百均部品で造る、1000円予算の天変地異なラウドスピーカー・プロジェクト。MX-0001Λ(らむだ)。
千円のスピーカー・・・・・・
塗料、ターミナル、ケーブル、抵抗は 手持ちを使ったからゼロ円なんだぃ!
・・・というムリな主張が通用するならば、まだ660円しか使ってないのだから、ギリギリ1000円スピーカーと言い張れる素地はある(笑)
Λも簡易視聴後のブレイクイン中に端子がショートして、その後は放置状態だったのですよね。アンプが直ったことだし、子分も特性を実測してみましょう。
これも妥当な実測は難しいですが、今回は精一杯クソ真面目に採ってみますか~。
親分にどのくらい肉薄できるかな?
FarField計測
まずはFar Fieldから計測を始めます。
どうしてFar Fieldの計測が必要なのでしょうか?バッフルステップやエッジディフラクションなどの実装影響、それからポート合成による位相干渉など、実装状態での影響をすべて取り込む為です。その一方で、無響室同等とするため、床や側壁からの反射は時間窓でリジェクトします。正しい計測に近道はありません。
計測ジオメトリは、マイクロフォン距離が80cm。高さは70cm。時間窓は5ms.にセットアップします。

このドライバはドライバ単体では驚くほど素直な特性を持っているのです。なのにこのように凸凹するにはそれぞれ理由があります。
1.
2kHzまでに、時折カメの甲羅のような亀裂+盛り上がったピークが、リズミックに連続して見えますね。これが所謂、共鳴管(吸音していないTLs)システムの弱点です。ポートから漏れ出してきた信号の位相が廻り続けており、それがドライバ前面の信号と位相干渉し、正相・逆相・正相・逆相 の合成を繰り返しています。だから、この特徴的な形状のディップ(および切り餅風のピーク)が見えるのです。
2.
2kHzより上はちょっとまた原因が違って、例えば3.1kHzに見えているディップは元々このフルレンジドライバが持っていた癖になります。
3.
それら以外の細かい凸凹は、バッフルエッジ回折によるものです。
オリジナル形状にこだわっているから、あんな六角形状にしていますが、本当は天地もエッジもできるだけ丸めて卵に近づければ特性は整います。ただし2kHzより上だけね。
またはAndromedaのようにエッジを大きくカッタウェイするか?

Andromedaにはエッジディフラクションとおぼしき凸凹が特性上にまったく見られません(自慢)。当たり前ですよ。きちんとバフル設計しているんだから。
次に、Blendedも見てみます。

<Blended>
Blendedとは、途中5ms.くらいまでは無響で測るのだが、+途中から反射も拾って低域まで測るという折衷・ブレンドモードです。
なんか、滅茶苦茶低域が伸びているように、見えませんか? でもこれ、インチキですので。
グレー線をみてください。グレーは、昼間の無信号時の暗騒音レベルを示してみました。つまり、暗騒音を拾って低域が伸長しているように見えているだけって事。
日本でネットに転がっているアマチュア測定グラフの大半は、きちんと無響または疑似無響とことわりを入れていない限り、大概暗騒音やその他の雑音を拾ってあたかも低音が伸びているように見えているだけです。スピーカーを破壊するほどの大音量で計測でもすれば、話は別ですけど ![]()
正しく低域特性を評価するためには、これから説明するNear Fieldの測定と組み合わせなければなりません。
NearFieldで低域測定
Far Fieldでは、時間窓を使うことで反射波をリジェクトし、仮想的な無響計測を実現しました。でも、測定ジオメトリによって時間窓には限界があり、そんなに長い時間にはできません。反射を拾ってしまうからです。時間が長くできないってことは、低域が測れないってことです。
そこで、低域(200~500Hz)より下の帯域はぐっと近くで測るわけです。これがNearField。
近くで測っても、時間を長くすれば反射波は拾っています。しかしドライバーのメンブレン直近で測られた音圧とは100倍~1000倍くらい音圧差があるから、反射音圧を無視できるという仕掛けです。

ドライバのニアフィールド測定は、メンブレンの前面ぎりぎりに近づけます。
マトリクススピーカーのように左右の音響干渉/電気干渉があるものは近接測定が厄介です。仕方がないから、1本のドライバーにだけ近づけます。
逆に、Xbassは4本付いてますけどラクですよ。Xbassは密閉型ですからね。1本近接で測れば、4本とも全部特性は同じで、4本分もその延長になります。
まさかとは思いますけど。皆さんは「ドライバーを4本も使うと1本より低域が伸びる」のような誤解はされていないでしょうね? 4本使ったって低域は伸びたりしないですからね。4本使っても音圧と許容音量が上がるだけで、低域伸長は同じです。
ウソだと思ったらBoxSimにT/Sでも突っ込んで確認してみてください。
(ついでに言うなら空気感みたいな官能的性能は上がる)
さて、まずはドライバー単体です。


