記憶の中にある音（昔の音感の再現）

長い歳月をかけて音質を作っていっても、全ての要素が同時に向上するわけではない。ある要素は確実に向上していても、一方で違う要素はデグレードすることが多い。

これはオーディオをやっている人間なら、大なり小なり思い当たる節があるはずです。
ある曲の、それもとても限局的なパートの、特定の鳴り方・・・。

コトバで表現するのがとても難しいのですが、大昔の思い出の中にある、あの鳴り方。それがいつの頃からか、失われている。それは、個々の楽器の音色というよりは瞬発力であったり、ちょっとした定位の鮮明さであったり、そうした細かい要素再現です。記憶の中にある音とでも言うんでしょうかね、なんなんですかね、これ。一番厄介です。
トータルで見れば音質は確実に向上している。そうなんだけれども、失われた音があると感じてしまうんです。ここの鳴り方は、昔のあの鳴り方が良かったのにな、と感じてしまう。いつの間にか出なくなってしまった音。私の中でも、そういう音がたくさんあります。

ところが最近はGamma + 6chアンプで聴いていて、子供の頃の記憶の奥底にある「あの音」がまた出たんです！・・・出ることが多くなりました。ただし当時とはクオリティも情報量も桁違いで、当時は聴こえなかった音も出つつ、の両立ができています。

ほとんど妄想に近い話ですが、

子供の頃に聞けていた音は、自作のMOS-FETパワーアンプで鳴らしていたから。それが、今回また半自作のMOS-FETアンプにしたことで、蘇った？？　まさかね。やはり気のせいですよね、偶然だと思います。ただ、「あの音はもうウチでは鳴らない」と思ってた音が最近かたっぱしから「鳴る」ので、狂喜乱舞です。

月並みな表現ですが、最近のGammaでは「聴き慣れたライブラリを片っ端から聴き直したくなる」そんな蜜月の時間が続いています。特段優秀録音でも無いと思っていた耳慣れた普通のソースが、ギョッとするほど表情豊かに鳴るので、今は何を聴いても新しい発見があって楽しく鑑賞ができています。（いつまで続くやら？）