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MX-0001Λ(ラムダ)はマトリクス方式のスピーカーシステムです。
マトリクススピーカー本来の構成であるフルレンジ4本に加えて、アクティブサブウーファーによる低域の拡張と広大な音場を実現しました。
このシステムは当初、「百均の部品で作る」を目標とされていたため、制作費が超ローコストです。また、1.5インチ小型フルレンジを利用することで「世界最小のマトリクススピーカーシステム」も狙いました。
結果としてサブウーファーを加えてしまったので世界最小とはなりませんでしたが、ヘッド部分だけなら本当に世界最小レベルだと思います。このヘッドの小ささが広大な音場感にも寄与しています。

目次

百均を上回った超激安ドライバーの入手
ドライバーの特性を実測する
ご予算お見積り編
TLsの現実味シミュレーション
エンクロージャー設計と板取図面
部材のカットと二次加工
接着、組立
塗装
視聴開始
端子板の追加
単体での実測特性
世界最小のマトリクススピーカーと、その音質
サブウーファーの追加構想〜アクティブ化へ
アンプ回路の改造
サブウーファーの完成とテスト
ファイン・チューニング
ノッチ回路と最終チューン
突風のように手元を通り過ぎた存在

百均の素材ばかりを集め、ご予算1000円以内で比較的立派な音のするマトリクススピーカーを創るというのが当初の着想でした。モチベーションの原資となっているのがこちら。

百均を上回った超激安ドライバーの入手

この1箱がステレオのセットで、税抜き100円しないのです。(税込で107円、これ全部でも428円!!)

なんとドライバーを8本も入手しましたので、このうちの4本を使います。つまりドライバー用の費用はたったの214円ということ。1本あたり50円ちょっと。

これの類似スピーカーを、かの有名なダイソースピーカー(300円)で入手するとトータル660円ですから、なんと百均プロジェクトよりも安いことになる。

これがそのフルレンジドライバ。

マグネットはΦ30mmのフェライト。
 

メンブレンにLAZOS。と印刷がある。これ余計なんだよな〜。でも安いから文句も言えない。
サラウンドはウレタン製ロール。
メンブレンはアルミ製でコンケーヴ型。口径は1.5inch(約40mm)です。

元々付いていたアンプ回路やエンクロージャーは要らないので捨てちゃいます。
勿体無いと思いますか?まったくもったいなく無いです。ドライバ以外は粗大ゴミみたいなものですから。
 

ドライバーの特性を実測する

ラウドスピーカーの基礎設計を始めるにあたり、ドライバの素の特性を実測することは「不可欠」です。
もともと付いている箱に入れた状態/しかし内蔵アンプはスキップした状態で特性を実測します。

70cm距離での疑似無響と、それから近接場での特性を測ってみました。

<まずこれが近接場>

<次にこれが70cm距離>

なんでこんなにガタガタしているのか?これは、スピーカーシステムのエッジディフラクションの影響を受けたり、それからこのスピーカーを取り付けた三脚からの反射回折影響を受けているということなんです。つまり、

このスピーカーの外観形状や支持している三脚のが良くないということなんですよ。
スピーカーのヘッド形状が小さければ「点音源で音場感が良い」みたいな大ウソを良く見かけるんですが、そうした解説は全部ウソですから信用しないようにしましょう。科学的な根拠がゼロです。軸上応答特性がグチャグチャに乱れていて音場感が良くなるはずもありません。ラウドスピーカーは、バッフル/外形形状による反射回折の影響を最小限に抑止・あるいは補償して、はじめてマトモな音になるし正確な音場感も最大化されます。ましておや、バッフルステップ補償すらない「小バッフル」は必要条件にすら成れません。
 

ところで、近接場におけるこの中域のフラットな特性は、ドライバー単体でのポテンシャルを示したものということができます。フルレンジではなくミッドレンジとして設計されたものであるなら、ほぼ満点をあげてもいいくらいに優秀なものです。500-5kHz帯域は振幅特性も位相特性も優秀とみなせます。このドライバーの優秀性がこの後のラムダの音質を決定付けたと言っても良いでしょう。ただし、この高域ピークをいかに御するか。というのがそのままこのシステムの課題になりました。

低域は想像では200Hz止まりかな、と思っていたら150Hz位まで十分に伸びていて驚き。これならば低音「感」もあるはずです。この低域下降特性はこのエンクロージャー:Fs=270Hzの密閉箱へ取り付けたときの特性です。Fsが270HzであってもシステムQが飛び抜けて高いから、低域が盛り上がってくれるのでしょう。惜しむらくは、5kHzから上で、振幅も位相も乱れが顕著になっています。音楽を聴いていると5kHzより上の帯域でカラーレーションを感じることが多いかもしれません。

いわゆる「フルレンジ」は紙のメンブレンが使われることが多く、この図に見られるような高い共振峰は見られません。しかしそれは特性が整って良好なのではなく粗が分散されているからです。紙の場合は5kHzよりもっと低い周波数から分割振動が始まってカラーレーションが始まっているが、見かけ上は共振分散されているから特性上の粗は目立ちにくくなります。(共振していないということではない)

8kHzに大きなピークを創るこのスピーカーで、色付けは避けられませんが、ある意味では4cm口径としてとても「素直」な特性を持っているという見方ができます。ウチのAlphaの5cmミッドレンジは、5cmで10kHzまで信じられない線形性を保っています。さすがにソレには敵わないものの、このフルレンジも小細工をこうじていない素直で真っ当な特性を持っていると判断しました。

今回は、このフルレンジのハイカットをせずにフルレンジとして使いますので5kHzより上でのカラーレーションは避けることができないでしょう。中域の線形性には刮目すべき点があるものの、フィルターレスのフルレンジとして使う場合においてはアルミコンケーヴよりもペーパーコーンのほうが「七難隠して優勢」かもしれません。

次に、システムとドライバー単体のインピーダンスとT/Sを測っておきましょう。

(本来は十分なブレイクイン後の計測がBESTです)

スピーカーシステムの箱に入った状態。

こちらが裸での実測です。

箱に入ったときのFsは270Hz、裸でのFsは155Hzのようです。ブレイクインしてないのに、思ったよりは低め。逆説的に言えば、能率は低いと思います。このドライバの問題はQtsでした。飛び抜けて高い。裸のQtsは3.27。ドライバがT/Sを利用してシミュレーション設計可能とするには、少なくともQtsが0.2ー0.8程度には収まっている必要があります。これは完全にT/Sのシミュレーションレベルを飛び抜けています。

私はこのシステムをTLsとして仕上げる計画でしたが、この高すぎるQtsによって動作シミュレーションはほぼ不可能となり、暗雲が垂れ込めた瞬間でもありました。

なーに、シミュレーションが難しくなったというだけで、マトモな音が出せなくなった。というわけでもないのです。何とかなるさ。

ご予算お見積り編

1本50円のドライバー

私はドライバー1本50円で入手できてしまったわけですが、本来これは反則。
本当であればダイソーUSBミニスピーカー300円を2つ購入したと仮定して、ご予算600円を消費したはずです。そうなってくると、残額はたったの400円。板材費は、その400円の中から捻出しなければなりません。(ズルしてケーブルや塗料は除く)

