今日も長文です。かったるい場合は写真のみでもサーっと流してご覧頂ければと思います。

DS-25Bのエンクロージャーに対してP-610の装着ができました。
まずは軽く音楽の視聴を繰り返しています。
音感:ファーストインプレッション
裸で鳴らしてみたところでは歪だらけでやかましい音に感じましたが、しっかりした箱に入れれば果たしてどうか?(その辺、同じ裸で鳴らしたNS-1000Mミッドの澄んだ音色とはかなり違います)
音出し一発目は元気な音が飛び出してきて一瞬「おっ?これは」と思います。しかし軸上でよくよく聴けば、やはりかなり古臭い音でした。
まず第一に驚くのが、低音が非常に良く出ること。これはロクハン(6.5″)のフルレンジにしてはかなり頑張っている方だと思います。重低音は無理だが、常用域の低音がとても豊か。何を聴いてもドンスコ、ブーブーと威勢がよい低音が鳴り響きます。若干一本調子で汚らしく濁った低音ではある。澄んだ低音、ローエンドまで伸び切った低音は無理。しかし音域バランスは取れています。Qtsの高いウーファーをバスレフ箱に入れると概して制動が効かずにこんな感じの低音になります。この低音の感じ、ロードのよく掛かったバックローデッドホーンも彷彿としますね。(BHも共鳴管ですから吸音しない限りは制動がまるで効かない低音になります)
次に驚くのは、高音も良く伸びている感じ。あまりトゥイーターの必要性は感じません。フルレンジ1本で帯域は十分に成立している感じ。それも驚きました。ただし高音が出ているとはいえ、優秀なトゥイーターのような澄み切った高音ではありません。繊細さがないし分解能もないし濁っており汚らしいし空気感や空間感も出せません。

Off-Axis(軸外)でBGM的に聴く分にはなかなか良いなと感じましたが、きちんとリスニングポイントへ椅子を据えて正対して聴いてみると、やはり汚らしい音。空間の出なさ、濁り、歪っぽさ、そしてやかましさが気になります。特に中高域は汚らしい上にレベルが高すぎると聞こえました。前述のブーブーと威勢のよい低音の盛り上がりとバランスしてかろうじて鳴らせている印象。これをして「バランスが良い」と評するなら、そうなのかもしれません。不思議と痩せたイメージや低音不足は感じません。ただ、音色が汚く音感がキツく、それでいてステレオイメージは出ないのです。
総合すると、非常に古臭くて紙臭い音。中高域が汚らしくてフルレンジの限界と弱点がバッチリ音質に反映されてしまった音。そう判断しました。これを良い音だと感じる方は、本当に優秀なラウドスピーカーを一度も聴いた経験がない方ではないでしょうか。私も少年〜青年期にはこれを聴いてマルチウェイには無い良さのある音だなと感じたものですが、それは単に経験不足だったのだと思います。ただ、ずいぶんと頑張っている感じの濁りはありつつも豪快で豊かな低音は買える部分かな、と思いました。
上で「古臭い音」と批評していますがそれには当たりません。”古臭い”のではなく、”本当に古い”のですから。これは半世紀も前の、それも超安物のプロダクトなのです。当時価格で5千円もしなかったのではないですか?現代ではなぜか価格が急騰していますが、とても1本1万円出すような希少価値はないと思いました。
さて、オリジナルの音感はそんな感じですが、サラウンドやスパイダーを替えただけで、これが大化けできるのか?私はあまり期待できないと思いました。上のキャラクターを作っている大部分はメンブレンだろうから、このメンブレンでは過度な期待はできないと思ったのです。3kHzくらいでトゥイーターへリレーすれば、もう少し改善できるかもしれません。(DS-25BのTweeterの方がこれよりずっと良い音です)
オリジナルP-610A(16Ω) の実測特性
セット状態での測定です。本来ならば、非常に高いスタンドに載せた上で部屋の中央部へ設置して測るとベストです。が。そんなモノは持ち合わせていないし面倒臭いので設置位置のままで測定します。参考程度に。
このスピーカーは床から37cmの棚上に乗せています。本来なら55〜60cm程度のスタンドへ乗せるべきですが、このガタイでそんなものに乗せたら視覚的にとても不安定になります。当時でもそんな人はいなかったんじゃないかな?と想像します。

マイクロフォンのジオメトリは床上65cm、on-axisで60cm離したところ。これが限界です。床からマイクが近すぎるのです。時間窓を5msにしても相当反射を拾ってしまいます。一応床に毛布を敷くなどして配慮はしてみましたが、あまり効かないでしょう。
振幅周波数特性(ならびに位相特性)を観てみましょう。

