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連載の前稿までで、Roon Rockが完成して正式な運用を開始しました。
プレイリストは全部リセットされ消失しましたが、ライブラリの音楽はほぼ100%復旧できています。
完成した嬉しさもあり、片っ端から音楽を聴いている最中です。

ROCKが唯一のコア(サーバー)として認識され、運用開始。

今回のROCK制作について、音質の感想も交えつつ、どんな成果や意義があったのか振り返りをしていきたいと思います。

結局、ROCKとは何なのか?

オーディオに詳しく無い方々のために”ROCK”を分かりやすく説明してみると、大昔のオーディオに於ける

 ROCK = オーディオ専用のCDプレーヤーのようなもの

という説明がピンとくるでしょうか。=
「音の出る、オーディオ専用のハコ」です。

もっと詳細に分離してみると、ROCK自体はA/Dができるわけではないので「CDトランスポートのようなもの」という言い方も出来るかもしれません。CDのように回転機構こそないものの、その代替をSSDやHDDが担います。

ここでポイントになるのが「オーディオ専用」というところ。
ROONと聞けば、NASやPCが登場することから「どうせPCオーディオなんでしょ?」と多くの人が想像します。確かに、私はSynology NASやMac上にCoreを置いて再生していた時期があり、これはPCオーディオと言えるかもしれません。

しかしROCKの場合は「オーディオ専門に仕立て上げる」。ここが重要です。ハードウェアこそPCを一部転用するものの、贅肉を削ぎ落としてオーディオ処理に徹する。それこそがRockの精髄の部分になります。

言い方を換えれば「汎用ハードウェアを使ってオーディオ専用機器を創る」のが目的。
 

なぜ、「オーディオ専用」には価値があるのか?

オーディオファイルの皆さんだと、どうしても「音質面で優位だから」という理由に期待したくなりますよね?でもここはひとつ別の視点、運用インフラ改革と、意識ノイズの低減という視点で整理してみたいと思います。

この案件は、Synologyで走っていたRoon Coreの動作破綻に端を発しています。そして、暫定的プラットフォームとして動作させたMacbook (M4の超高性能機) も挙動不審と動作不良に悩まされることとなった。これらはいずれも

「汎用OS上で、汎用プロセス群とオーディオが競合していた」

ことの症状なんですね。
macOSもSynology DSMも、本来は、

  • バックアップ
  • indexing
  • cloud sync
  • preview生成
  • antivirus
  • filesystem maintenance
  • snapshot
  • container
  • media indexing

などなど、“別の重い仕事”を大量に抱えています。
その並列処理中でリアルタイムオーディオをやるので、どうしても、

  • 突発I/O
  • scheduler変動
  • SMB待ち
  • metadata lock
  • CPU burst

などの障害に巻き込まれる瞬間が生まれます。
汎用PCや汎用NASは、「汎用」であるがゆえに、何でもできる。その代わり、

Roonの要求する、波一つない湖面のような/静かな凪の環境

を準備できないのです。
このことがインデックス応答に影響を及ぼし、再生のシーケンスが破綻する場合がある。音質にも影響を及ぼすかもしれません。

項目ROCK汎用PC
OS専用(必要最小限)Windows / MacOS
安定性非常に高い普通
軽さ超軽量重い
柔軟性/汎用性なしあり
温度低い高い

ROCKは音楽再生以外、他になんにも出来ない。そのかわり、負荷が一定し、凪いだ湖面のようなのです。このことがオーディオ機器にとって最重要。

私はこれまで、「なんでも一つにまとまっている」=汎用NAS、汎用PCサイコー。という考え方でした。
それが、上のような事を書いているということは価値観の大転換が生じたということなのです。私のなかのパラダイムシフトです。

スキームの改変、タスクの完全分離。
これによって私は何を得たのか。最も大きいのは装置の存在を認識せず、音楽に没入できる環境を得た事。だから音質向上以上に、安定運用による意識ノイズの排除にこそ、オーディオ専用装置にする価値があったのです。

