もともとGammaはフィニッシュと言い難い調整状況だったこと、また、アンプが交換されたことによるレベル整合などを考慮して、クロスオーバーも含めたGammaのDSP再調整をしています。

半年ぶりの今回の調整、Gammaでは数えてこれが「Ver.4」にあたります。
Ver.3最終段階はこんな感じでした。

これ、今みるとそんなに悪くはなかったですね。まあいいか。
位相振幅ができるだけ揃うように色々ゴニョゴニョいじっていて、途中プロセスは端折りますが、ミッドバスとトゥイーターの接合はこんな風になりました。もちろんレベルも揃えています。

950Hz位を狙っていたんですが、トゥイーターの低域が早めに落ち始めてしまうので、最終的なアコースティックスロープとしては、1.2kHz付近での交差になったようです。耐入力を考えるとまぁ無難かな。Ver5の機会ではもう少し下げてみようかと。これをそのまま合成してしまうと、こうなる。↓

クロス付近にわりと深めのディップが出来てしまいます。
たぶんバッフルのアライメントがまずいのです。AMTは見た目にもアコースティックセンターが少し前めでスラントが足りないように見えています。
これをクロスオーバー定数いじって無理にフラットにすることも出来ますが、小細工では群遅延が劣化してしまいます。そこでDelayを少しいじります。

トゥイーターの遅延は0.18msecくらい。これは常温環境でだいたい6cmくらいの後退にあたります。
結果、こうなります。

見事にディップは埋まってほぼフラットに。
これはいかにタイムアライメントが重要かを示しています。この課題を失敗後から解決しようとすると、妙なネットワーク定数に調整せざるを得ず、つまり詰んでる状態になってしまいます。
調整結果、オーバーオールでの特性はこちらです。

200Hz以上は信頼できますが、200以下はETONの近接場です。
さらに50Hz以下はblendedされた超低域をつないだだけで、部屋の影響も受けています。
よって:これでいうと50Hz付近までが疑似無響計測相当、しかし200Hz未満は怪しいぞとなります。
ご参考までに、下図は今回撮ったXbassの近接場計測です。

当然ながら、15Hz未満まで伸び切っており、しかし電気保護フィルターで10Hz付近はお辞儀をはじめています。
ところで、前稿ではAMT (Air Motion)の原理的な欠点について触れました。それって何だっけ?
AMTはその原理上、ホーンのように前面音響負荷が掛かり →加速度比例じゃなく速度比例みたいな感じになって →音圧周波数がハイ上がりになるんですよ。
+6dB/octで一直線・・・は大げさだけれども、そんな感じで。せっかく下まで使えるドライバーなのに、これを素のままで使ってしまうと、かなりハイ上がりで/きらびやかな音質になってしまいます。
その一方で、AMTPRO-4固有の問題としてハイエンドの落ちも早いんです。それは、口径がデカ過ぎるから。見てのとおり、20cm口径のラインアレイのようなもので、縦にやたら長いのですね。そんな構造になると、上/下の位相干渉で、最高域が落ちてしまいます。
リテラシの高い海外ビルダーは、当然のようにそれらをコンペンセートしながら使いこなしています。私も調整が楽なDSPをいいことに、下図のような大幅なコンペンセーションを施しています。

音質の感想は、すべてこの調整状態によるものです。ハイ上がりを抑制するために-6dB/octのシェルビングフィルタを施し、かつ、少しでも最高域が伸びないかなということで、ハイエンドのみ大幅な強調を入れています。(この強調は後日、少なくすることも容易)
その結果としてこんなフラットな状態となっているワケ。無補正では決してこのようにはなりません。

電気的な/または信号処理系の補正を、害虫か親の仇みたいに毛嫌いする方がいます。グラフィックイコライザーや、固定回路のチャンデバなど、回路の過去の苦い経験がそうした先入観を産んだかもしれません。そういう方は、ハイエンドスピーカーの内部クロスオーバー回路でさえコンペンセーターの塊だという事実をご存知無いのです。そんなのKEF LS3/5A、HITACHI HS-400の時代から変わらない。補正すればマトモな諸特性/まっとうな音質になる。ならば補正するのは当たり前です。
本当にリテラシの高いブランドでは、鬼コストが掛かるわりに性能も安定度も悪いパッシヴクロスオーバーは見限って、補正器コミのアンプ内蔵スピーカーに宗旨替えしてしまいます。LINNしかり、Meridianしかりです。Mcintoshは補正回路のみ、外付けでしたね。
脱線が過ぎました。Ver4の調整は完了しましたので、しばらくはこの状態で視聴を続けたいと思います。時間がないので今日は調整だけですが、ちょっと鳴らしてみた感じでは印象がほとんど変わりません。今回のGammaは何か、オーディオ的なうまい評価語が思い浮かばないんですよね。例えて言うなら、口の中が旨味でいっぱいで、頬張っても頬張ってもヨダレが溢れ出てくる感じです(意味不明)

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