まずはバスレフポートを塞いでいない状態での特性。
グレー線は環境暗騒音のレベルです。ですから20Hz付近のレベルはスピーカー音圧ではなく無視してください。
非常に特徴的なカタチをしていますね。
まず70〜120Hzの低域がドーンと盛り上がっていますが、これが威勢のよい低音量感の正体です。ドライバーQが高すぎて制動できていない様子がみて取れます。一方で中低域はいったん落ち窪んで、1kHzより上の中高域は再び盛り上がっています。これが耳を刺すやかましさの正体ですね。でも、これはバッフルステップがそのまま表出しただけではないでしょうか。このバフルサイズだと、f3=300〜400Hz付近のバッフルステップで約6dBの段差ができるはずです。その影響を匂わす形状になっています。この中低域の窪みは無限大バッフル(本棚など)に装着すれば埋まります。すなわち、これはP-610Aは全然悪いのではなく、BSCを入れて解決すべき課題かもしれません。
270Hz付近に強烈なディップが見えています。これはサラウンドがスッカスカで空気を透過してしまい、コーン前後の音がキャンセルしあっている周波数と思います。ここはサラウンドを密閉しない限りどうにもなりません。

さて、このDS-25B版のP-610は低音がブヒーブヒーとまるで豚のように響くので気になって仕方がありません。そこで、ポートをあらかた塞いでしまうような吸音フェルトを突っ込んでいたのですが、そのポートを塞いだ状態も計測してみましょう。

バスレフポートを塞いだ状態での特性。
あれあれ? あまり変わりが無いような・・・?
よく判らないので、両者を重ねて観ましょう。

ピンクがポートを全開放した状態。ブルーがポートを9割がた塞いだ状況です。ほとんど変わりが見られないですね。
実は聴感上もこのとおりで、ポートに吸音材を大量に突っ込んでも音感が変わらないのです。多少はおとなしくなるものの、相変わらず低音は暴れ馬のようにブーブー云ってます。
次に、インピーダンス特性も見ておきましょう。

ポート全開放状態でのインピーダンスカーヴです。
なんだか、バスレフがうまく動いていないのがよく判るグラフになっていますね。
ドライバーのFsが102Hz付近。そのすぐそば。80Hz内外がポート共振周波数Fpに見えています。ポート設計値はもっと下なんですよね。その下のポート共鳴Qが上がってしまうので、結果としてFpも上がって見えているんです。
素人考えでは、Fpが高すぎるからなんじゃないの?ポートチューンをもっと下にすればいけるんじゃないの?と考えがちですが、それも上手くはいきません。そのように考えてFpが下がるようポートを塞いでいくと、共振峰2つのうち左側の共振峰がだんだんと消失してひとつの峰に合体してしまう=すなわち、密閉箱のようなインピーダンスカーヴになってしまいます。
なぜそんな事が起きるのかというと、ドライバーの共振Qが鋭すぎる=支配力が強すぎるから。マグネットが弱すぎて電磁制動力に欠けたドライバーでは往々にしてそのような発生します。このあたり、バックロードやTLsを彷彿としますね。管共振が強すぎてドライバーのQが消し飛んでしまう。アレに似ています。共振が拮抗しないのです。

最後に歪率も観てみましょう。
思ったほどには「悪くない」ですが、現代ラウドスピーカーに比べると「良い」とは言い難い。1〜2オーダーは劣る感じです。
歪率が重低音域では22%。低音域で5%。中低域〜中高域で2%〜0.8%といったところです。
数値以上に、聴感では中高域の濁りや歪みを感じます。現代ハイエンドにような澄み切った透明感・空気・空間感は出ません。まあ当たり前か、これは古代遺産ですから。
以前実測したオリジナルP-610AのT/Sを再掲して終わりましょう。
| Parameter | Value |
|---|---|
| fs | 82.26 Hz |
| V(as) | 47.95 liters (1.693 cubic feet) |
| Qts | 0.9196 |
| Qes | 1.044 |
| Qms | 7.726 |
| SPL | 93.58 dB SPL @ 2.83Vrms |
| Re | 13.87 Ohms |
| Le | 0.3602 mH @ 10kHz |
| Piston Diam. | 162.6 mm |
| Cms | 0.792 mm/N |
| BL | 5.695 |
| Mms | 4.723 grams |
Qesが1を超えとるだと??こんなものこれ以上どうにもならん。
次回予告。LCRを準備するのも面倒だから、メインシステムの再生系に繋いでBSCを当ててみようかなと思っています。けれどパワーアンプが遠いからケーブルが届くのだろうか?
ついでに、低音もNotchした方がいいかも??
素性の悪い音だから、あまりダラダラ屠っても意味がない気はしています。

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