吸音材、ケーブル、塗料は手持ちの余り物を使うとして、予算ゼロ円「という事に」します。ターミナルは省略で直出しでコストを抑えます。

ダイソーにはMDFのM-5という商品があります。

サイズ、300x600x6mmのMDF。
税抜き200円ですので、これの2枚で板取ができれば、ぎりぎり1000円に収まったことになります。本当は税込みだと100円はみ出してしまうのですが、そこは「税抜き1000円達成」ということで、ずるっ子します。

ドライバー 300円x2 =600円
板     200円x2 =400円
———————————————————————–
       合計  =1,000円(税別)

TLsの現実味シミュレーション

本格的な板取に入る前に。

まずは、この小さな小さな板2枚で収まるようなサイズでありながら、まともな特性を現実的に設計可能なものか、お得意のシミュレーションから始めます。
ダイソーのミニスピーカー買ってきて、それをその辺の自作木箱に収めてみました的なコンテンツなら世に無数に転がっています。それと似たようなモノを作っても面白みはない。そこで、マトリックスシステムにトランスミッションラインですよ。

奇妙な音場を創り上げるマトリクス・システムに加え、4cm径のコーンドライバでは実現不可能なはずの低域再生も兼ね備えることで、世のダイソースピーカーとは一味違う仕上がりを目指します。とはいえ。。。クセのあるドライバーですからね、音質には限界がアリアリかな?

現在制作中のMX-1000Hは一切の妥協を排して・・・な~んて事は全く無くて、実は厳しいコスト制限をはじめ妥協に妥協の妥協を重ねております。このMX-0001Λは、それに輪を掛けた徹底的手抜き、妥協と超ローコストお気楽を目指します。

このドライバーの実測パラメーターです。

f(s) = 166.4 Hz
Q(ts) = 3.414
V(as) = 0.3095 liters (0.01093 cubic feet) / Driver
R(e) = 5.656 Ohms
Q(es) = 6.257
Piston Diam. = 40.64 mm (1.6 in.)

Sd = 13.2 cm^2 / Driver
SPL = 76.97 dB SPL 2.83 Vrms
C(ms) = 1.31 mm/N
L(e) = 0.07573 mH at 10kHz
Q(ms) = 7.512
BL = 0.8126
n(0) = 0.02172 %
M(ms) = 0.70 grams

前稿でLAZOSのフルレンジドライバのT/Sパラメータが実測できましたので、それらをSpicyTLのドライバ係数に突っ込んで模擬してみます。

当ブログではお馴染みの、SpicyTL。
直管を一箇所180度で折り返した、全長約120cmストレートパイプTLsです。
マトリクスヘッドブロックが空気室になります。スタッフィングは特性を眺めながら微調整しました。

(図中下方に要らない箱がたくさん並んでいるのは、テーパー、ストレート、エクスパンド、色々なコンポーネントを試してみたからです、最終的にはストレートに決定)

 

この1.6inchのフルレンジはQts=3.41と極端に高い数値を示すもので、したがってT/Sの模擬範囲を逸脱しています。ということは、このSpicyTLのSim結果もあまり信用なりません。Qが極端に高いドライバでは想定した挙動にならないリスクがあります。
 
それでも強引に模擬した結果だけお見せすると、こちら:

 

うぉおおおお。ワイドじゃん。

 

かなりワイドレンジです。
結果だけ言うと、凸凹は有りながら60Hz付近まで低域を伸ばせるという試算になりました。
4cm口径のフルレンジ2発(モノラルパート)で60Hzとは、、、考えられない伸び。
 
ただ、180Hz付近にポッコリと大きなピークが出来てしまいました。この共振は、LAZOSフルレンジのFs共振に因るものです。

 

私は前稿BHとTLs(3)で、「ドライバーのFsは何処かへ消し飛んでしまう」と表現しました。でもそれはドライバーのQtsが十分に低く常識的な範囲の話であって、ドライバの共振があまりにも強烈であるとそれが吸音制動後にも残ってしまうということが判りました。Fsと思われる共振はバッチリ居座っています。この場合は、パイプの気柱共鳴がドライバを支配しきれなかったということになります。

おかしな話ですよね?ドライバーの磁気回路が超強力な場合は、パイプ共鳴に支配されてしまい、ドライバーのモーターシステムが弱々の場合は、逆にパイプ共鳴に支配されないなんて。磁気回路が強力な方が支配力が強くてパイプ共鳴も制動蹂躙するであろうという「感覚的/直感的に」考えたのと真逆の結果になります。この、「感覚で考えたものが間違っている」というのは、象徴的です。物理現象を学習せず、感覚や直感だけに頼った判断や想像というのは、往々にして想像と真逆の結果になる場合があります。一例として:「箱を小型化して点音源に近づければ、キャビネットの影響がゼロに近づくから、f特はフラットになるし音場感も向上する。」

 

話を元に戻すと、

この180Hz付近のピークは聴感上もクセになって、再生音をカラーリングすることでしょう。でも、この程度のピークはバックローデッドホーンには普通にあるし、吸音していないTLsにもあります。このままでも一応実用にはなるでしょう。

 

しかし、そこは性(さが)。もうチョイなんとかならんのか?で調整した結果がこちら:

かなり平坦な特性に改善されました。

少し低域端が落ち窪んでいるのですが、そこをさっぴけばF3は54Hz付近に来ます。あり得ないです!!これ4cm口径のスピーカーですよ?
何をやったの?

 ・・・かというと、実は180Hzにノッチを入れました(笑 

等価回路図をしげしげ眺めると・・・いわゆる反則技です。
(欧米人には常識範囲なのだが、ガラパゴス日本的な常識感からすると、反則に見えるという観点での反則技)

群遅延も大幅改善されているので、振幅特性だけでなく過渡応答特性も改善が見込め、入れない手はありません。
ただ現実にノッチを入れてしまうとノッチ用の部品代だけで千円プロジェクトではなくなってしまうので、話半分程度にするか、はたまたどうしても我慢できなければDSP(アクティヴフィルタ)でノッチしようと思います。実測するとこのピークは出ないのかも知れないし。
 

・・・といったわけで、多少のエクスキューズはあるものの模擬レベルでは口径比とんでもねぇワイドレンジが狙える事が判りました。とてつもねぇ値段のドライバーで、とてつもねぇコスト制限で、とてつもねぇf特のスピーカーを創る。実にユカイ!

ただ、前述のとおりT/Sの線形領域を大幅に逸脱するドライバーだから、シミュレーション通りの応答特性にはならない可能性が高いのです。つまり絵に描いた餅で終わるか。

エンクロージャー設計と板取図面

音道の設計はあらかた終了したので、これを実際の構造と板取図面に落とし込んでいきます。

部材

使うのはダイソーのMDF、300 x 600 x 6mmというものです。これが2枚。

設計

こんな小さな板で全部取れるものなのか?予算に限界を設けているのでそこはチャレンジです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: o0645082715492547505.png

​​最終的に落とし込んだ設計図面がこちら。何とかギリギリ2枚で採れてしまいます。
でも本当、ぎりぎり。カタチもいびつで完璧な設計は出来ません。「千円プロジェクト」ですから、2枚以上は使ってはいけないという縛りなのです。

立ち姿がこれ。
うう、ひどいデザインだ。オマケにかなり不安定です。
マトリクススピーカーは、ただでさえ見た目がキモいですが、これはもうキモすぎ。

もし長岡風にイキモノニックネームを付けるとしたらサ●ダ●シに決まりです。(苦手な方、ごめんなさい)

