Flex Eightのブロックダイアグラム
今年は旅行も行かないし、ヒマなんでBlog書いてます。
おさらい。Flex Eightを利用した代表的なブロックダイアグラムです。

こんな風にFlex Eightは最大8chまでのDSPを備えており、1台で合計4wayまでのアクティブチャンネルデバイダを構築できます。もちろん、Flex Eightをどんどん増設していけば8wayでも16wayでも行けてしまいます。(Diracは巧く動かないかもですが)
入力ソースとしては図の通り、SPDI/F, TOS-LINK, PCからのUSB入力の他、LDACに対応した高解像度Bluetoothにも対応しています(たぶん使わんけど)。
ところで、単純に私の調査不足だったのですが、
Flex EightはFIRを扱えるが、クロスオーバーにFIRフィルターが使えるわけではないようです。というのも、最初に下図シグナルフローを目にしていれば気づけました。

FIRは前段の2chのみに適用できるようになっているのであり、帯域分割のXoverには利用できないことが判ります。すなわち、クロスオーバーに利用できるのはIIRフィルターのみです。
IIRフィルターで構成したラウドスピーカーシステムが位相特性の乱れを伴っているとき、FIRで位相補償するオールパスフィルタを構成して対処する…といった使い方は出来そうです。そちらは余裕があればやってみたいとも思います。
このFIRを活用してアクティブフィルターを構成できなくは無いです。がその場合にはこのFlexを、4wayでは最低6台購入する必要があります。つまり現実的ではありません。
FIRとIIR ?
FIRとIIRフィルターの違いについて。これは私なんかがあらためて講釈垂れる必要はないと思いますので、詳細は各自でお調べください。FIRは有限インパルス応答、IIRは無限インパルス応答を示します。
IIRとはなにか。
IIRフィルターとは、解りやすく言えば皆様がお使いのスピーカーシステムの中に入っているクロスオーバーネットワークのようなフィルターのことです。また、CR+OPアンプで構成されたアナログのアクティブフィルタもIIRフィルターに該当します。
IIRフィルタは位相と振幅に相関性があり、振幅が変われば位相も変化します。つまり、フィルタリングに同期して位相が絶対回るのがIIRフィルタと言えます。(でも勘違いしないでください。ドライバ個々の位相は回転しても、その合算結果であるマルチウェイの合成位相特性を直線位相に仕上げることは可能です。)
少し乱暴な説明をすると?:
フィルターの遮断特性を急峻にすればするほど、不要帯域のリジェクト能力は上がります。しかし一般に、フィルタの遮断特性(次数)を上げれば上げるほど、フィルタ片側単体での位相回転も大きくなるという傾向が出ますので、トレードオフがあります。≒フィルタの次数・尖鋭度と位相回転は相関関係があるということです。
ベッセル、バタワース、チェビシェフ、リンクウィッツライリーなど、考案者の名前を冠したフィルタ係数は皆さんも耳にしたことがあると思います。それぞれ、振幅:位相特性には狙った特徴があります。これらのアナログフィルタは全てIIRフィルタに属します。
それに対し、FIRとは何か。
IIRじゃないものです(笑)。簡単に言えばIIRのように振幅特性と位相特性に関係性がありません。振幅特性と位相特性をまったく無関係に設定できるというのが、FIRフィルタの特長だそうです。
何を言ってるのか判らないって? 想像してみてください。例えば-96dB/octというとてつもなく遮断尖度の高いフィルターを設計した。そのとき、そのフィルターの帯域位相回転をゼロにもできる。もとい位相直線=リニアフェイズにも出来るフィルタということなのです。まとめると「直線位相フィルタ」”も”作れる。位相直線+位相直線。よってそれらを合成した結果も位相直線になります。IIRのような遮断特性と位相回転のトレードオフがないので、峻度が極めて高くかつ位相特性の劣化がない優れたフィルタを構成できる、これはオーディオの世界では理想郷のようなフィルタといえます。
ただしFIRにも弱点というか、課題はあります。
とても電子計算機に負荷を掛ける演算なので、一回に負担演算できる数に限界があります(タップ数と呼ばれます)。このタップ数の受持が悪い/または設計が悪いと、ギプス効果といって、フィルターの肩特性に波々としたリプルが大きめに生じます。

タップ数を凄く多くすればこのリプルは減じますが、今度は演算が間に合わなくなります。(レイテンシが許容限界を越える)
また、遮断峻度が高すぎるのも考えものというところがあります。一般に、マルチウェイというのは各ドライバーのアコースティックセンターが一致しません。これでフィルタの峻度が高いと、ピークやディップが生まれやすくなり、調整が神経質になります。また、僅かなリスニングポイントや距離、アングルの違いで大きなピークやディップが出やすくなりますので、視聴も神経質となります。そうした神経質さを解消するには、割とブロードな緩いフィルタで繋いだ方が楽に聴けるという事になってしまいます。


学習にはこちらをどうぞ。和みますよ。
References:
昔は、FIRといえば数学の「出来る人」限定の限られた技術でした。しかし今や各種のツールを使って素人でも簡単に設計ができるようになってしまいました。例えば、これら:
https://www.minidsp.com/applications/advanced-tools/fir-filter-tools
上記のとおり、XoverフィルタにはFIRを使えないことが判ってしまいましたが、スピーカーシステムの位相補償にだけ使うというのは出来るし、それはそれで面白そうですよね?
・・・ってな感じで、相変わらず脱線ばっかりで中々UI解説編へいけませんが、今年もゆるゆるとやっていきます。
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最後に北陸方面で被災された方々には、一日も早い復旧をお祈りします。

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