LINE Clova編。
完成しましたので、自作スピーカー同様に特性を疑似無響計測 (Quasi-Anechoic-Measurement) しておきます。
実測特性
カンタンに、結論から。

- 青はトゥイーターの軸上。
- 紫はトゥイーターの軸から90度外方向:つまりリスニング方向になります。
- グレーは暗騒音レベルになりますので其処に達している特性は無視してください。
Clova WAVEは左/右のトゥイーターがちょうど180度で正対していますので、ステレオスピーカー/マトリクススピーカーとして聴こうとすると、軸上から90度外れてしまうのです。このため、紫(リスニング方向)は高域端が少々早めに落ち込んでしまいます。
中域は1.5kHzを中心に、広く深いディップが出来ています。ここでハタと気づきましたが、私はシミュレーションではウーファー invert にしていたのに、配線のときにそれを忘れて同相で繋いでしまいました。
おそらくそれが元凶なので、逆相にすればこのディップは多少なりとも埋まると思います。(もう一度開けなければ・・・)
この特性でやはり着目すべきは、低域の伸びですね。猛然と伸びています。考えられません。グラフ直読でF3は51Hzでした。これってF3が例えば大昔のDIATONE 32cm 3way密閉型よりも低い音階なんですよ。

ちょっと想像してみてください。このWAVEは底面の直径が14cmで高さが20cmの円錐。いわゆる「マイクロスピーカー」と呼ばれているスピーカーよりも小さいのです。そして、ウーファーは2″(50mm位)、パッシヴラジエーターは3″(75mm位)です。それで何でこんなに伸びるのでしょうか?
それは、基の設計が良かったということと、大幅なドーピングをしたからですね![]()
つまり、インチキです。
元々の特性↓と比べてみましょう。

もともとそう悪いものではなかったが、ドーピングとオプティマイズによって飛び抜けてワイドになったしフラットにもなりました。ただ、ウーファー逆相は直さないと…このままじゃ。
驚いたのはジブンの耳の良さ。(ジマン!ジマン!ジコマン!)
Bassレベルボリュームは、音楽を聴きながらこんなモンかなぁと聴感だけでレベル調整した。すると、上図のグラフのとおりになりました。撮って出しです。日頃から、ウルトラ弩フラット&ニュートラルなANDROMEDAを相手に調整・測定を繰り返していますので、聴覚の帯域バランスだけは研ぎ澄まされているのでしょう。
音質の所感
f特のとおりの音がしています。
中域が少し引っ込んで、少々どんしゃり気味に聴こえます。
高域は残念ながらDirectivityが災いして、ハイエンドのサラサラした伸び感はもうひとつ。でもこれは構造上しかたがないです。MX… のように40度の斜角であればかなり違っていたと思いますが無いものねだり。
低域の伸びはスゴいものがあります。先入観を棄てて目を瞑ると大型スピーカーが鳴っているかのよう。ドス~ン、ドス~ン、バス、バス、ブミーブミーと、まさに「重低音」(笑)![]()
そう、ANDROMEDAのように産毛を撫でて春風が吹き抜けるかのような軽い超低音は出ません。重苦しい感じの低音です。しかし聴感と視覚のギャップはMX-1000以上で、これは異常な世界です。あとでちょっと空気録音が出てきますので、機会があれば確認してみてください。
30cm 3wayのような「面で圧してくる」や「強引に左を右に持っていく破壊力」みたいなオーディオ的快楽もムリ。でも音階は低いしバランスとしては十分だし、嫌味や疲れのない音質で、BGM用途としては高品質だと思います。柔らかで爽やかな音ですね。
思えば、私のオーディオの原動力は「ギャップ萌え」にあったような気がします。先入観や感覚に対する極端なギャップ。違和感と驚愕。なんでスピーカーの無い場所に楽器がこつ然と出現するのだろう?なぜスピーカーは2本しかないのに、自分が音場に包まれるのだろう?こんな小さなものからどうしてこんな低い音がするのだろう?・・・。そうした原初の素朴な驚き。
UltimateMicroSubもMX-1000Hも今回のClovaも全部同じです。見た目や先入観とギャップのある音を出してみたい。そこが起動力。
MX-1000Hほどの超ワイドレンジや異様空間は無理だったのですが、そうしたギャップ感と驚きはMX-1000以上のデキになったと思います。既にこれは成功作です。
絶賛調で書いていますが、もちろんヲタク的Hi-Fiオーディオ視点では瑕疵が沢山あります。
コヒレントではない
ドライバの線形性がなく、Xoverや線形補償にも大きな妥協があります。音場感や音像感、音の生々しさにおいて正確性がありません。
歪みが多い
歪み率が高いことによって、楽音やサウンドステージが濁り、本質的なトランスペアレンシが損なわれています。
発音体が狭く、筐体が共振
プラスティック製筐体の共振により、カラレーションが生じています。また、L-Rの音源位置が近いこと、高域指向性に難があることで、真のサウンドステージは現れません。
Matrix 拡がりの調整