3Dモデル

さて、ついでに完成予想図を3Dにもしておきます。
ドライバーはネット上のありモノを流用させてもらいました。
メンブレンとサラウンドだけ置換して描き直しました。

ヘッドだけ見ていると、立派なんですけどね。
全体像はこれです。

MX-1000も奇っ怪なルックスでしたが、それに輪をかけて、Λはなんでこんなにキモい外観になってしまうのか?
それは細長いからだと思います。どうしてこんなに細長く見えるのでしょう。それは、マトリクスヘッドが驚くほど小さいのです。大人のオトコの人が手のひらを拡げてみてください。その手のひらより、このヘッドは小さいです。だから細長く見えてしまうというわけ。これだけ小さいと、邪魔にならずに収納できそうです。

下図はTLsのロードのようす。

折り返してヘッド後方の上部から音が吹き出します。
底板にはなぜかメンテナンスホールが空いています(笑

この穴から、スタッフィング材を出し入れして、調整を行うという算段です。ドライバー穴からはとても手が突っ込めません。小さすぎて。底板は、平らな床に置くことで穴を塞ぐという仕組みです。

部材のカットと二次加工

部材の切り出しは、ほぼカッターナイフで切り出すという暴挙です。

電動鋸をはじめとしてノコギリやトリマーで板材を切り出すと、その切りしろで寸法が不足してしまうからです。例えば、トリマーを使うと1カットで最低でも6mmをロスします。4枚に切り出すのなら、6×4=24mmもロスしてしまうわけです。MDFを3枚使えば十分足りて、こんな配慮は要らないのですが、なんとしても板材を400円に収めるという足枷を自身に課しているので、それはNGです。

となると、残る手段は、、、、カッターナイフで板をカットして切りしろのロスを最小限にするという暴挙になります。

簡単に工程を説明すると:

1. 本来の大きさよりも1mm~3mmほど大きめに、カッターで部材をカットする。
2. その後、余剰をトリマーで除去して正確な寸法を得る。

これならば、ロスは最小限で済みます。

ダイソーの6mm MDFをカッターナイフだけでカットする。

世の中にはそういうムチャなチャレンジをしている方々は、結構居るのです!
たとえば、

【検証】厚さ6mmのダイソーのMDF材はカッターで切れるのか? | チコの旅行記

私も大昔は4mmのラワンをカッターでカットするなどの経験はあります。でも、MDFはラワンに比較して圧倒的に高密度かつ高硬度なので、難儀しそうです。先達の情報を信用すれば、できないわけでは無いようなので、さっそくやってみましょう。

私の場合:
まずはデザインナイフで正確な溝を切り、溝がある程度安定してきたら、大型カッターナイフに持ち帰るという作戦で挑みました。

やっと1枚切れた~。
かなりしんどいです。手が痛くなりますね。先達のコメントによると、15回繰り返しカットすると、2/3くらいの深さまでカットできるという。検証するために、回数を数えてみました。

向こう側まで一部貫通するのに72カット。全カットが完了するまでに84カットでした。
15回ではとてもムリでした。

2回目。今度は95カット(ハァハァ)
だんだん切れなくなってくるのはなぜ。手の力が弱体化するから?
この3枚を切り出すのに、カッターの刃先を6枚消費しました。集中力を考えると、1日に2カットが限界でしょうか。手も痛くなることだし、ゆっくりと演ることにしました。あと200円予算を+するだけで、ぐっとラクになれるのにね? なんでこんなアホな命題を掲げてしまったのだろうか?

で、けっきょく3日掛かりで、7枚の長材を切り出しました。ハァハァ
なんだか、苦労しているジブンがとってもおバカに思えてきますね。あと、たった200円。200円ご予算追加するだけで、楽になれるんだぞ?(という悪魔の囁きが聞こえる) 何をバカなことに拘っているのでしょうか?
ヨコカットだけ終わらせてしまえば、タテカットは余裕があるから、カッターではなくトリマーが使えるので楽ちんです。

厚紙でアライメント

で、カッターナイフを使って、切り出したこれら、まだ荒削りなのです。

正確に寸法は出ていない。
カッターの切り口のままでは汚くて使えないから、すべての部材は「数mm大きめ」で切り出しています。

前回カット時に、板上にMEMOが残っています。これはナイスアイディアでした。
100→98。これ、何言ってるんでしょうか?
現在は100mmで切ってあるが、この両端を落としてキレイな98mmに仕上げろ、と云っているんですね。

そこで登場するのが、以前準備したこの自作トリマーテーブル。
初めての出陣にドキドキ。
これで寸法を揃えていきます。さて、どうやって正確な寸法を出していこうか。

今回は、部材に合わせて紙のジグを準備しました。各々、とても正確に厚紙を切り出して寸法を記入しています。
 

この厚紙ジグを使って、トリマーの間隔を調整するわけです… こんなふうに。

トリマーテーブルの始動

トリマーテーブルにいよいよトリマーを取付していきます。

整合する皿ネジがなかなか見つからないのですが、なんとか4本確保して取付けました。ちょっと長すぎるんですが・・・。 数千本のネジビス持っていても、用途に合うものはほぼ無いのです。

裏側から見たところ。いい感じに接続できました。

屋外に持ち出して、ウマの上にセットアップしていきます。

こんな感じ。板厚が薄いので、トリマーの刃は沢山突出させる必要はありません。
 

まずは、これら部材の幅を整形していきます。
 

ジグの厚紙は風で飛ばないように、バインダーの中に保管してあります。

板の幅を調整する

まずは108mmです。刃が最も突起した部位に厚紙を当てて計測しながら幅を微調整します。
 

1枚めを切り出しているところ。
写真を撮るためだけに、わざわざ途中で停めました(笑

1枚めの幅調整が完了。すごい粉塵量です。
やっぱり、コツは「ゆっくり」です。ついつい高速でせん断したくなりますが、とにかくじりじりゆっくりと切り進めるのが肝要でした。

次は100mm。
)部の陥没で並行を保つのが難しいため、ストッパー左右を逆転しました。

100mmを切り出すときは、両端が汚いので、一挙に102mm→100mmへカットするのではなく。
 102mm → 101mm
 101mm → 100mm
と、2段階で左右を切除して、左右ともに端面を整形します。カッターで切ったのとは端面の美しさが全く違います。

幅方向(横方向)はすべて部材の調整が終わりました。
次は、縦方向をカットしてパーツを確保していきます。

パーツへ切り出す

3つの部材を切り出したところ。
横方向の幅を揃えたのと比べ、並行を保つのが難しく、少々神経を使うカットになりました。
とにかく各パーツが小さすぎるのです。板材を押さえつける指とトリマーの刃も接近しますので、いつも以上にケガに注意です。

はい、XY全部の切り出しが完了しました。

今回デビューの自作トリーマーテーブル。作業効率は絶大でした。大きな部材も/非常に小さなパーツも、無理なく切り出すことが出来ました。このテーブルなくして、今回のパーツ加工はムリだったかも知れません。それぞれパーツがミニマムすぎて、クランピングしてのトリマリングが難しいからです。
 

