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MX-1000 Homage(ほまげ)。
DSPへの移行とマルチアンプ化で音質が大躍進を遂げています。
最終回が近いこともあり本日も大大長編 (…. げっぷ。)

試聴パーティー

Jan Akkerman – Passion

生々しい。分かりやすく言えば「迫力がある」という言い方になるでしょうか。とてもアトラクティブな鳴り方です。音が前にぶっ飛んでくる。威圧感。タッピングや運指などをはじめ、繊細なアーティキュレーションがこれでもかと解像して立体的に聴こえます。音数も増えましたが、どちらかというと細やかな立体感が出たことで音が増えたように感じるようです。演者はかなり前方に出てきます。

全体として、MX-1000HはANDROMEDAよりも音像が前方に出る傾向があります。位相を人為的加工されたポピュラー系は除き、ナチュラルな録音では音像やステージはラウドスピーカーよりも後方に展開するのが正しい姿とされています。

そうかと思うと、かなり遠点に音像や音場が引っ込むこともあり、ANDROMEDAでも奥行き表現は多彩ですが、MX-1000Hはさらにその前後感を誇張するような動きをすることがあるようです。

迫力が出た反面、聴きようによっては荒々しく乱暴な/脚色誇張された/歪感のある、といった感想も出てきます。それでも私は旧版Ver.Aとどっちが好きかと問われたら迷わずこちら(Ver.B)を選びます。

Trk6 の Lend Me Your Voice

ではあまりの生々しさに背筋が凍りつく。おそらく声はモノラル収録とは思うが。。。それでも「そこに居る!」という視覚感。体温と白い吐息までが見えるようで唇に触れられそうで、稀有な体験になった。

楽音も素敵だが拍手が凄い。生々しい。

地獄のような奥行き感。細かい音が不気味に分解する。でも暗騒音も含めた幽玄な雰囲気や壮大な空間感ではANDROMEDAに勝てないかな。

物凄いスケール感。
超大型スピーカーが鳴ってるみたい。ラウドスピーカーの大きさと出来上がるサウンドステージの尺寸が合いません。ただし猛烈迫力なのでもっともっと音量を… となるが、カンタンに破綻してしまいます。ローエンドに歪み感もあり。

モーレツなウッドベース。
凄すぎて若干誇張されたイメージかもしれない。乱暴な感じ。オーバーシュート感があるし、ANDROMEDAに比べるとやや歪み感もある。低音は自然さが足りず、6th BPの原理限界は感じる。

温かな空気感で部屋が埋め尽くされる感じです。
これもラウドスピーカーの大きさと出来上がるサウンドステージの尺寸が合っていません。

こいつはスゲぇ。。。
頭部の周り。耳の周り。後方定位。全方位で部屋が音で埋め尽くされる感じ。
サラウンドスピーカーの設置が要りません。1本で完全なサラウンド感。

こういうのがやっぱり苦手かな~、どこまで行っても勝てない。低域が17Hzまで伸びているからスケール感は在りますが、部屋ごと揺さぶったり全部押し流すような圧倒感では小型なり。物理限界があるのです。あとオルガンペダルはクライマックスで歪みますね。音量が足りないのです。

オケは他にも聴いてみましたが、全般的にオケ系が苦手みたいです。綺麗には鳴るんですがナマ演奏感がない。

Ver.Bはひとしきり聴いたので、他の結線方法も試してみます。

<Ver.B>

Ver.C を聴く

Ver.B以降は全部マルチアンプ方式なのですが、次のような差分を考えています。

<DSPマルチアンプ方式>

Ver.B : センターチャネルがMTMの2way
Ver.C : センターチャネルがフルレンジ2本のみのクロスオーバーレス
Ver.D : センターチャネルがフルレンジ1本のみのクロスオーバーレス
Ver.E : センターチャネルがMT(1本ずつのシンプルな)2way

Ver.Bは聴き終わりました。次はダッシュボードを触るだけで簡単にできるVer.Cを試します。

<Ver.C>
TweeterをMUTEして、フルレンジのXoverやBSCもディレイも何もかもを外します。つまり、フルレンジのみで補正もしていないシンプルなマトリクスにします。ただし、能率を揃えるための-6dBパッドだけはそのまま残しておきました。

これがVer.Cのセットアップです。
C-Midの-6dBを+0dBにすればそのままVer.Dにも使えます。

CやDは昔ながらのパッシヴ・マトリクススピーカーに近い構成です。旧来からのファンの方なら、ネットワークも入っていないし余計な補正も入っていないこのC(またはD)が一番ピュアーだし音も良いと想像しますよね?

・・・
でも結論から先に言うと、まるでダメでした。
試聴を続ける価値もなしです。

生々しさは全く無くなりますし、なんといっても広大なステージ感や音像の分離はまったく無くなります。一挙に音場が狭くなりスピーカーにへばりつく感じ。
なにひとつ凄みがない。凡庸で平板でフツーの音になってしまいます。

驚いたことに、このMX-1000Hの音質を形成する最重要な要素として、この安物ファブリックドームトゥイーターが働いていたんです。

ほんの遊び心と気の迷いで着けたものですが、もしこれが無かったらと考えるとぞっとします。単に見た目が面白い「だけ」のプロジェクトとしてオワっていたかも知れません。

Ver.D を聴く

<Ver.D>

センターをフルレンジ1発にしたのがVer.Dです。
一般的なマトリクススピーカー4本=センター2本よりも、位相干渉、ビーミング、ロービング、あらゆる点で優位です。その優位性が音質面でも働くか。

あ、これは一聴、Ver.Cよりはマシです。音色がスッキリしているし音場は広がりを見せるようになりました。
やっぱり。。。センター (L+R) チャネルが2本のドライバーって良くないのですね。

L+R = 1
L-R = 1
R-L = 1

が理想と判りました。ということは始祖たるMX-1も駄目って事ですね。
ただ・・・良くなったとは言ってもVer.Bに比べるとやはり駄目駄目です。悪くはないが、フツーの音。

繊細さや微妙な気配が全く無くなってしまったし、まるで解像しないし切れ込まないし、生々しくもありません。音像は後方へ遠ざかるばかりか、茫洋としてしまいます。3D映像的な感触がなくなり、ただのバランスが良くおとなしめの音になりました。(BGMにはこちらの方が良いかもです)
何より驚いたのは、あれだけド迫力であった重低音までが非常に大人しい音調になってしまった事です。優秀な高域は低音部を改善するとは言われるがまさにそれ。

Ver.D。これだけ聴いていれば満足してしまったかもしれませんが、一度Ver.Bの音を知ってしまうと構成がさほど違わないのに天地ほどの違い。もう元には戻れません。

Ver.E を聴く

<Ver.E>

最後。これが大本命なんじゃないかとの噂もある、シングルドライバ2wayでのマルチを試します。前稿で示したとおりで、MTMってコヒーレンスでは必ずしも有利じゃないんですよネ。
Ver.Eの場合はクロスオーバーの再調整・最適化が必要です。MTMでなくなると音響重畳状態も変わります。同じスロープでは上手く繋がりません。素直にLR4でも良いかもしれません。

というわけで、クロスオーバー再調整もありますし長くなりましたのでこの先は次回へ譲ります。

あと1回か2回で、MX-1000Hシリーズも最終回になりそう・・・長かった。気づけば自己最長のシリーズとなってしまいました。(制作期間だけならAndromedaの方が全然長いのですが)



【この連載の目次】

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投稿者

KeroYon

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