<ドライバ前面 – Near Field>
これは過日に測ったドライバ単体特性とそっくりです。ホラホラ、高域のブレイクアップを除けばなかなかにキレイな特性でしょ?
近接場ではポートの音やエッジ回折音が排除されます。
共鳴管の音と混ぜ合わせたり、カクカクした箱に突っ込んだりするから、特性はガタガタするし音も汚らしくなるんです。
次に、トランスミッションライン・・・というより、吸音材突っ込んでないから「共鳴管」のポート近接でも測ります。


<ポート前面 – Near Field>
相当なレベルで中高域までダダ漏れですねえ。ここがドライバ前面と干渉するわけです。
ところで、低域がなんだか妙に伸びていますね。ナンダコレ?
最初は暗騒音なのかな?と思ったけど、暗騒音はオーバーライトしていて、グレーの線がちらっと見えるでしょう。暗騒音よりレベルがはるかに高いので、暗騒音ではなく本当に伸びている・・というか何かが染み出しているみたいです。ただ、中低域に比べて -15dB も下がったところですから、こんなのは殆ど聴こえません。しかしこんな現象を見たのも初めてなので、興味津々ではあります。まるで制動力のないドライバを使うと、こういう傾向が発現するのかな??
低域特性をサミングする
さて、これでドライバ前面と、ポート前面の測定結果が揃ったわけです。
これを数学的にサミングします。

赤線が合成された結果です。
せっかくドライバの音(緑)はキレイな形状だったのに、ポート(紫)と混ぜたために、かなり汚い波形になっちゃいましたね。そういうものなんです。
程度問題はありますが、ポートバスレフでもこれと同じ事が起こっています。
なんだ、こんな特性になるんだったら、ポートの音(紫)を封印しちまったっていいじゃないか?と一瞬思うのですが、これが有ると無いとで聴感は大違い。なので、この赤線が必要と判断しています。
ここで得られた赤線が、「ニアフィールドで得られた疑似無響の中低域特性」というわけです。こちらをさきほどの、「ファーフィールドで得られた疑似無響の中高域特性」と合体します。
総合的な特性

ざっくり赤がニアフィールド。紫がファーフィールドの測定領域になります。
かなり変わったカタチをしていますねぇ~。
こういうのを俗に「吊橋型」とでも呼ぶのかな?
低域下限はまぁ、一般常識的な記述をすると「140Hzまで」という表記になるでしょうね。YAMAHA流のスペック表記するならこれでも「10Hzまで」だけど。
なんか、このf特のグラフだけ見てると、ロクな音は出ない予感ですよねぇ。しかしこの後、このラムダを使って私的にはちょっとした”事件”が起こったのです。
長くなっちゃったので、つづきはまたの機会にでも。。。
【この連載の目次】
- MX-Λ (1)百均DIY構想
- MX-Λ (2)千円に収めるためには?
- MX-Λ (3)こんな小さな板に収まるの?
- MX-Λ (4) Gen-AIに設計少し手伝ってもらっちゃった
- MX-Λ (5)3D-CAD設計しておいた
- MX-Λ (6)男はつらいよ、カッターで切れない編
- MX-Λ (7)トリマーテーブル出撃~
- MX-Λ (8)パーツを二次加工だぁ~っ!
- MX-Λ (9)組立、ガンガン!
- MX-Λ (10)できちゃった
- MX-Λ (11)塗装も終わっちゃった
- MX-Λ (12)ドライバ実装も終わって先に音が出ちゃった
- MX-Λ (13)大きさを体感してみよう
- MX-Λ (14)端子板を作ろう
- MX-Λ (15)ターミナルが付いた
- MX-Λ (16)子分の物理特性
- MX-Λ (17)下剋上なのか?
- MX-Λ (18)いったん最終回、空気録音:S/N悪し
- MX-Λ+ (19)また粗大ゴミを買ってしまい…
- MX-Λ+ (20)Z4の基板を改造
- MX-Λ+ (21)進められる所だけでも
- MX-Λ+ (22)Λ専用サブウーファーが完成した
- MX-Λ+ (23)ぶっ壊したアンプを修理して完成
- MX-Λ+ (24)いくつかの改善点着手
- MX-Λ+ (25)測定とNotchの確認
- MX-Λ+ (26)完成、Notchの効果測定とリバース
- MX-Λ+ (27)真・最終回

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