ナンバリングした上で、上下左右の「バリ」をサンドペーパーで綺麗に整形しました。XYカットはこれにて完了。
ここまでの作業で約1時間。

パーツの穴あけなど、二次加工

これらに穴あけや斜行カットなど、二次加工を施していきましょう。

加工するためのケガキをします。
ケガキで採寸していて気づきましたが、驚くべきカット精度です。最大でも0.2mmくらいしか誤差が無いんじゃないだろうか。

LAZOSドライバーも持ち出して、直径の採寸をしておきます。

さて、屋外へ持ち出してマウンティングホールの加工です。
いつもの回転ジグを持ち出してきました。

一見順調に見えて・・・。
この段階で、既に穴径のセットアップを間違えています(爆 笑い泣き

てなわけで、後から穴径を拡げるなど、けっこう苦労して加工終わりました。最後はドライバーを挿入して現物合わせでの微調整で、ようやくスッポリ収まりました。

なんでこんな凡ポカをやらかすのか?公私共に忙しい/疲れてる・・・ってのも在るんですが、やっぱりサブサブサブサブサブスピーカーくらいの存在なので、気が緩んでいるというか、舐めているというか、そんな油断がこうしたミスに出てくるのだと思っています。

陽が陰ってだんだんと寒くなってきています。季節は真冬。

なんだかんだで、二次加工が完了。
ANDROMEDAはもちろんのこと、MX-1000Hと比べても手抜きでかなり荒々しい加工ですが、これでいいんです。「見えない処」「どうせ切除してしまう処」については徹底的に手抜き加工をしました。

トリマーテーブルを傾斜トリマーに対応

次は板の斜め切除加工です。

自作トリマーテーブルは完成したものの、このテーブルは傾斜ジグの取付には対応していません。本日はこのテーブルを再加工して、機能拡張します。

まずは、裏穴を図のように部分的に拡げて、傾斜ジグが収まるようにします。

傾斜ジグを取付できるよう、穴数も増やしました。(穴ピッチがまるで違うのです)

では、裏側に傾斜ジグを取り付けてみましょう。

ドンピシャです。
これでトリマー台を使って斜め切除ができるようになりました。

ジグを当てながらトリマーを滑らせるのに対し、ジグががっしり固定されており、小さな部材を滑らせる方が、はるかにラクで安全に作業ができるのです。安定感もある。

バッフルをスラント加工する

ということで、あっさり切除が完了です。板厚が薄いのも楽な理由です。
これだけ部品が小さいと、抑える指と刃が近接していてトリマーテーブルを使っていても若干怖さがありますね。

片側、40度。もう片側、50度。
この傾斜台では47度くらいまでしか切除できないので、残る3度分はサンドペーパーでなんとかします。

MX-1000Hの時は鉛直ジグを造って40度傾斜できっちり50度を切り出しました。つまり、今回は手抜きです。

綺麗に整いましたね。
一部、ヤレているのはトリマーテーブルのせいではありません。私が油断して、押さえつける手を緩めたからです(笑 接着部位だから見えなくなってしまうし、問題ありません。

さあ、すべての部材が出揃いました。
ここから先は楽ちん。プラモデル感覚です!

接着、組立

組立を開始しました。

おおー、

早い早い、どんどん組み上がっていきます。
なぜって、クランパーを一切使っていないからです。
板が小さすぎて軽すぎて、クランパーが使えないの。使うとクランパーの自重や荷重でかえって歪んでしまいます。

タイトボンドにも「緑(高価、遅乾)」と「赤(安価、速乾)」の2タイプがあります。
Andromedaのような、巨大な造作のものには緑を使っています。今回のMX-Λには赤を使いました。緑は長いアッセンブリータイムで、巨大重量級な対象において微調整の時間を稼げるのです。しかし、Λのように小さなものは速く乾いてくれた方が有利なのです。

スラントバッフルの組付けは、マステで引っ張るだけ。(笑
MX-1000H時はかなり拘っていましたが、こちらは適当。

ボンド最小で精度確保し、後からボンドをマシ盛りして強度確保という作戦です。

あーそれそれ
(錘ももうしわけ程度)

あーそりゃそりゃ

ほいほい、

閉じてしまう直前の段階で吸音材も仕込みます。
量は少ないが、このシステムには十分過ぎるほど。

バンバン作業が進みます。

ほとんど、でき上がりに近いんじゃないの?
これ、手慣れた人なら(接着剤を乾かしながらの作業でも)1日で組み上がっちゃうんじゃないでしょうか?私はのんびり演りますけど(笑

はみ出したエッジを切除

MX-Λでは、予め天地板は大きめにカットアウトしていました。
組み立て後に余った端面をトリマーで切除することを想定していたためです。

こういう部分ですね。はみ出しは「わざと」です。
ここで、工作の歪や誤差を吸収できます。

で、トリマーでの切除、サンドペーパーでの研磨が終わったところ。

ここもあっさりと」作業完了。板厚が薄いこととも相まって、とても楽でした。

トランスミッションラインの端面も研磨します。いつもの研磨台を持ち出します。

切り口をこの研磨台に軽~く押し当てながら、10回ほどゴリゴリ回転させると、

わずかな段差のあった木口端面がきっちり平面に揃います。

部材を落下させ、端っこが欠けているところ。
MX-1000HやAndromedaなら、泣きながら補修をしているところです。Λはこのまま放ったらかし

組立、できちゃった~

部材が整ったので、そのまま一挙に部材を合体・接着してしまいました。

はい、

できあがり~。

あっけないです。

見るからに不安定な外観。見た目だけでなく、物理的にも実際、不安定です

小ささは正義だ

ラウドスピーカーにおいて、大きさは正義です。
大型のラウドスピーカーでないと、”どうしても出ない音”というものがあるのです。ただ、大きさとトレードオフで様々な別の課題が生じます。これは当然ですね。
トレードオフのひとつは、エンクロージャーの共振音と構造強度です。例えば、15リッターで15kgのスピーカーシステムがあったとします。→それの、幅x高さx奥行すべてをx2倍のシステムを造ったとして、15kgのスピーカーと同じ構造強度と共振の低さを求めるならば、なんと120kgの質量が必要となってしまいます。(だからXbassはわずか84リッターなのにほぼ100kgの質量が必要でした)

その一方で、DIY工作の難易度という視点では、軽さと小ささは圧倒的に正義です。大きくて重いスピーカーに比べて小型軽量級は身体的な負担は勿論のこと、工作難度、ストレス、工作に要する時間・・・すべてにおいてとても楽チンになります。だからこんなに「瞬殺」で出来てしまうのです。足掛け2年のAndromedaとは、そこが違う。

塗装

プラサフを吹く

プラサフを吹いた所。
今回は、汚らしくムラがあるうえに盛大に垂れました。失敗です。

普段は左側の、Mr.SURFACERという商品を使っていますが、途中で切れかけてしまったので、タップリ残っている右側のHoltsのプラサフに切り替えました。以前もこのプラサフを使ったことがあるのですが、何かとても嫌な感じがしました。私との相性が悪いみたいなのです。

特徴を言ってみると、吹き付けた塗面にザラつきが必ずあり、平滑に仕上がらない。乾燥が遅い。少量吹くとザラつくくせに、少し吹いただけですぐに垂れる傾向がある。つまりどう足掻いても綺麗には仕上がらない。

左のMr.SURFACERは逆の性格で、少々厚めに吹いてもまず垂れることはないし、ザラつきもないし勝手に平滑に仕上がります。もうHoltsのプラサフは絶対買うことはないと思います。

研磨、再塗装する

垂れても問題はありません。

#240で粗めに研いで、平滑にしてしまいました。
問題なしです。

チョークでも塗りたくったかのうように粉まみれです。
さて、もうサーフェイサーは吹きません。面倒くさいのでこのまま本番塗装行きます。それで何を塗るか。

手持ちのスプレーだとイエロー、レッド・・・ちょっと派手すぎ。
ブラック、ブラウン・・・無難だが、面白くない。
ホワイト・・・サ●ダ●シみたいなのに、いっそう虫に見えてしまいキモい。
グリーン・・・残量が心許ない。

・・・そうだ!手塗りはどうだろうか!
手塗りならば、色の選択肢も少しあります。

今回はテンダーピンクという地味めの色にしてみました。

ん〜、イメージと違う。
もうひとつ気に入らないので、

その後、さらに再塗装しちゃっいました(笑

ヘッドはワインレッドにし、ボディ部分はMX-1000と似ているコンクリート調にしてみました。

塗れた。

完成!

