音出しセットアップ
前回までで、
- 分解
- 内部検証
- ドライバーの修理
- ドライバー単体測定、パラメータ同定
- クロスオーバー解析
などが完了しました。


・・・・ので、そろそろクロスオーバーやドライバーのお戻しをして、音楽でも聴いてみたいかな?と。
でもいい加減なセットアップです。
適切なスピーカースタンドが無いものだから、小型ブックシェルフのONKYO D-027を台にして視聴しました。スタンドの高さとしては36cmとなりました。本当はもう少し持ち上げられるとベストです。

エッジのラウンドすら取られていない。いちいちラウドスピーカーのサイズに合わせたスタンドを準備せねばならない。音質への寄与が全く無いのにも関わらず床面積だけはしっかり占有する。その馬鹿馬鹿しさを考えるにつけ、つくづくブックシェルフ型というものは当初設計思想通りに壁一面に仕込まれた本棚の中へ埋め込んで使うべきだなと思います。無いですけどね、そんな都合の良い本棚なんて、今も昔も。
だったらブックシェルフなどという名称は全廃すべきだし商品もやめるべきだ。

視聴にはメインアンプではなく、KENWOODのA-1001を使いました。
スピーカーケーブルを引っ張り回したり結線し直したりする必要がないので、便利です。
最初は片側のDS-25Bからパタリとも音が出ないので、断線かなと思いました。A-1001は入力セレクタのエンコーダー以外は正常品だと思っているからです。
検証した結果、不具合原因は2箇所だったんです。まず、このBluetoothレシーバーの出力のミニプラグの接触不良。

このレシーバーは古い製品でWiiMのLAN経由とは比べるべくもありません、が、一応aptx-HDであったり高品位転送が可能となっておりそんなに悪いものでもありません。
もう一箇所の不具合が決定的。A-1001のボリュームの接触不良でした。
ボリュームをぐりぐりと回していると、11時よりも高い時刻では音が出ます。扇動子の接触不良ですね。
対症療法でボリュームは12時くらいに固定。信号源であるスマホ側で音量を絞りました。ディジタルゲインの音質劣化があるはずですが、そんなことを云々する品位のオーディオじゃないしね。しばらく大音量で鳴らしていると、ボリュームが何時になっていても正常に音が出るようになりました。恒久的な対策をするならば、開けてリレーやボリュームのカーボンを磨くべきです。(全然そんな気ないけど)
ウーファーを箱に取り付けてしばらくしてすぐ気づいたのが、ビスコロイド(というより上塗りしてるブレーキフルード)が重力に負けて垂れてきた。水平だと凹面の底に溜まって溶解に気づかなかったのです。


片側のチャネル。
大量にブレーキフルードを塗布したためか、余ったフルードとビスコロイドが溶け出して、下方へ垂れてきてしまったのです。(もう片chは大丈夫。)
フランジの外側まで溶け出してきそうだったので、慌てて拭き取りをしました。そういえばいくつかのBlogでは匙で余剰のビスコロイドを掬い取ってしまってるのを思い出したので、私も要らない木のスプーンを使ってビスコロイドを少しこそげ取りました。
そう言えば中古店でのJBL 4311、溶け出した粘弾制動剤がだる〜んとフレームを超えて箱にまで垂れてきて汚れたのをなん度も目にしましたことがあります。アレですね。どうせすぐ硬化してしまう上に、補修してもこんな事態になるんだからつくづくビスコロイドというのは罪深い設計・素材だったと思います。今じゃ誰も使わないですからね。・・・って
あれ、この辺に使われてるのも昔ながらの弾性剤なんですかね。
https://store.fostex.jp/view/item/000000000278
だとするとこれらも乾いてカピカピになりますね。
音を聞き終わったらまた水平へ戻し、余剰な弾性材をこそげ落として再度ブレーキフルードを塗り直して綺麗にしたいとは思います。除去してももう硬化はしないしFsも上がらないと思います。とはいえ、どうせ捨てるものならそこまでする必要もないか。
視聴感想
音出し準備ができたので、音楽を鳴らしていきます。

一聴、おお〜っとなりますね。
ドーンとした音が出ます。豪快、迫力、闊達、実に滑舌の良い音が出ます。
ただ、やはり荒々しいですね。あらゆる点で少し大雑把なところはあります。ですが、この間口の広い感じ、豪快でスケールの大きな感じは大いに買えます。25cmの2wayですが、ブラインドで聴かせると30cm 3wayが鳴っていると錯覚する人も居るのではないでしょうか?
70〜80年台、大昔の日本のオーディオの音ですね。バッサリ言えば古臭い音。大仰でゴージャスではありますが大味なんですね。低域はドンスコ、ブーブー、威勢が良くて豪快に鳴り渡ります。大型スピーカーっぽい鳴り方です。25cmでこれは立派。ただ、本当に低い帯域はやっぱり全然出ていないですね。重低音感はバッチリありますが。高域はチャリチャリシャキーン、こちらも威勢が良くて煌めきと輝きがありますが少しクセっぽいかな。多分このキャラクターを作っているのがトゥイーターのセンターキャップのチタンです。チタンはいつもこういう鳴りをするのです。最初は吊り橋型かなと思うんですが、中域にも主張があるので三つ山タイプに思えてきました。

