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DIATONEのP-610、接着剤はがしの続きです。

4時間ほど放置し、だいぶ溶融が進んできたように見えるので、スパッジャー、綿棒、キッチンペーパーなどを駆使して、接着剤を除去していきます。

飴状に柔らかくなっていますので、面白いようにぬるぬる取れますね。

ただし(これもアドバイス通りだったのですが、)分厚く固着している部分は一度では剥がせずない所もある。そういう箇所は二度塗りすることで綺麗に除去できました。だいぶラクになっとはいえ、そこは慎重さと根気は大切です。

かなり綺麗になりましたね。さらに上からアセトンで拭き取ればピカピカです。

合格点。

全部の接着剤除去が完了。

オレンジオイルが付いてシミになってしまった個体ですが、なぜか1日置いたらシミがまったく見えなくなってしまいました、ナイス! 音質にも影響は無さそう。

ただ、オレンジオイルは酸性なので、一晩置くとフランジに少し酸化傾向が出てきているようです。

きっちりアセトンで拭いたつもりでしたが、まだ足りなかった。さらに無水エタノールでオレンジオイル成分を拭き取って、これ以上の酸化が出ないようにしました。

まあ見えない場所なので過剰品質なくらいです。

今日はまずは2本を選んで、エステルウレタン製のサラウンドを装着していきます。仮置きをしてみます。

使用するのは新しく買ったGT-520Sという接着剤。基本的にはボンドGクリアーとさほど変わらないような物です。

この接着剤、ノズルが非常によく出来ているのです。先端に物凄く細いノズルが付いており、接着剤の出過ぎを防ぐ。加えて、それをピンで密封して出口周辺の固着を防ぐ構造。この構造一つだけで、買ってよかったと思えました。常用品として利用決定です。

全部の接着剤がこうしたチューブ構造を採ってくれたら神だと思えます。

少量ずつ、確実にピンスポットで接着剤を投下できる。正確かつ適量な塗布が容易。そのかわり出は遅いので、塗布操作にはスピード感が求められます。

ゴムのり系は「半乾き」を待ってから接着するのが定石です。が、このP-610に限っては違う。乾ききる前に素早くサラウンドを乗せます。そうでないと、センター出しに失敗し、VCタッチの原因になります。世には最初にコーンと接合し、後から外周部で調整してセンターを出すみたいなハウツーが出回っていますが、そんな事をしたらフォーマーオフセットがむしろ歪み、タッチの原因になってしまいます。

理屈としてはロードバイクRDの調整と同じ。チェーンをかけずどこにもストレスが掛かっていない状態で初期アライメントを出すのですよ。

接着剤がまだぬるぬるの状態で慎重にサラウンドを乗せ、センターを出して起きます。

そうしたら、ひっくり返します。ひっくり返すとごく僅かなコンプレッションが掛かってサラウンドが圧着されます。裏側からコーンを軽く押して、圧着します。本当に「軽く」です。強く押すと接着剤がはみ出すだけでなく、サラウンドが歪みます。

2本目の接着もOK。

今回入手した4本のP-610A (=16Ω) は、偶然どれも5501.  昭和55年の1月製造です。

1980年ってことですね。

この年代のP-610は、ご覧の通りターミナルが特殊で普通のファストン端子などは使えない形状をしています。ダイレクト半田付けするしかありませんね。

さらに、この辺りのネジ穴はマッチングトランスを装着する穴だと思いますが、こんなふうにケーブルを固定するために使われることもあるんですね。

P-610のコーン、遠い記憶よりもコーンが丈夫そうでびっくりしたのですが、正体はこの外周部の固着した接着剤。これがあると剛性が高く感じられるだけでした。非軸対称分割振動を抑制する効果があります。逆にいうと、外周部接着剤を除去すると、幼い頃の記憶通りにメンブレンは「ペナペナ」「よれよれ」でした。このよれよれこそがP-610のヒミツなのです。

内周の接着剤が乾燥したところ。
うーむ。なかなかうまく行ったように思えます。サラウンド接着前はセンターキャップを押すと、「ガサゴソ」とVCがタッチする音がして嫌な感じです。しかしサラウンド接着後はセンターが上手く出るためなのか?雑音がしなくなるのです。

これで接着完了ではありません。次は外周部の接着です。外周部は一挙接着ではなく、部分的に固定してから全体の接着へと移っていきます。
それは次回。ゆっくりとやります

P-610は磁気回路がとても小さいのに能率は高いので、Motor Systemの基本について整理しておきましょう。

F = BLi

   F = BLi 

です。普遍の原理。

フェライトのマグネット直径が巨大なことにはあまり意味はありません。
ギャップのB(磁束密度)が高くなければならない。またL(有効ギャップ幅中の線路長)が長くなければ意味がありません。

P-610の場合は設計が古いので豆粒のようなアルニコ。ポールピース径が小さく、ギャップ長lも極端に短いわけです。また、ギャップ幅もかなり小さめです。そうすると、マグネットは豆粒のように小さくともBL積はそれなりに大きくなり、電磁制動が大きくなって効率が高くなるわけです。

ギャップ長が小さくフォーマーが紙ですから、磁気ギャップ中のVC占有率が高くなります。つまり、余裕が無いからVCがギャップに擦りやすくなるわけですね。フォーマーの僅かな変形もダイレクトに影響しやすくなります。

古いラウドスピーカーほどこの傾向があるので、リペアしたりリエッジしたときにフォーマーのアライメントに留意しなければなりません。

現代的ドライバではQes(電磁制動力)がほぼ支配的になりますが、古代のドライバになるほどQms(機械制動力)と拮抗する・・・とまでは行きませんが、影響力が大きくなります。

それと、日本ではスパイダーのことを「ダンパー」と呼んだりしますが、これには著しい違和感があります。全くダンプができていない構造物を「ダンパー」と呼ぶとは・・・。
スパイダーはフォーマーをセンター支持して振幅直線性を確保する。それ以外の役割は担えません。振動系を「制動」するほとんどの制動力は電磁制動力に依るものです。(1950年、古代の設計ならいざ知らず)

何を言っているか理解できない場合は、導電型ラウドスピーカーの構造と動作原理の原点に立ち返って勉強し直してください。現代型ドライバーの電磁制動力と機械制動力の構成比に付いて理解し直してください。「ダンパー」などという呼称は誤りです。正しく「スパイダー」と呼びましょう。
もし、「ダンパー」と呼べるものがあるとするならば、それはMotor Systemそのものです。

前述の通りP-610の場合は設計が古くギャップ長lも極端に短い。
そうすると、

フォーマーが僅かに傾斜したり、

オフセットがほんのわずか(0.数ミリ)ずれただけで、簡単にVCとギャップが接触してノイズが出てしまいます。P-610のギャップの神経質さは現代ウーファーの比ではありません(フルレンジなのにトゥイーターなみ。)

それは百も承知の上ですが、次回以降でスパイダーを自作のふらふらスパイダーへと交換します。

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投稿者

KeroYon

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