じゃじゃ~ん。母娘揃い踏みです。

ドライバー装着もできちゃった。

ででーん。
なかなかの外観です。そして、小さく可愛らしい。

とにかく細長い。
頭と胴体を色替えしたせいで、虫感は少なくなりました。

クロスオーバーは背面に接着しました。
ターミナルはナシです。
ターミナルを装着すると、コストレギュレーション(千円)をオーバーするから(笑
ケーブル代や抵抗代はいいのかよ? って野暮な話はナシです。

大きさ感

とにかくこの子はね。小さいのですよ。
写真だけでは良く分からないだろうから、ツナ缶を乗っけてみた。

ついでにビール缶も乗せてみた。(発泡酒だけど)

柿。

みかん。

出来上がってしまったので、早速音を出してみます。

 

視聴開始

巻線抵抗やバナナ中継端子のコストは乗ってるのかって?野暮なことは言いっこナシでお願いします

オーディオ巻線抵抗ONLYで千円はみ出しちゃうもん。
ヘッドに若干の吸音材が入っているものの、管の中には何も放り込んでいない状況で音出しをしてみました。MX-1000Hと違い、ちゃんとステレオでマトリクス結線した状態での視聴です。

なんと・・・! もたついているMX-1000Hに先行して、娘の方からデビューです。

予想外だったのが、箱の剛性、箱鳴り。べこべこで、叩くとゴンゴン鳴るんだろうなぁ・・・と想像していたが、組み立てて塗装したら意外に剛性感があったのです。

MX-1000Hは拳で何処を叩いても、カキカキと非常に硬い音がします。さすがにそれには及ばないものの、多くの部位でコツコツ。最も弱い部分でもコンコンくらいの音で済みました。6mmの板にしては、まあまあの仕上がりになったかと思います。箱鳴りは避けられませんが。

~視聴中~

一聴・・・とても楽しい音。愉快な音質。音が若々しい。
多少のクセは感じるものの、実に闊達で鮮明で、シャープです。

マトリクス視聴用に私がわざわざ準備しておいたせとりがあります。すなわち、「これなら音が拡がりそうだな?」と想像しているような高音質せとりです。そちらは未だ聴いておりません。

ただ、何を聴いても「楽しい」ので、テストではなくて音楽視聴会になってしまった趣です。片っ端から色々な曲を掛けていて、アニソンや3次元曲では背後にいた娘が歌い出してしまったくらいです。つまり音がよく飛び、楽しく心が弾むような音質かなと思いました。

鬼太鼓座の名曲、七里ヶ浜。
左と右に2台の大太鼓が設置されており、左右から掛け合いで突風がふっ飛んでくるという凄まじい録音ですが、さすがにそれは分離しない。どちらの大太鼓も真ん中から出ているように聴こえます。

想定通りステレオ感については相当ソースを選ぶようですが、普通のステレオには無い独特の雰囲気感を持っており、現状ママでもそれなりに魅了されています。

端子板の追加

実はこの前後で、ケーブルのショートにより、パワーアンプの終段を焼いてしまいました。

やっぱりケーブルをぷらぷらさせておくのは宜しく無いということで、ターミナルを設置することに。
 

実装形態は、色々と悩みましたが、パイプ部分に穴を開けてしまいました。ここからケーブルを通します。

Φ10.0で開けておいて、微妙に穴調整をして、収まるまで拡張を繰り返します。

なんとか入りました。

結線まで終えたところです。
ずいぶん不格好にはなってしまいましたが。物理的にとても安定しています。少なくとももうバナナ接触等による事故は起きないでしょう。最初からこうすればよかったですね。
今回装着した端子はストックしていたものですが、市場中でも最も安い部類の商品です。中でも最安では、87円/個というものがある。2個使っても200円以内ということが言えます。
これで予算が1200円。200円はみ出してしまう・・・という見方もできますが、実態としては今回のドライバーは4本200円で買えたのだから、

200円(ドライバ)+400円(板材)+200円(ターミナル)。

まだ予算は800円しか使っていない
という見方もできるわけです。ずる〜

単体での実測特性

マトリックススピーカーの測定は困難を極めます。逆相成分を混入させるドライバが近接して設置されているからです。無茶を承知で、お得意の擬似無響計測をやっていきましょう〜。
(妥当性は眉唾で観てね)

FarField計測

まずはFar Fieldから計測を始めます。
どうしてFar Fieldの計測が必要なのでしょうか?バッフルステップやエッジディフラクションなどの実装影響、それからポート合成による位相干渉など、実装状態での影響をすべて取り込む為です。その一方で、無響室同等とするため、床や側壁からの反射は時間窓でリジェクトします。正しい計測に近道はありません。

計測ジオメトリは、マイクロフォン距離が80cm。高さは70cm。時間窓は5ms.にセットアップします。

<Far Fieldでの疑似無響>

このドライバはドライバ単体では驚くほど素直な特性を持っているのです。なのにこのように凸凹するにはそれぞれ理由があります。

1.
2kHzまでに、時折カメの甲羅のような亀裂+盛り上がったピークが、リズミックに連続して見えますね。これが所謂、共鳴管(吸音していないTLs)システムの弱点です。ポートから漏れ出してきた信号の位相が廻り続けており、それがドライバ前面の信号と位相干渉し、正相・逆相・正相・逆相 の合成を繰り返しています。だから、この特徴的な形状のディップ(および切り餅風のピーク)が見えるのです。

2.
2kHzより上はちょっとまた原因が違って、例えば3.1kHzに見えているディップは元々このフルレンジドライバが持っていた癖になります。

3.
それら以外の細かい凸凹は、バッフルエッジ回折によるものです。
オリジナル形状にこだわっているから、あんな六角形状にしていますが、本当は天地もエッジもできるだけ丸めて卵に近づければ特性は整います。ただし2kHzより上だけね。

またはAndromedaのようにエッジを大きくカッタウェイするか?

