本日は中古アンプ、AX-10の基板を洗浄して綺麗にしていきたいと思います。

こんな感じで、PCB上には長年堆積した埃がすごく、しかもそれが油分や水分と結合して固着しています。自分で使うのであれば、これらの油分や埃は徹底的に清掃・洗浄したい。
基板洗浄というと、水道水でPCBをじゃぶじゃぶ丸洗いしまう人が稀にいらっしゃるのですが(笑)

基板を水道水で洗うのは絶対にNG
です。
なぜ、ダメなのか理由が解りますか?
その場はいいかもしれませんね。綺麗にはなるし、一応動くだろうし。ただ、これは電気電子回路を破壊しにかかる行為です。
なぜ「水道水」で丸洗いしてはいけないのか?
水道水がNGな理由は、乾燥した後に「目に見えない爆弾(残留物)」が基板に残り、パーツや基板を侵食するからです。
- 白粉(スケール)」の発生
水道水には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩素などのミネラル分が含まれている。その水道水が乾くとそれらミネラルが結晶化して基板に残留します。 - 絶縁を破る(ショート・リークの原因)
純粋な水は電気を通しませんが、水道水のミネラル分は電気を通す「電解質」です。これが部品の足の間に残ると、本来流れてはいけない場所に微弱電気が漏れ(リーク)、回路の誤動作やショートを引き起こします。ショートを起こさないまでも音質には影響が出る場合があります。 - 酸化を大きく進行
これが最大のNG理由。水道水に含まれる大量の「塩素」と「酸」。これらがハンダや銅箔、部品のリード線に浸潤して激しく腐食させます。錆びてくださいと言っているようなもの。乾燥したように見えても、ミクロのレベルで錆が進行し、数か月〜数年後に断線や接触不良を起こします。ハンダクラックや錆の超加速装置になります。
では、何を使えばいいのか?
不純物を含まない「精製水」と「無水エタノール」を配合します。その場合も、素早く乾燥させて部品への侵食をさけるため、精製水の割合はかなり低めにします。
精製水は、ろ過や蒸留によって上記の「不純物やミネラルを極限まで取り除いた水(純水)」です。
- 乾いたときに何も残らない
精製水は成分が100%水分子(H₂O)だけなので、蒸発した後に白い粉や不純物が一切残りません。基板を完全に「まっさらな状態」にできます。 - 乾燥後は電気を一切通さない=安全性が高い
不純物がない純水は、理論上、電気を通さない絶縁体です。万が一、乾燥が不十分で目に見えない水分がわずかに残った状態で通電してしまっても、水道水に比べてショートするリスクが圧倒的に低くなります。 - 汚れを吸い取る力が強い
水は純度が高ければ高いほど、周囲の物質(汚れや塩分)を自分の中に溶かし込もうとする力が強くなります。そのため、水道水よりも基板上の汚れ(特に手汗の塩分など)を強力に引き剥がして洗い流してくれます。
以上、もしどうしても水を使った「丸洗い」に近いような基板洗浄をしたいのであれば、精製水を使う。かつ、素早く乾燥させるためにエタノールを併用します。
いずれにせよ私の場合は、「水のなかへ基板をドブーン」のような丸洗いはやりません。リスクが高すぎるからです。中にはLSIやリレーやトリマーのように中に水が入り込むと不味い事が起こるパーツがたくさんありますので、せいぜい基板を「濡らす」程度の洗浄になります。スチコンのように極端に水分やアルコールに弱い部品もあります。

今回私が準備した薬剤がこちらです。
- 精製水
- 無水エタノール
- KURE クイックドライクリーナー
第1段階: 精製水+無水エタノール
第2段階: クイックドライクリーナー(仕上げ)
という工程で考えます。
エタノールの濃度
ある程度エタノールの濃度が高くないと、油脂やフラックスを溶かせません。
70〜80%の濃度にします。精製水の量は30%ということです。

筆、使い古したラバー歯ブラシ、使い古したソフト歯ブラシ(ダイソーで売ってるやつ)、綿棒などを準備します。
これらで基板に適量の薬剤を塗っていきます。

最初の被験者としては、使う予定のない「バランス+トーン基板」を用います。
ICのシルクやカーボン抵抗のカラーコードが高濃度のアルコールで溶けちゃうんじゃないのか?けっこうべたべたと塗ってみましたが、溶ける気配はありません。なかなかに頑丈そうです。

次はいよいよ「ロジック+ボリューム基板」。
かなり汚れや埃のひどかったPCBです。

けっこうべったりエタノールを塗っている。
結論から言えば、筆塗りや歯ブラシでは汚れを落とすのに不十分でした。綿棒やペーパータオルでの拭き取りが重要。それで綺麗になります。洗車に似ていますね。シャンプーしただけでは不十分で、拭き取りが洗車のキモだったりしますので。基板も同じでした。

歯ブラシ、綿棒、ペーパータオルがあっという間に真っ黒けになっていきます。

ブラシをすすいだ薬剤も濁って「汚水」状態に。汚いですけど、ここが汚れると「汚れを落とせているんだな〜」という気分にもなってきますね。

埃まみれだった基板もかなり綺麗に。

プリントパターン面が結構難しい。塗れば汚れもフラックスも溶けるのですが、エタノールだけでは「汚れたフラックスを基板全体に伸ばしている」だけの状態に。乾けばマダラ模様になってしまい、なかなか良い見栄えにはなりません。

そこで最後はコイツの出番です。基板をバケツにいれて、クイックドライクリーナーをブシューっと吹けば、あら不思議。干渉縞だらけだった基板が実に綺麗になってしまいます。
汚れを溶かし切って一瞬で揮発して飛ばしてしまうのでしょうね。拭き取ると基板は一層ピカピカに。

ロジック+ボリューム基板につづいて、興に乗って今日はこれだけの基板を洗浄してしまいました。

作りたての基板のように、ヒジョーに美麗になりました。
残りの基板はあと4枚のみ。それも外せるのは時間の問題です。
全部バラして全てを徹底洗浄するのはなかなかキモチの良いものですね。つづく

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