低域は常時ドドスコ、ブーブーと豪快なのですが一本調子で透明度やニュアンスが全くなく、しばらく聴いているとそのキャラクターがどんどん鼻に着いてきます。典型的なバスレフっぽいキャラクターです。箱鳴りもかなり感じる。
低域だけにとどまらず、全体的にキャラクターが主張強め。どんな音にも個性とカラーを付けてくるので、元気な感じにはなります。ウキウキした〜活気のある〜そんな感じの音に変わります。
ごめんなさい、このラウドスピーカーはバスレフポートへ詰め物をしてしまう方が多いのですが、私も御多分に洩れず。ポートの半分程度を吸音フェルトで覆ってしまいました。(それでも個性はすごいです)高低だけではなく、中域の上の方にもガサゴソと紙っぽい癖を感じます。
この、大雑把でちょっと乱暴だが色気を乗せてくるキャラクターは、昔のロックやジャズと特に相性がよく・・・。例えばジャズベースは勢いよく弾む。ギターディストーションは味を増したかのよう。サックスやペットはブロウが誇張されたかのようにスカーンと豪快に噴き上がって、妙に生々しく、音楽の嗜好次第では最高のスピーカーじゃないか!という評価も出そう。誤解を恐れず言えばコロッケやお好み焼きへソースを思う存分ぶっかけた感じとでも言うのかな?
一方で、クラシックや本物の優秀録音においては繊細微妙な質感、雰囲気、気配が全部消し飛んでしまう。素材の旨みもへったくれもない感じで鯛のお造りにもおたふくソースぶっかけてきます。ピアニシモの微細な信号は消え失せて無惨。能率が高いから細かい音が拾えているようで、実は全然出ていない。「ステレオ感」はとても豊かなのですが音像や音場となると望洋として蜃気楼のよう。そうこれはサウンドステージがどうこう言う時代のスピーカーじゃないのですね。
生の音や元音場とは全く違うが、「入力されたポピュラー系音楽を美化された音色で楽しく聴かせる」という点においてはかなりの高スコア。しかし現代の一級のHi-Fiラウドスピーカーと比べると古臭さが隠せない。50年近く前の製品ですから古臭いのは至極当然。
かなりボロクソの批評に聞こえるかもしれません。が、ここ10年で私の手元を通り過ぎた国産ラウドスピーカーの中では、これでもかなり上位、最上位に近いと思いました。
ONKYO D-77FX、PIONEER S-UX3、PIONEER S-X3II、KENWOOD LS-11ES、ONKYO D-027…
これら全部安物ばかりですから。正直どれもツルシのままではゴミ芳しい音が出なかった。。。使う気が起きない。
いや国産だけじゃないな。JBL, BOSE, CELESTION… 安物は全滅でした。
それらに比べると、これはこのままでも十分実用になります。当時1本28000円でよくぞここまでまとめたなと。なにしろです、BGM的な鳴らし方とはいえ、これを長時間聴いていられるのです。ウチでは大変な事です。大体のものは10分で音を停められちゃうんだから。その辺がさすがDIATONEという事なのか?限られたコスト内でよく練られている印象を持ちました。私は昔の音楽室に置いてあった2S-305の音がそれなりに好きでした。それと音質は全く異なるのですが、”音のまとめ方”のような部分に共通点があると感じられたのです。現代スピーカーで1本28000円出しても、これと同じ豪快さや間口の大きさは多分無理。中型だが大型っぽいドーンとした鳴りなのですよ。昔のオーディオの、いかにも「どうだオーディオだぞ〜」と言った感じのね。
この後年になるとDIATONEはハニカムやボロンなどの新素材を使うようになり、これとは全然違う高解像度路線を歩みはじめます。もちろん情報量や解像力みたいなものはどんどん上がっていくのですが、音のバランスや本質的な音の生々しさでは、私の好みの音からはどんどんかけ離れていくのでした。
さて次回。
総合特性を計測してサマライズして、このDS-25Bの屠りシリーズは終わりにしたいと思います。そのあとは、サブバッフルを制作してP-610改造版の音を聴いてみたいですね。

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