Andromedaにはエッジディフラクションとおぼしき凸凹が特性上にまったく見られません(自慢)。当たり前ですよ。きちんとバフル設計しているんだから。

次に、Blendedも見てみます。

<Blended>
Blendedとは、途中5ms.くらいまでは無響で測るのだが、+途中から反射も拾って低域まで測るという折衷・ブレンドモードです。
なんか、滅茶苦茶低域が伸びているように、見えませんか? でもこれ、インチキですので。

グレー線をみてください。グレーは、昼間の無信号時の暗騒音レベルを示してみました。つまり、暗騒音を拾って低域が伸長しているように見えているだけって事。

日本でネットに転がっているアマチュア測定グラフの大半は、(きちんと無響または疑似無響とことわりを入れていない限り、)暗騒音やその他の雑音を拾ってあたかも低音が伸びているように見えているだけです。スピーカーを破壊するほどの大音量で計測でもすれば、話は別ですけど

正しく低域特性を評価するためには、これから説明するNear Fieldの測定と組み合わせなければなりません。

NearFieldで低域測定

Far Fieldでは、時間窓を使うことで反射波をリジェクトし、仮想的な無響計測を実現しました。でも、測定ジオメトリによって時間窓には限界があり、そんなに長い時間にはできません。反射を拾ってしまうからです。時間が長くできないってことは、低域が測れないってことです。
そこで、低域(200~500Hz)より下の帯域はぐっと近くで測るわけです。これがNearField。
近くで測っても、時間を長くすれば反射波は拾っています。しかしドライバーのメンブレン直近で測られた音圧とは100倍~1000倍くらい音圧差があるから、反射音圧を無視できるという仕掛けです。

ドライバのニアフィールド測定は、メンブレンの前面ぎりぎりに近づけます。
マトリクススピーカーのように左右の音響干渉/電気干渉があるものは近接測定が厄介です。仕方がないから、1本のドライバーにだけ近づけます。

逆に、Xbassは4本付いてますけどラクですよ。Xbassは密閉型ですからね。1本近接で測れば、4本とも全部特性は同じで、4本分もその延長になります。
まさかとは思いますけど。皆さんは「ドライバーを4本も使うと1本より低域が伸びる」のような誤解はされていないでしょうね? 4本使ったって低域は伸びたりしないですからね。4本使っても音圧と許容音量が上がるだけで、低域伸長は同じです。

ウソだと思ったらBoxSimにT/Sでも突っ込んで確認してみてください。
(ついでに言うなら空気感みたいな官能的性能は上がる)

さて、まずはドライバー単体です。

<ドライバ前面 – Near Field>
これは過日に測ったドライバ単体特性とそっくりです。ホラホラ、高域のブレイクアップを除けばなかなかにキレイな特性でしょ?

近接場ではポートの音やエッジ回折音が排除されます。
共鳴管の音と混ぜ合わせたり、カクカクした箱に突っ込んだりするから、特性はガタガタするし音も汚らしくなるんです。

次に、トランスミッションライン・・・というより、吸音材突っ込んでないから「共鳴管」のポート近接でも測ります。

<ポート前面 – Near Field>
相当なレベルで中高域までダダ漏れですねえ。ここがドライバ前面と干渉するわけです。

ところで、低域がなんだか妙に伸びていますね。ナンダコレ?
最初は暗騒音なのかな?と思ったけど、暗騒音はオーバーライトしていて、グレーの線がちらっと見えるでしょう。暗騒音よりレベルがはるかに高いので、暗騒音ではなく本当に伸びている・・というか何かが染み出しているみたいです。ただ、中低域に比べて -15dB も下がったところですから、こんなのは殆ど聴こえません。しかしこんな現象を見たのも初めてなので、興味津々ではあります。まるで制動力のないドライバを使うと、こういう傾向が発現するのかな??

低域特性をサミングする

さて、これでドライバ前面と、ポート前面の測定結果が揃ったわけです。

これを数学的にサミングします。

<低域特性のサミング>

赤線が合成された結果です。
せっかくドライバの音(緑)はキレイな形状だったのに、ポート(紫)と混ぜたために、かなり汚い波形になっちゃいましたね。そういうものなんです。

程度問題はありますが、ポートバスレフでもこれと同じ事が起こっています。
なんだ、こんな特性になるんだったら、ポートの音(紫)を封印しちまったっていいじゃないか?と一瞬思うのですが、これが有ると無いとで聴感は大違い。なので、この赤線が必要と判断しています。
ここで得られた赤線が、「ニアフィールドで得られた疑似無響の中低域特性」というわけです。こちらをさきほどの、「ファーフィールドで得られた疑似無響の中高域特性」と合体します。

総合的な特性

<MX-0001Λ 総合特性(吸音材ナシ)>

ざっくり赤がニアフィールド。紫がファーフィールドの測定領域になります。
90Hzより下は参考にしない方が良いでしょう。
 
かなり変わったカタチをしていますねぇ~。
こういうのを俗に「吊橋型」とでも呼ぶのかな?

低域下限はまぁ、一般常識的な記述をすると「140Hzまで」という表記になるでしょう。YAMAHA流のスペック表記するならこれでも「10Hzまで」だけど。

世界最小のマトリクススピーカーと、その音質

千円未満で出来ている、という以上に、
ドライバー口径が40mm。そして横幅が18cm。

こんな小さなマトリクスが果たしてあったのか? 検索してみる限りでは、このΛが世界最小/最軽量のマトリクススピーカーシステムとなります。

音の本質的な質の高さであるとか、帯域バランスだけなら、MX-1000HやANDROMEDAには到底敵いません。しかし、こと鮮烈な音場の拡がり、という一点においては、MX-Λも決して負けていないのです。

どんなソースでもそれなりに広がるし、雰囲気がよく、生々しくもある。そして、ソースによっては広大無辺な空間が生まれます。スケール感というのとはちょっと違うけど、とにかくどこまでも音が拡がって部屋を埋め尽くす。

顔をじーっと眺めていると、アッ。と。ある仮説が浮かびます。

測ってみると、ラムダは仮想口径たった13cmにしか該当しないのです。その小さな口径から「ステレオのすべて」が生まれている。そのピンポイントさこそ、この音場の広さに繋がっているのでは?という仮説。

MX-Λは「世界最小のマトリクススピーカー」。その顔の小ささが、こんなメリットとして現れるとは想像できなかった部分です。だってドライバ口径が38mm位しか無いんだもの。

単体でもギョッとする音質ですが、マルチアンプであることを利用してXbassを一緒に鳴らすと、驚天動地の空間が生まれます。今度はレンジやマッスやスケール感も十分。
まあ・・・94kgを超えるXbassを一緒に鳴らしてしまったらそれはチートです。

スタッフィング調整

その後、いわゆるダンピング・マテリアルの調整を行なっていました。
こんな感じの吸音ポールを作り、出し入れして色々と試していました。

しかし、インピーダンス測定したり聴いていくなか、萎えましたね。
今は折り返し点に僅かな吸音材を詰める程度で、ぜんぶ引っこ抜いてあります。

理由はカンタン。菅共振が全く起きなかったからです。
菅共鳴を起こすためのドライバのリキが足らないのです。

ダンピングマテリアルは、管が制動できないような強い共振をしているからこそ入れる意義があります。入れる前から十分に制動しきっているパイプに入れても、ほとんど意義はありません。過制動密閉型みたいな特性なんだもの。中高域の汚い漏れを防ぎ、位相干渉による凸凹を減らすためには意義があります。しかし、入れると制動しすぎで低音もまったく出なくなってしまうし、音がキツくなる一方なので辞めました。


空気録音

あの後も、NEEWERマイクフォロンを使って二度三度と試しましたが結局あきらめてしまいました。NEEWERを使うとどう足掻いても、耳で聴いた原音とは似ても似つかない音になってしまうのです。残響成分を拾いすぎているのだと思います。S/Nや特性はTASCAMよりずっと良いんですけどねぇ。。。

