先日中古で入手したONKYO D-N7xxですが、今回が一応最終回になるかなと思います。
今回はD-N7xxの配線をばらばらに引っ張り出し、Xoverをオプティマイズし、マルチアンプ駆動します。
世の中にはマルチアンプ化そのものを目的としている方もいますが、クロスオーバーを最適化しない「単なるマルチアンプ化」は、ほぼ無意味です。クロスオーバーの最適化とセットになって、初めてマルチアンプは真価を発揮します。テキトーなチャンデバなどで(測定などをスキップして)テキトーに繋いだだけのマルチアンプはむしろ改悪になっていると考えて良いでしょう。

・・・ということで、配線を外へ引っ張り出しました。
ウーファーは背面のターミナル直結。トゥイーターは同じく直結の線をポートから引き出してきて結線します。
マルチアンプ駆動可能な状態です。
繰り返し説明していることですが、マルチアンプ化は「計測」「調整」「最適化」のプロセスが作業のほとんどです。ちょっとその前に、

赤はパッシヴ・クロスオーバーを通したときの特性。つまりD-N7xxのオリジナル状態での特性です。
対してグリーンは、私が「聴感だけで」調整したクロスオーバー+マルチアンプ後の特性。
自慢するわけじゃないですが、これでもオリジナルに比べればだいぶ「整った」し、実用にはなりそうですよね。ただこれはあくまでも簡易調整。ここでは実測とフィードバックを繰り返して最適解を出していきます。
マルチアンプ化するにあたって、クロスオーバーオプティマイズのプロセスは以下に集約されます
- ドライバー「ごと」の単体でクロスオーバーを通さない状態での裸特性を測る
- そこで観測された瑕疵部分を最小限の最小位相系で補償し、「特にクロス周辺」を平坦へ近づける。
- 個々ドライバーを可能な範囲でクロス付近平坦化(理想化)した状況で、論理的なクロスオーバー曲線を当てる
ざっくり言うと、
- そのまんま論理上のクロスオーバー処理をしても絶対にスムーズに接続できないから
- まずは各ドライバーをできるだけ線形補償して
- そのうえで論理的なクロスオーバー定数を通す
というプロセスです。やっていることはパッシヴ・クロスオーバーの最適化とほぼ同じ。ただ、違うのはオプティマイザを使うのではなく自分で最適解を作ってフィードバックを回すということと、チャレンジ・リトライ・微調整がモーレツに楽。というところですね。

まずは高域側(トゥイーター)から調整していきますか。

これがONKYOトゥイーターの裸特性です。これを眺めながら、瑕疵を見つける・・・というか、どうやって補償してやろうかを構想するわけです。パッと見て気になるのは
- 中域 1-3kHzあたりがFsの影響で盛り上がっている と、
- 高域が9kHz以降で減衰してしまい、伸びが足りない
この2点ですね。そこでこれらを補償して(特にクロス周辺は)できるだけ平坦に近づけることを考えます。
まずは2kHz付近のなだらかな山を軽くノッチして潰してみましょう。

黄土色がオリジナル、赤は1900Hzのノッチでやや山を潰した状態です。
乱暴に潰すと、元々へこんでいる4kHz付近も凹んでしまうので若干高いQを保つ必要がありました。
続いて、ダレてしまう最高域を補償してみます。

15kHzのシェルフで補正してみます。赤が補償前。青が補正後。
元々スペックの素性がよいドライバーですが、こうすると本当に「高域は伸びきっている」というイメージになりますね。

miniDSPにおいてトゥイーターへ補償した内容は下記のとおりです。
- Notch : Fc= 1900Hz, Gain= -4dB, Q= 1.4
- High Shelf : Fc= 15000Hz, Gain= +8dB, Q= 0.7
次に、ウーファー調整へ移ります。

これがウーファーの素の特性。軸上を外れているから4kHzピークは少し減じていますがそれでも目立ちますね。
このウーファーに対しては、
- 高域共振へのノッチ
- バッフルステップの解消 (700Hzくらい)
が目標となります。

青はオリジナル。グリーンはノッチで潰した様子。少し潰すだけでだいぶマシになります。

そして次はBSC。元々特性が暴れているドライバーだからFcを掴みにくいですが700Hzにしてみたら整ったのでこれでいいかな。

miniDSPにおいてウーファーへ補償した内容は下記のとおりです。
- Notch : Fc= 4100Hz, Gain= -5dB, Q= 1.4
- High Shelf : Fc= 700Hz, Gain= -4dB, Q= 0.7

以上の最適化で、各ドライバーの特性がかなり整いました。特に、「クロス周波数周辺で平坦になっている」これが大切なんです。こうなっていないと「計算式によるXover」がまったく効きません。
この状態で、LR4を当てます。
今回はクロスオーバー周波数を破綻なさそうな2.7kHzにしてみました。
このトゥイーターに対しては限界に近い/かなり厳しいとは思いますが、4次系ならなんとか行けるだろうとの判断。

赤は売ってる状態でのD-N7xx。
グリーンはminiDSPによるマルチアンプ・最適化後の特性です。
どうでしょう、かなり整ったのではないでしょうか。しかし周波数特性以上に、聴こえる音質は完全に別物です。
もちろん、DSPですから「これ以上にさらに」スーパーフラットに近づけることも容易。ただ、そうすると今度は弊害の方が大きくなります。音はよくなるどころかどんどん不自然な傾向の方が強くなっていきます。
だから、最小位相系で元あった姿に近づけるよう「必要最小限」の補償量にとどめるのがコツであったりします。
言い換えると、「元から素性の良い=特性優秀な」ドライバーを最初から準備するのがいかに大切か、ということですね。
なお、今回のような補償作業はあくまでも「無響室特性を整える」処理であり、「リニスニングポジションにマイクを据えてリスニングポジションの特性を強引にフラットにする」類の”自動音場補正”とは本質的に異なります。(たとえばAudacityとか)
私はAudacityを使った経験もあるし、今ならREW経由で補正特性を作ってminiDSP前段補償、またはDiracLIVE経由での自動補償もカンタンです。でも、それをすることは無いです。
それらは因果律を無視して反射音コミの音圧特性だけを平坦にしますから、当然ながら位相特性もコヒレンスもへったくれもない。極めて不自然な音質になります。逆説的に言えば「無響室で絶対にフラットにならない音へ調整している」ということなので、不自然になるのは当然・必然。
以前の投稿の繰り返しになりますが、キホンは
- ひとまず無響特性は超平坦へ近づける。
- リニスニングポイントではそれに準じるか、あるいはやや右肩下がりの特性を狙って、ルームアコースティック素材などを併用して対策する(電気的な対策はNG)
「わずかな線形近似補償で特性良好にならない」とするなら、最初からそんなスピーカーは素性が悪いので他のものを買ったほうが良い、という判断になるわけです。
同じREWを使った自動補正でも、擬似無響計測値を基準にし、擬似無響特性を平坦に近づける という処理ならまだスジは良いほうだと思います。
miniDSPで補償後の音
長くなりすぎたので、つづきは続編にします。最終回は感想編。
感想を書いたらこのシリーズはパージです。

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