たびたびご紹介しているとおり、拙宅のウーファーはFsのシフト(再定義)を行っており、線形近似補償によって再生帯域を伸長しています。本日はその原理をご説明しておきます。

まず、上図のような振幅特性を持った密閉型のラウドスピーカーシステムがあった、とお考えください。
密閉型ラウドスピーカーの低域モデルは二次系の線形回路で近似できます。
このときの上図の伝達関数は、


このシステムを線形近似補償したいので、上式の逆伝達関数を準備します。すなわち、


つまり、スピーカーの出力特性が入力信号と全く同じ応答特性となります。つまり、

こんなふうに、このウーファーは0Hzまでフラットに再生できるという。信じられない高性能が得られます。
ただ、このときの補償伝達関数Hh(回路)というのは、

こんな感じの特性となり。
直感的に理解できると思いますが、スピーカーはぶっ壊れますし、アンプも吹き飛びます。
つまり上記の補償は現実的な路線で制限する必要性が出てくるわけです。
そこで、ここで新たな伝達関数 Jhを準備します。



となりました。
つまり、、、、これは、、、、?
Fc1, Qtc1 の系が、
Fc2, Qtc2 の系へ生まれ変わった。
ということなのです。特性で示すと、

こんな感じ。
元の特性はFc1, Qtc1だったが、大きく左側へシフトする。
これによって音圧特性の改善はもちろんのこと、群遅延(位相特性)も改善されます。
そのために、ウチの場合はこんな大袈裟な回路を作って:

アナログドメインで線形近似の特性補償をしました。
(この回路は良くあるLTではありません)
これが我が家の ”Xbassシステム” です。
しかしです。
実は、miniDSPでは、bi-quadフィルタの仕組を使うことで、驚くほどカンタンに、LinkwitzTransformを実装できるのです。係数をコピペするだけです。
次回は、KENWOOD LS-11ESの低域補償を題材に、Fsのシフト(低域の大幅伸長)を説明してみたいと思います。
おいおい、この楽ちんさはますますチートだろ。。。。(^ ^;;)

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