なので、今回もTASCAMのレコーダーです。

実は録音レベルをしくりました。

かなり低めのレベルで録ってしまったもの、無理やりノーマライズしましたのでかなりノイズが多めです。ご容赦ください。

手前味噌ですが、なかなかのスーパーサウンドです。多少高域に色づけが多めでシャキシャキしますが、それ以外はかなり立派。MX-1000Hも良く広がるようになりましたが、それと比較しても広大無辺。WALDKONZERTではドイツの森奥深くへトリップしてしまいます。Xbassでドーピングしているので、これはチートとは言えます。ただ、Xbassだけでこのような音にはならないので、ラムダはそれなりに優れものかなと。決してHi-Fiでは無いかも知れませんが、けれん味と凄味を感じる音になりました。

こちらは10Hz以下まで伸びきった低域特性。一般的な市販スピーカー再生で下限確認していただくのは困難ですし、「公称10Hz」で体感の得られないヘッドフォンやイヤフォンでも、同じく確認していただくことは不可能です。
 

サブウーファーの追加構想〜アクティブ化へ

上記のように、いったんは単体での完成をみた千円プロジェクト、MX-0001 ラムダ。

しかし、Xbassを一緒に鳴らした時の異次元空間を体験し、欲が出ました。これ専用のサブウーファーを足したくなってしまったんですよね。でも、コストを掛けてしまったら千円プロジェクトの意味も意義も薄らぐ。

そこで白羽の矢が立った商品が、「中古でジャンク」な、PC用 2.1chアクティブスピーカーでした。

ポイントは、

  • 2.1chぶんのパワーアンプが内蔵されているから、これがそのままΛ(マトリクス)の駆動にも使える。
  • チューニングすれば、2.1chのアクティブスピーカーへ生まれ変わる。
  • 要らなくなった2chのPCスピーカーは廃棄する

というところ。

実はこれと同じものを20年以上前に所有していました。LogicoolのZ4という商品です。大昔に叩き売った商品をまた入手するというのは心境複雑ですが、値段に負けました。税込で550円。Λは1000円プロジェクトですからね、コストは掛けられないんです。

このウーファー足しちゃうと1500円プロジェクトということですね。
 

まずは清掃

買ってきたはいいけれど。いや~ん、触るのもはばかられるくらい、汚いですね。(汗)
ヤニ汚れかな~

550円だもんね、文句は言えません。
H/Oで550円とは、550=タダ って事です。
カンタンマイペットで死ぬほど磨きました。

完璧ではないにせよ、まあまあ見られる、触れるレベルにはキレイになりましたね。

2インチのフルレンジ+2インチのパッシヴラジエーターx2のメインスピーカー。サブウーファーは6.5インチくらいかな?でもこれ、ドライバはもっと小口径で、6.5インチで表に見えているのはパッシヴラジエーターです。トータル

  • 5″ ウーファー x1
  • 6.5″ パッシヴラジエーター x1
  • 2″ フルレンジ x2
  • 2″ パッシヴラジ絵エーターx4

という構成です。

早速、通電して少し鳴らしてみました。まったく問題ありませんね。普通に鳴ります。小型のクセに、低音がずんどこ良く鳴ります。ということは、これをバラして改造すれば、Λ専用機に化けることができます。

バラして改造のアタリを付ける

Z4をそのまんま使うつもりは毛頭ありません。
バラして「アンプ」と「サブウーファ」だけが欲しいのです。徹底改造前提でバラしていきます。

アンプはサブウーファー筐体内に収納されています。
Z4はとても変わったセットでして。まず、音声入力に見えるRCAプラグは入力ではなく、スピーカー出力です。ここからLRのスピーカーへ接続されます。

音声入力はその隣の緑色のミニジャックからされます。そして、右隣にあるRS232C端子はリモート端子で、リモコンケーブルが接続されます。(それを接続しないと動作しません)
これら、端子のアサインからして気に入りません。ですので、端子の使い方そのものも替えていきたいです。

この裏蓋から開腹していきます。

開けたはいいけど、蓋が開けきらない。すべてのケーブルはギリギリでキチキチなのです。

Logicoolは分解されたり解析されたりするのを拒絶する作りになっています。故障修理なども考えていない様子です。万一保証期間内に壊れたら全交換という方針なのでしょうね。

ACケーブルが見えます。仕方がないので各種のケーブルを全部ぶった切ります。
切らないと開きませんので。
 

スピーカーケーブル、トランスへ伸びている電源ケーブルなどを断ち切って、なんとか開腹が出来ました。
 

ウーファードライバーが見えます。5インチくらいです。
表側から見えるドライバはやはりドライバではなくパッシヴラジエータなのね。
 

ACケーブルは接着剤等で補強されて分解不能にされています。
破壊しながら強引に引き抜きました。パネルに癒着した接着剤も根気よく除去しました。

中の基板とパネルの全容です。
内容にしてはよく纏まっています。エポキシや接着剤で基板の各所がマスクされており、改造や修理にはひたすら都合悪くできています。

改造/お戻しのために、高解像度の現状撮影は大変重要です。
この画像ものちのち役立ってくれるでしょう。

出力段・パワーICはペイントされて正体が判らなくしてあります。
でもねえ。そんなのパターンを追っかけていくと、何者だかだいたい解っちゃうのだな。

この石はSTマイクロのTDA7377または7379という石です。おそらく。
http://www.e-ele.net/DataSheet/TDA7377.pdf
ディジタルアンプではありません。1石で最大4chまで出力ができるAB級パワーアンプICです。

RCAを入力ではなくスピーカー出力にするのがどうしても嫌で、パターンをぶった切ってしまいました。スピーカー端子は別途付ける予定です。

RS232Cのリモコンケーブルはとにかくジャマ。大きなお世話です。こんなモノを繋げないと使えないという仕様がどうかしている。撤去すべく、各端子の役割を同定します。

プリントパターンを追っかけて、テスターで当たりつつ、ようやく解析した役割が下図。

あっれ~。
SUBのInputだけ想定が見当たらない。。。
Inputが無いのにReturnがあるわけないじゃないか。

この辺りで嫌な予感がしてきます。
そういえば、リモコンってLEDが付いてたよな。電源スイッチしているくらいだから、当然メイン電源もリモコンへ飛んでるよね。ってことは。。。

この時点で、サブウーファー用のミキサー&LPFはリモコン側に内蔵されているんじゃないのか?
・・・という最悪パターンを想像。。。(これ的中)

これです。リモコンをバラします。
隠しネジに気づかず、外観をボロボロにしてしまいましたがまあいいです。どのみち棄てるものなので。

あー、、、これはビンゴですね。

両面実装です。
ハンダ面にサブウーファーのミキサー兼LPFが載っていますね。やっぱりなー。
ということはこのシステムはこのリモコン基板を廃棄したら完全動作が出来ないことになります。

外付のOPアンプで別途ミキシングLPFを組むことも考えましたが、せっかく動作している回路があるのだから、この基板をサブウーファー本体側に移植するのが最も手っ取り早そうです。配線数が多い(10PIN)ので難儀しますけどね。できなくはない。

それにしても、複雑な回路、複雑なプリントパターン、シグナルパスの何度もの迂回と往来、そしてリモコンによる長大なシグナルパス。これでよく発振もノイズ上昇もなくマトモに動いているものです。技術力があるのでしょうね。プリントパターンは徹底したスターサーキット1point GNDで配線が徹底されており、安物であっても最大限ノイズ配慮した実装が伺えました。