役割分担
役割 担当
再生Core ROCK (M.2 SSD)
音楽マスター保管 NAS
音楽再生データキャッシュ ROCK (SATA SSD)
ライブラリバックアップ NAS
編集/管理 Macbook
再生リモコン スマホ/タブレット/PC

「全部に全部をやらせない」

上記のような「負荷分散」「役割分担」は小規模インフラ設計の思想そのものなのだとか。能力が十分でないからこそ、役割分担させることでリスク最小にするのですね。

これらによって、再生の感触はどう変わったのでしょうか。改善前後を比べてみると:

● 再生開始
今:数秒〜十数秒
後:ほぼ即時
● UI操作
今:引っかかる
後:ヌルヌル
● バックグラウンド処理
今:再生に影響
後:完全に非干渉

表層的にはこういうことなのですが、こうした物理現象以上に、私の得たものは大きかった。
 

ROCK誕生により私が得たものとは?

上記につらつらと並べた要素が集約されると、PCのハコも、ROONのハコも、存在が消失するんです。逆説的ですが、オーディオがなくなる。分かりやすく言えば、

成果1: 音楽に没入できる環境

の誕生です。たとえば、

  • 再生ボタンを押しても音が出るのが妙に遅いな
  • アルバムが表示されるまで時間が掛かるな
  • 再生中に音が飛んだらどうしよう
  • またファイルが「破損」と判定されたらどうしよう
  • なんか音楽聴いているとシーク音やファンがうるさいな

こうした不安要素があると、音楽鑑賞中のノイズになるんです。これをChatGPTは「認知ノイズ」「意識ノイズ」と表現しています。そして、そういう不安材料が全て払拭され、サクッと音楽が始まり、なんの不安もなく音楽そのものが入ってくるようになる。これが私の得た最大成果です。

当時、ちゃっぴーに漏らした感想を丸ごと転記しますね。

膨大なファイルコピー中にも関わらず、今、Rockから音が出ています。 10mのLANケーブル、ライブラリ構築中にも関わらず、音質もUIも実に安定。 MACや最近のSynoとは桁違いです。
音質の違いが劇的に・・・というのは明快には認知できませんが、 もう音質なんてどうでもいいです。今、ひたすら音楽に没入してしまいます。 何の引っかかりもない。とにかく音楽に涙します。これ、(私に限った個人的な経験則ですが)音質が極限に達しているときの特徴なんです。音質がどうでもよくなり、音楽が浸透してきます。

この没入感こそがROCKに移行する意義である、とちゃっぴーは言います。私も同感です。
オーディオ機器の最終ゴールが「大好きな音楽に浸り切ること」だとしたら、今回のインフラ改変はオーディオにとって本質的な価値転換だったと思います。

そして・・・なんのことはない、これって「故障していない、買ったばかりのCDプレイヤー」みたいなものなんですよ。だからCDプレイヤーと表現しました。ポイントは、経年でピックアップがイカれたりしていないって事ね。さながら、以前のSynologyは音飛びの激しい故障したCDプレイヤーみたいだったのです。だから音楽に没入はできないわけ。音飛びの不安が気になりすぎてね。そういう場合は音質も悪く感じます。

もうひとつ、忘れていけない「成果物」があります。それは、

成果2: 家庭内ネットワーク環境の劇的改善

ROCKがLANで認知されたりされなかったり、いったん接続されてもパージされてしまうことが多い。これを解決するプロセスのなかで、家庭内LANの致命的な問題点も(副次的に)解決されてしまいました。

私は2台の無線ルーターをカスケードで接続しています。仮にそれをルーターA、ルーターBとしましょうか。ABどちらも「ルーターモード」で動かしていました。結果、なにが起きていたかというと、

Aで接続しているとき、Bにぶら下がっているプリンターやAirPlayが見えない。それらを見えるようにするにはBのルーターに繋ぎ直さねばならない。Aにぶら下がっているとき、AもBもぶら下がっている他のデバイスが見えたり/見えなかったりする。または突如として見失う。

