前回、
フラット化のイコライジングは行わず、各種のTilt・ターゲットカーヴだけを充てた音を比較してみたわけですよね。
- 完全フラット
- -1.0dB/Oct. のTilt
- -0.5dB/Oct. のTilt
- Olive/Toole博士の嗜好カーヴ
この中では、私の主観では、完全フラットに準じて、-0.5dB/Oct. のTiltが一番自然で問題なく感じました。
また、ソースやシチュエーションに応じて「切り替える」という着想も生まれてきています。
今回は、上記リストに加えて、
- Harmanのターゲットカーヴ
- NADのターゲットカーヴ
を試してみます。

グラフが見やすいよう、線を微妙にずらして絵を作っています。実際にはグラフのピークが0dBで重なります。
やっぱりHarmanやNADは特徴的ですね。一体どんな風に聞こえるのでしょうか。
HarmanもNADも思い切り低域に盛山を作っているので、豊かに聴こえるのは間違いなさそう。

Flex Eightは4つスロットがありますので、Flat / Harman / NAD / TooleOlive
を瞬時切り替えできるようにセットアップしました。

これはHarmanカーヴをセットアップしているようす。4096tapを使ったFIR、直線位相です。
ところで、こういうカーヴ、何処かで見たことがあるなと思ったら。
ハイエンド系ラウドスピーカーの特性そっくりなのです。(笑)
以前お伝えしたことがありますが、全ブランドではないが、「ハイエンド」「高額スピーカー」の多くが「低域端へ盛り山」を作っています。その方が「売れる」からです。すこし市販品の無響室特性を見てみましょう。

Dynaudio Confidence 30

Estelon X Diamond MK II

JBL 4367

KEF Blade Two Meta

Magico S2

Piega Coax 811

Wilson-Audio Yvette
いかがでしょう。どのブランドも大なり小なり、低域端にポッコリお山を作っています。これ有響室の特性ではなく、無響室相当でこの特性なのです。ちなみにグラフ中グレーの点線 ————- はウチのANDROMEDA-Alphaで、比較として載せています。
どこのブランドの特性も、なんだかHarman(ないしNAD)の低域カーヴにそっくりだと思いませんか?
これらブランドに例えば、なにも対策せずにHamanのカーヴなんか充てたら、さらに二重で盛りあがっちゃいます。ウチのAndromedaはどフラットだからこそ、Harmanを当ててもいいんですよ。
Harmanのカーヴって元々の初出が
- ラウドスピーカーの低域は有響室の反射や定在波で盛り上がるのが普通。
- ところがヘッドフォンのそれは盛り上がらない。
- ならば、ヘッドフォン音源でもスピーカー相当に盛り上げた方が多くの人に好まれる。
つまり、元はヘッドフォンの音感改善のため生まれたカーヴだった。
ところが、今や独り歩きして、「ラウドスピーカーの特性をこれに似せよう」という志向の人が後を絶たないし、
なんだったら「市販ハイエンドは最初からこのカーヴ」というわけです(笑)
つまり何処も「高忠実」なんてことを目指していなくて、好き放題の脚色と加飾が主流になっているということなんですね。エンドユーザーがあまりピューリズムを振りかざしても意味がないのです。まあ私は市販品使う以上に好き勝手できますから好き放題やりますけど。(笑)
では早速。聴いてみます。
Harmanの聴感

おおう、もう、低域モリモリですねえ。高域とは9dBもの段差ができてますからね。キモチいいですが、誇張感も半端ない。やっぱり少し人工的というか加工臭がありますね。これ、Gammaが初めて鳴った時の低域未調整のころの音にも似てますわ。あのときも調整不良で超低音モリモリでしたからね。
ルームゲインで低域が自然に盛り上がるのならいいんだけれど、それをあえて外側から(イコライジングで)加えるっていうのはやっぱり少し問題があるのかもしれない。
ただ、もともと低域の伸びが足りなかたり、あるいは恒常的な低音不足を感じられているユーザーであれば、このカーヴを充てることで飛躍的に聴感が向上する可能性はありますね。
NADの聴感

ウン、凄い凄い、こちらも効果抜群ですごいです。(良い意味ではなく。)
低域の誇張はもちろんですが、こちらは「低域の端」と「高域の端」をロールオフさせているから、少しだけナロウ感がある。レトロまでは行かないけど。
刺激的な音を出したくない 向きには、このカーヴも使えるんじゃないかな。用途限定で。
というわけで、私がHarmanやNADを常態で使うことはまず無いですね。
いや、ピンチヒッターだったとしてもご登場願うことは、ほぼ無いでしょう。
いずれにせよ、「市場の嗜好特性」を知るにはいい機会、貴重な体験となりました。
Dr. Oliveのカーヴにせよ、「論理的に正しい」というわけではありません。多くの人の「好み」を採った、平均的な曲線ということなんです。論理ではない。「単なる好み」しかも「平均」。
ワタシ、そしてアナタ、その曲線が好みに「マッチ」するとは限らないんです。これがワタシならびにAIの共通意見です。OliveやHarmanのカーヴを金科玉条にしない方がよい。なぜならタダの「平均嗜好曲線」だからです。
そして、市販ハイエンドの多くが「論理的Hi-Fi」ではなく、「多くの人に好かれる」方へおもねっているということも良く理解できました。

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