ほまげ (MX-1000 Homage) の設計概要を記していきます。
本日はエンクロージャーの基礎設計。中途の検討プロセスはハショって、設計結果だけを示します。
ヘッドブロックの箱設計
まずマトリクス心臓部、ヘッドブロックのエンクロージャー設計から。

とはいえ、ここの設計は結構いい加減です。
エンクロージャーの設計は主に低域特性を欲張ったり整えたりするからこそ重要になるのであり、最低域を他に任せる事ができれば、けっこう柔軟度が増すのです。早い話が手抜きが可能になる。せいぜい、サブウーファーとのアコースティッククロスオーバーに支障ないようにしよう・・・程度の配慮で済みます。
L+R = D1, D2
まずセンターバッフル上のモノラルパートから。
この部分は、L,Rで全く違う音が出ているのでしょうが、こと低域についてはデュアルドライバーのPRsという見方ができます。また、これは中央にトゥイーターを挟んだMTMだという見方も出来るでしょう。
モノーラルの和信号パートのジオメトリは以下のとおりです。

2本分のエンクロージャー内容積は9.2L以上あります。
それで模擬した特性がこんな感じ。



群遅延。
もともとW3-2141はそんなに低域を伸ばせるようなドライバーではありません。せいぜい100Hz辺りからロールオフを始めるのが限界です。本機はそれをPRsで無理やり少しだけ伸ばしたような形になっています。
ここはPRsの質量付加、吸音材のDensity調整等、実測により調整を余儀なくされる部分です。
L-R = D3, R-L = D4
次に、左右の傾斜バッフル上にある、差信号ドライバのパート。
ここはそれぞれが独立した2L程度の小型密閉箱となっています。吸音材をぎちぎちに詰めて、Qaを十分に下げます。




元々、割と小さな箱で使えることを想定しているドライバですから、問題ないですね。
L-R, R-Lの信号減算すると、ほとんどの音楽ソースでは、重低音成分がほぼゼロになってしまいます。低周波はほぼ同相で収納されているからです。極く一部の妙なソースでは、L-Rしても低域成分が残っているかも知れません。
それにしても改めて、Closed(密閉型)の群遅延の少なさは突出しています。
PRsや6th Bandpassでは勝ち目はありません。
純抵抗を盛り込んでエンクロージャーシミュレートする
以上、L+R, L-R, R-L, 上記いずれのドライバーも、クロスオーバー上で4Ωの純抵抗がシリーズされています(次回詳述)。
したがって、上記の模擬特性も直列抵抗を織り込んだシミュレーションを行っています。
ラウドスピーカーに対して、直列抵抗を繋ぐことにゴキブリ並の拒絶反応を示す方が居ますが、全く問題ないですね。だってこれ、真空管アンプ使った場合と状況同じですから! 直列抵抗を噛ますことで等価的Qtsは上昇しますが、それを盛り込みずみで設計すればよいだけです。
逆はダメですよ。半導体アンプ用に作ったラウドスピーカーを真空管アンプで鳴らすのはダメ。(*1) (*2)
容量計算/調整をしていたときのスプレッドシートがこちら。
スプシの自動計算を眺めながら、各部位の寸法を微調整していくわけです。

サブウーファーブロックの箱設計

こちらの超低域ブロックは過去に制作して成功した、UltimateMicroSubのアレンジ版です。
基本的には過去モデルを縦にぐーんと長く伸ばしてスタンドにしたカタチです。ただし容量は若干ボリュームアップ。また、ポートチューンをブラッシュアップすることで、ほんの少しですが耐入力も上げました。
これは6th Order Bandpassと呼ばれる形式で、ドライバー前面と後面を異なるエンクロージャー、異なるポートで覆い、合成するという形式です。

家庭用の日本オーディオでは聞き慣れないコトバかも知れませんが、海外のDIYer、カーオーディオ用のウーファーとしてはポピュラーな存在です。一時期はKEFもこの形式のラウドスピーカーシステムを製造していましたね。
こちらが調整のジオメトリ。

Vol1=7L、Vol2=1.5L、
fb1=19Hz、fb2=42Hz。
トータルの内容積は合計8.5Lになります。UltimateMicroSubより1リッターちょい大きい。
そしてこれがSPL特性。

インピーダンス特性。

群遅延特性。

エクスカージョン。

19Hzまでフラット再生できそうではあるが、耐入力が極端に弱いという特性です。
ソースによっては1Wでも破綻。普通のソースなら5Wまでなら大丈夫でしょう。
特性が整ったので、この設計を実際のエンクロージャー設計に転化してゆきます。
スプレッドシートの自動計算を使いながら、各部位の寸法を微調整して詰めていきます。

出来上がった寸法を、3D-CADに反映して矛盾や誤解がないかをチェックします。Sim, 計算, 図面を相互に往来しながら補正を繰り返します。


ドライバーの前面/後面の音は異なるダクトを通って、最期にフロントバッフルの共通ポートから合成出力されます。
最後に出来上がったCADの内容を、今度は箱の板取り図面に、寸法図として反映していきます。
こんな風に設計、シミュレーション、デザイン、板カット寸法を行ったり来たりしながら、設計が煮詰まっていくわけです。
(ボードカットは次回)


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