった音感に変貌しています。当たり前ですが、アンプだけで音は決まらずフロントエンドでも大きくフレる、という事実を思い知らされました。

・・・という愚痴、タラタラで前回終わっていましたね。

しかしただのminiDSP調整不良でした。一挙解決です。
詳しいプロセスは端折りますが、ミッドバス側の低域側スロープと、Xbassの高域側の嵌合調整不足です。少しいじっただけで一挙に以前のGammaの美質が蘇りました。

しかしそれでもこれは・・・やっぱり前と音が違う。
フロントとアンプ、双方のS/Nが一斉向上した事が大きいかも知れません。とにかく見通しと解像感が以前と違う。以前のGammaの良さはそのままで、本質が数段ジャンプアップした感じです。・・・そう書くと、では以前はどんなにゴミのような音だったのか？と思われるかもしれません。でも本当にそうかも。自分の拙い経験では、過去経験最高の音が出ている

・・・ちょっと前からそう感じていたのですが、上には上がある、あった。今また、アンプが完成したときを越える幸せを噛み締めています。本当に、こんなに幸せで良いんだろうか。ワクワクが止まらない、今は何を聴いても楽しい、身体が動いてしまうのを停められない、合法のオーバードーズ。これもいつかは飽きたり不満が噴出するのかもしれませんが、少なくとも、今はまさに「蜜月」というに相応しい時を過ごしています。

思えば、自分のオーディオこの20年は空白の期間だったかも知れません。色々やってみて部分的に良くなったりはするんですが、良くなったり/悪くなったりトレードオフと凸凹の繰り返しで、心底満足したことなど一度もありません。常に理想の音と大きなギャップを感じる。ジレンマ常態のオーディオでした。高額な製品も買ってはみるものの、それでギャップが埋まることもなし。それで探究心も熱意も冷めてしまったりね。

しかし今出ている音は不満がまったく無く弱点を探すことが難しいです。それどころか、モノによっては自分の願望や妄想を越えてくる。

（まだ保護シールを被ったままのFlexEight笑）

それと、例えばminiDSPを使い始めたばかりで、ブツブツ不満点も漏らしていたところ。翌日にはアッという間に出口にたどり着いてしまったというこの事実。これって、普通のオーディオコンポーネントやケーブルをこねくり回していても、こんなに簡単にたどり着けるものなんでしょうか？音がちょっと不満な場合：　ケーブル変えて、セッティング変えて、アンプ変えて、フロントエンドも変えてみて・・・否定はしませんし可能なのかもしれませんが、常に手探りで、気の遠くなるような行程です（私がそうだったから。）

miniDSPのことを紹介すると、グラフィックイコライザーのような何か、と勘違いされそうで怖いんですが、より簡潔にシステムを線形に近づけられ、音質さえも好みに近づけられる、まさにパラダイムシフトだと、私には映っています。安直に他人には薦めませんけどね。

それと当たり前ですがアンプ暖気・・・！　2時間くらい暖気していると音がギュンギュン良くなってゆくんですね？これじゃ視聴を停められないじゃないか。以前はアイドル消費560Wのパワーアンプを24時間365日常点で月間電気代が6万円など馬鹿丸出しだった私ですが、その当たり前の重要性や価値感を再認識。（ま電源切りますけどね、今は。）

10cc : I’m not in love

別に優秀録音でもなんでもないですね、皆様よくご存知の古臭くて凡庸な録音。子供の頃から好きで何百回聴いたかもよく判らない手垢にまみれた名曲。が、その曲が今日は聴いたことのない新しい音楽のように鳴るんです。物凄い音で。信じられない、こんな凡庸な録音が。いや、これは録音が凄いんじゃなくてオーディオが凄いわけでもなくて、この曲が凄いのだと思う。ケヴィンやグレアムがこんな音で聴かれることをイメージできていたのかどうかは知らないが、今、この曲をこの音で聞けた自分はラッキーだと思いました。ギターのカッティングがこんなに鮮明に分離したことなどない…それ以前にこんな存在の主張をはっきり認知したことがない。そして何百という無限コーラスが虹色に分離し、空間浮遊し、そして溶け合い、余韻が消え入るその幽玄な様はもはや音楽も越えており、筆舌に尽くし難い体験でした。

これまで自分の妄想する理想音像にぴしゃり結像するのがオーディオの終着駅と思い込んでいた。しかし、その遥か遠点に自分の想像を越える「天竺」がちらちらと見え/隠れして困惑するのが今・・・すみません何言ってるのか支離滅裂ですね。

・・・ということで、Gammaはいったんクローズです。
憂いを残さず、自信をもって次のBetaへ進めます。

物理特性や論理的妥当性と、生理的な心地よさの嵌合・・・というのが私的な命題となっており、その線での探求は今後も続けます。
今までBetaでは出せなかったような音質も出してみたい…。
（でもその前にチョット、、、KENWOODさまをお片付けします）