LINE Clova というスマートスピーカーをご存知でしょうか?
勝手に引用して恐縮ですがブロガー・Bay3さんが大変面白い試みをされています。LINE Clovaを Bluetooth スピーカーとして復活させてみよう というプロジェクトです。
びっくりしたのは LINE Clovaがとっくにサ終していたということ。 そして後のクローバーは設定完了していない個体が文鎮化していたということです。トレンドサイクルの速さには驚くばかりで、着いていけません~。

マトリクススピーカーに出来るのでは?
某ブロガーさんの記事により、このWAVEという個体には2つのフルレンジと1つのサブウーファーが搭載されているということが分かりました。
2.1チャンネル風ですが実態としては1.1ch。でもそれを改造すれば2.1の小型マトリクススピーカーが作れるんじゃないのか??と発想が浮かびました。もちろん、普通のステレオにも出来ます。(小型ラジカセみたいだけど)
猛烈にマネしたい~ 誰かが面白そうなことをしているとすぐにマネをしたくなるというのが私の悪い癖です。早速中古のWAVEを漁って1個確保しちゃいました。 今後の出番がわからないのに・・・またまた中途半端な計画がスタックされました。。。
このClova WAVEにもともと搭載されているアンプボードは使えません。 この基板を除去して新しいステレオアンプ、願わくば2.1chアンプに載せ替える必要があります。勝手ながら ブロガーBay3さんの描いた回路図を一部引用させていただき、結線を説明したいと思います。

この図の通りです。 オレンジで示された4オームの抵抗がポイントで、これがハーフ・マトリックスを構成するための追加部品です。この抵抗を部品追加すれば変更できます。
この抵抗が1本あるだけで2本のフルレンジは単純なステレオ動作ではなく、半分ぐらいマトリックス動作を始めるのです。
でも、ハーフマトリクスって何?? 元々搭載されていた1インチフルレンジのインピーダンスを純抵抗4オームとみなした場合に
- Lout = L – 0.5R
- Rout = R – 0.5L
となります。 すなわちLチャンネルとRチャンネルの差信号が少しずつ強調された音質になります。引算されたのが半分だけなので元々の LR 和信号も十分に再生される。この仕組みによって、小さいなりなのに拡がりのある音質に出来るというわけです。
また、この抵抗値の高低を調整すると「拡がり率」みたいなものもコントロール可能です。
とても特殊な工夫に見えるかもしれませんが、スマホ/PCのオーディオICなんかには、似た仕掛けが最初から内蔵されています。
結線としても話としてもとても単純なのですが 、クローバでこれを実現するためにはちょっとしたハードルがありますね。それをこれから説明します。
徹底分解して線を引っ張り出す
クローバ ウェーブのフルレンジは2本搭載されていますが結線は2本しか出てきていないそうです。ということは線が内部で並列か直列になってしまっているということですね。一旦クローバを全部分解して、この2本のフルレンジの+−をそれぞれ独立して引っ張り出してこなければなりません。
== 徹底分解が必要ということ。
ブロガーさんの分解写真を拝見する限り、フルレンジは背面から取り付けられてお簡単には取り外しができないように見えます。これは厄介です。
パネルのネジを外すなどして内部配線にアクセスしなければなりません。 これが出来るかどうか?分解可能か?もともとついていたコネクターを流用する必要がないのであれば最初から配線をやり直してしまった方が良いでしょう。
第二のハードルは、「内蔵するアンプは選ぶ」というところです。
アンプは不平衡に限る
かんたんに言うと「アンバランスアンプでないと駄目」です。
単純ステレオにするなら平衡(バランス)アンプでもいいんだけど、マトリクスで拡がりを持たせたいなら、不平衡(アンバランス)でないとダメ。
ところが困った事に、この手の装置に組み込むような小型デジアンはほとんどが平衡回路なのです。困ります。実例を見ながら、判定方法を確認していきましょう。
PCBを眺めて平衡と不平衡を判断
【事例1】