このWAVEの底面には、こんなスイッチがあります。音質を調整するためのスイッチです。
いわゆるマトリクスの行列式 (L – R) において、係数を調整できる。
- L – 0.3R
- L – 0.5R
- L – 0.8R
のように、減算係数の調整ができるわけです。
これによってマトリクスの逆相混合率が変化し、音場の拡がり感も変化します。
現在は「拡がり小」、最も拡がり率が低いマトリクスで運用しています。
15Ω、33Ωと上げていくとたしかに拡がり感は増すのですが、それ以前に能率のデグレが激しすぎる。前述のとおり、高域はゲインが足りないので、拡がり率よりも帯域バランスや音量を優先して8.2オームにしました。測定もこの状態で行っています。
ICの温度上昇

このClova用に準備したアンプ基板ですが、右側の大きな石はアナログアンプです。そして、左側の小さなICがサブウーファー用で、こちらはディジタルアンプです。そして、この2石ともかなり熱くなるのです。これは前々回のテスト計測のときに気づきました。
手で触れない程度には熱くなります。フルスウィングを長時間連続すると、早晩石が壊れると思います。まして、私のようにEfficiencyを犠牲にして特性を改善している場合は音が小さなわりには大量の熱損失が生じているので、なんらかの熱対策が必要になってきます。
ひとしきり、音楽を楽しんだ後に、底面樹脂カバーを触ってみるとほんのりと温かくなっています。直接ICに触っていないのにこの温もりは尋常じゃない。怖くなってきたので、放熱フィンの購入を検討しはじめています。
DIPとかCPUとかラズパイの放熱器として売られている小型のもの。
例えばこんな。


・・・というわけで、さきのウーファー逆相とあわせ、工作にもまだまだ先がありそうです。連載が先に終了したとしても。
空気録音
クロスオーバーにじゃっかんの問題は残っているものの、現状でちょっと空気録音してみました。
お暇があれば、ぜひぜひ、超大型スピーカーで再生してみてください。ちょっとした驚きがあると思います。もちろんワイドレンジなヘッドフォン等でも良いと思います。今回は久々に録音でNEEWERのECMを使ってみました。
これで最終回のつもりでしたが、残務が残ってしまいましたね。
機会があればこちらも続編として記事にします。
- ウーファーの位相をインバートする。
- その状態で再測定する。
- アンプICに放熱フィンを接着する。
で、実はこの原稿を書いている背後でウーファーを逆相につなぎ替えたClovaが鳴っているのですが一層良い音で鳴っています。ゲイン不足さえも若干改善されました。
【この連載の目次】
- LINE Clova (1) LINEのMatrix
- LINE Clova (2)この4Ωは可変すれば
- LINE Clova (3)開腹手術~WAVEが届いたぞ
- LINE Clova (4)【緊急速報】これはトゥイーター
- LINE Clova (5)セカンド・オピニオン
- LINE Clova (6)天板にどうやって穴を開けるのか?
- LINE Clova (7)ミニアンプは時定数に問題アリ
- LINE Clova (8)天板に穴を開けてみる
- LINE Clova (9)内蔵アンプ回路を解析する
- LINE Clova (10)パーツを外し&セカンドオピニオンを検証する
- LINE Clova (11)セカンドオピニオン版で空気録音してみる
- LINE Clova (12)風穴を開けろ! ボリュームの実装
- LINE Clova (13)フィルタをオプティマイズする
- LINE Clova (14)初体験、サーフェスマウント
- LINE Clova (15)底面に音質スイッチを実装する
- LINE Clova (16)3Dカットモデルと最終回路図
- LINE Clova (17)部品到着で一挙完成へ
- LINE Clova (18)こんがり焼けたよ、基板が焦げた
- LINE Clova (19)数々の苦難を乗り越えて完成へ
- LINE Clova (20)擬似無響計測&空気録音 – 1st. Phase
- LINE Clova (21)完結編 – 2nd. Phase
- LINE Clova用-第2基板
- LINE Clova Rev.03が完成。熱に強く音も良い
- LINE Clovaの記事をサマライズした

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