これらは全部、二重ルーターモードで、DHCPが多重で配信されているから。そこでこれを機会に、ルーターBをAPモードに切り替えて構築をすべてやり直しました。結果、大正解。

Roon ROCKだけでなく、他のネットワーク機器もすべて疎通し、LAN機材の使い勝手が劇的に向上したんです。

また、ROCKクライアントを触っていても、今までとの違いに驚きました。

これは「我が家で再生対象にできる出力デバイス」の一覧です。驚きの選択肢。
これまでは、3〜5個しか見えていなかったのですよ。TV、AirPlay、Chromecast・・・何にでもリダイレクト再生できる。もう、嬉しい悲鳴です。これらROONの制約ではなく「私が生み出していた制約」だった。UX上も「解き放たれた」かのようです。

たとえば、TVのようなモニタースクリーンを持つデバイスにリダイレクトすると、ROONは非常にゴージャスな「再生画面」を配信しているのですね。そのことも、開通で初めて知った。非常に損をしていたことになる。
 

NUC ROCKは静かで、冷めている

それにしてもRock (NUC11-i5)、静かです。
セットアップ中だから目の前に置いて再生しているのですが。これ本当にファン回ってんのかな?というくらい静か。 筐体はほんのり人肌程度。 大量コピーした直後だし、今はストレージをシークしてDB作っている最中だと思うのに。 再生以外は(再生も?)コアに無理をしない/させない設計なのですね。

◾️第11世代(Tiger Lake)のi5
実は、かなりバランス良い個体なのです。チャッピーと長い時間をかけて選定しました。

  • シングル性能:十分
  • 発熱:比較的穏やか
  • 中古市場:豊富, +安い

Intel の NUC11 世代は、ピーク性能競争というよりも、「小容積で」「過大な発熱をせず」「長時間連続運転し」「制御が破綻しない」という“持続性”寄りの完成度が高めです。そしてこれがRoon Labs の ROCK の思想とマッチするんですね。オーディオ専用ですから。
 

音質はどう変わったか?

正直、変わったような気もするし、変わらない気もするし・・・といった所です。もともと、何の不満もない素晴らしい音と感じていたので、所感に大きな変化はありませんでした。少しだけ音の分離やほぐれがよくなったような気もするが・・・これも完成嬉しさのバイアス効果による「気のせい」かもしれません。

人は、環境変化や心理的な要因で、簡単に「大きく」受容特性(伝達関数)を変えてしまうんです。だから、強く変われと願えばいくらでも音質は変えられます(笑)。出音の物理特性は変わっていなくともね。
さきほど述べた認知ノイズが減ったことにより高音質に感じるという要素は十分にあり得ます。また、Roonは契約が「コア1個」なので、瞬時切り替えによる擬似ブラインドテストも今回はできません。正確な検証のしようもないといったところです。

ただ、結果には本当に満足です。「必ずよい音が出る」と確信しながら聴けるんですから、ちょっと前までとは大違いです。ストレスレスな音楽再生こそは一番最初に目指すべき「最高音質」です。

暫定的ですが、オーディオ用ではないラックに設置して運用開始しました。ROCKはオーディオラックより遠隔した方がよく、また、リスニングポジションからもできるだけ離した方が良いのです。
 

締めに

そもそも、今回のRock案件は

  •  SynologyのRoon Coreが破綻した:破壊・復旧不能
  •  代替のCoreにしたMacも不安定

というところから始まっているのですよね。 つまり、「音質改善」がゴールではない。
特に途中からは「安定運用インフラ」「長期的安心確保」「音楽没入感」「ハード/運用ノイズのリジェクト」ここがゴールに代わりました。
本件の取り組みはまだ始まったばかりですが、今回のRoon Rock構築、すでに120%の満足です。お金は掛かりましたが、投資対効果が想像より遥かに大きかった。 だからこそ、今後はこれを最低10年持続させる取り組みをしていきたい。

Roon ROCK制作編、これにていったん完結です。

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KeroYon

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