どの出力端子の周辺にも、インダクタとキャパシタが2個ずつ並んでいますよね。
これは、+にもーにも終段高域フィルタが設けられていることを意味しています。つまりこの基板は、L、R、Subいずれも平衡(バランス)アンプだと断言できます。こういう実装はパターンを見ずとも判定できます。NG。
【事例2】
これはどうでしょうか。かなり小型の基板ですが


基板を拡大してよく見ると判ります。L、R出力の周辺に4個のチップ・インダクタが見えますね。つまり、これも平衡回路です。こんなに小型なのにねぇ。NGです。小型・省電力で高出力を得るのに、バランスアンプは都合が良いのですよ。
【事例3】
これはどうでしょうか。

こちらも、L、R、Subの出力端子周辺を見れば全部で6つのインダクタが並んで見えます。こちらも間違いなくバランスアンプです。NGです。
いかがでしたか。
安価で、小型で、省電力のデジタルアンプはほとんどが平衡出力です。つまり、マトリクスには使えないのです。でも、無いわけではない。
【事例4】
こちらも小型ICによるデジアンですが。どうだろうか。

こちら、幸いにして不平衡アンプだったのです。
これならマトリクスに使えます。なぜ判ったのかというと・・・

裏側のプリントパターンを見れば、ーがどちらもGNDへ落とされています。
間違いなくアンバラです。OK。
平衡/不平衡を判断するには、周辺部品で判断する方法と、プリントパターンを追うやり方があります。最終的にはテスターで当たって確認すれば安心でしょう。
【事例5】


パターンを見ると、どのマイナス端子も共通GNDへ落ちています。= OKです。
以上です。
マトリクスに使えるアンプなのか、そうでないのかは慎重に判断する必要があります。判定に自信が無いのであれば、マトリクススピーカーに使うべきではありません。
結線の違い
ここらへんから結論ですか。バランスとアンバラによって、結線図の違いを示します。
アンプがアンバランスの場合:

ハーフ・マトリクススピーカーに仕上げることができます。また、4オームをショートしてしまえば普通のステレオスピーカーにも変貌します。スイッチを付けて音の違いを楽しむのも一興かもしれません。
4を8Ωにすれば一層拡がりますが、やや低音不足でホワホワした音感になるかもしれません。
アンプがバランスの場合:

アンプ基板がバランスの場合は、引っ張り出す線の数も多くなります。この場合は音の拡がりは諦めます、ただのステレオスピーカーになります。
どうしてもマトリクスにしたい場合はアンバラのアンプ基板を選んで使うことになります。私がもともと所持していた小型2.1デジアン基板も平衡回路のアンプだったのでNG。新しくパーツ発注しない限りはマトリクスに出来ません。上に挙げたなかで「事例4」は小さいし数百円だし狙い目かな?
【この連載の目次】
- LINE Clova (1) LINEのMatrix
- LINE Clova (2)この4Ωは可変すれば
- LINE Clova (3)開腹手術~WAVEが届いたぞ
- LINE Clova (4)【緊急速報】これはトゥイーター
- LINE Clova (5)セカンド・オピニオン
- LINE Clova (6)天板にどうやって穴を開けるのか?
- LINE Clova (7)ミニアンプは時定数に問題アリ
- LINE Clova (8)天板に穴を開けてみる
- LINE Clova (9)内蔵アンプ回路を解析する
- LINE Clova (10)パーツを外し&セカンドオピニオンを検証する
- LINE Clova (11)セカンドオピニオン版で空気録音してみる
- LINE Clova (12)風穴を開けろ! ボリュームの実装
- LINE Clova (13)フィルタをオプティマイズする
- LINE Clova (14)初体験、サーフェスマウント
- LINE Clova (15)底面に音質スイッチを実装する
- LINE Clova (16)3Dカットモデルと最終回路図
- LINE Clova (17)部品到着で一挙完成へ
- LINE Clova (18)こんがり焼けたよ、基板が焦げた
- LINE Clova (19)数々の苦難を乗り越えて完成へ
- LINE Clova (20)擬似無響計測&空気録音 – 1st. Phase
- LINE Clova (21)完結編 – 2nd. Phase
- LINE Clova用-第2基板
- LINE Clova Rev.03が完成。熱に強く音も良い

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