回路概要を掴めましたので、この回路と実装を変更し徹底改造を行います。

アンプ回路の改造

PCB加工

分解するとこういうメイン基板が入っていたのですよね。

それで、外部リモコンの内部にもアクティヴ回路があることが判明。このメイン基板単独では完全な動作をしないことが解りました。

今回の改造は、そのリモコン基板をメイン筐体へ移植すること中心の改造になります。

RC232Cのコネクタ。リモコンケーブルが接続される部分です。どうせリモコン基板を内蔵し、それの配線をするのであれば、ここのランドをそのまま流用するのが良さそうです。それで、配線するのにジャマだからこのコネクタは撤去してしまうことにしました。

ハンダ吸い取り器でランドのハンダをすべて吸引します。

あっさり、コネクタが外れました。
ただ、コネクタネジ止め部のランドが一緒に吸い取られ、ランドが剥離してしまいました(笑)
まあ、ここは実はGNDラインなので剥離しても問題はありません。

固定の為の接着剤を強引に溶かすべくハンダ吸い取り器を押し当てたので、焦げ焦げになってしまいましたね。

外したコネクタ。
ハンダ吸い取り器は強力ですが、片面基板の弱いランドやパターンも一緒に吸ってしまう事があるので注意が必要です。十分に溶かして少し距離を置いて吸い取るのがコツ。

作業にジャマなので、端子周辺に付いていたプラスチック製のガードカバーも外してしまいます。

ついでに、このキャパシタを外します。パーツを換装し、足を長くしてそのまま足を利用するためです。

ここには1000uF/25Vが付いています。これは出力DCカット用。
皆様なら、OTL、は判りますよね。では、OCLは判りますか?
OCLは「アウトプット・キャパシタ-レス」の略称です。

当たり前になったから今はほとんど使われなくなった用語です。そう、昔は半導体アンプも単電源のACアンプが沢山あったのです(今でも沢山あるけどね)。それで、単電源のACアンプは出力からDCが出力されるんで、DCカット用のキャパシタが必要だったのです。それが「OC付き」アウトプットキャパシタ付き。それに対して2電源になりキャパシタを撤廃できたのがOCLというわけです。オーディオアンプでは当たり前の回路です。

で、この今回の内蔵アンプは「OC付き」だったというわけです。ただしサテライトのL/R用だけね。サブウーファーは2アンプ使ったBTL接続でキャパシタ省略の直結でした。

コネクタもキャパシタも除去しました。余計な配線もどうせ延長するから外した。随分スッキリしました。

で、これがリモコン基板です。色とりどりのカラフルなリボンケーブル、10本がメイン基板へ繋がります。ただ、どの色がコネクタのどのナンバーに該当するかは判りませんよね?
そこでテスターで当たりながら1本ずつ、ケーブル色とランドを同定しました。

それがこちら:

このメモが大事なんです。このメモを眺めながら、1本ずつケーブル配線していけば良いわけです。
最初はWHITEのラインだけ何処から来ているか解らなくてね。難儀しました。コネクタが9PINなのに、10本の配線とは・・・ハテ?
 

WHITEの正体はココ。だったのですよ。
シールドGNDとは別です。このコネクタ外形の金具も使って、9PINで10線を配線していました。

ちなみにココの金具はネジを介してサブウーファーの信号GNDが専用で引かれていました。メイン電源-制御電源のアースとは分離して線が引かれていたというわけです。実にきめ細かい。
 

で、その白い線をどうするかですが。私はランドを先程引っ剥がしてしまったので、代りに白線を穴から通して図のランドへハンダ付けすれば大丈夫です。(そこからスターアースへ繋がっています)
 

RS232Cリモコンケーブルを切って被覆を剥がしてみました。電源、信号GND、制御線、以外は黒くシールドされて送られています。配線が8/1ほどに短くなりますからね、ここまで厳重なシールドは要らなくなるでしょう。

リモコン基板をどこへ取り付けるかですが。
メイン基板用の放熱板の上に取り付けることにしました。スペーサーを仮止めしてから、エポキシで接着します。

エポキシが乾いてきたら基板は融着を防ぐために撤去してしまいます。スペーサーだけが残留しています。しばらくはこのままです。

パネル穴開け

リアパネルに端子増設の為の加工をします。

鉄板はアルミに比べると若干時間は掛かりますが。問題ありません。
ただ、ドリルビットの歯は劣化しますね。
 

問題ないです。6個の穴を追加しました。アサインは図のようになります。

いちいち絵を描くのはマメだな~と思われるかもしれませんが、これらの図は全て自分用のメモだったりします。自分のBlogを見ながら組立とかしているわけです(笑)
紙に書いていたメモは一次キャッシュであり、全部捨てちゃいます。

パワースイッチ

リモコン側に設置されていたパワースイッチをどうするか、は考えどころです。

ココのPushスイッチ。
LogicoolのZ4って結構いい加減な作りで、完全には電源が切れないのです。完全OFFするにはパワーコードを抜かねばならない。例えば、このスイッチを切っても電源トランスは通電しっぱなしだし、パワーアンプも通電しっぱなし。プリ部への給電が絶たれるから、見かけ上電源が切れたように見えるだけというすごいスイッチです。(あんまりエコじゃない)

まあそんな感じですから、別にスイッチ入れっぱなしでもいいんですけど。
少しパターンを調べてみました。

ココにジャンパー線が通ってるんですけど。
このジャンパーラインをぶった切って、そのランドを利用してケーブルを引けば、外部スイッチへ接続できそう。
 

そこでジャンパー線を撤去してしまいました。
ついでに、メインボリュームとBassボリュームも撤去。

リモコン基板からの結線も短くし、シールドを解いて準備をしておきます。
 

共立から色々とパーツが到着しています。(この案件用だけじゃないですが)パーツは中国から取り寄せるもの。共立から取り寄せるもの。稀にAmazonで買うもの。バラバラなので、パーツが揃う時期がバラバラです。
 

アンプ基板の出力キャパシタを換装します。質のよいものにしたいのと、脚を長くしたかったからです。この足を片方長めにして、そこへスピーカーケーブルを直付けします。
 

はんだ付けが出来たらスリーブで絶縁します。
軽い補強ですね。
 

小型化されましたが、見た目は良い。

ついで、RCAジャックを入力端子に改造すべく、ミニジャックの入力ピンへ直接配線します。こうした改造はんだ付けをした後は、必ずテスターで他のランドを当たります。きちんと導通したか/他とショートせず絶縁できているか。

あれ~~???そこで発覚。元の入力端子は3pinのミニジャックだったのですが、そこのHOTとCOLDが0Ωなんですよ。しかもLもRもゼロオーム。おかしいじゃないですか。念の為、結線を外してみてもゼロオーム。ランドのハンダを十分に除去してもゼロオーム。んん~?


こういう想像をしました。このミニジャックは、挿すとHOTとCOLDが開放される。挿していないときはHOTとGNDがショートされ、ノイズが出ないようになっている。それしか考えられないよね。
いずれにせよ、このミニジャックのランドは使えません。なんとかせんと。
 

そこで目をつけたのが、このチップ抵抗。
R46、R47はなんと、どちらも0Ωの抵抗値なのです。ダミーですね。このチップ抵抗を外してしまって、そのパッドに配線しようと考えました。チップ部品の外し方(付け方)なんて、知りませんよ。

こちらを参考にさせていただきました。ありがとう。
 

それで、チップ抵抗はどちらもスルリと除去できました。

そしてその残パッドにはんだ付け。今度は問題ナシです。

基板側の準備はほぼ全部できました。

ギボシでハコと回路を繋ぐ

永年使ってきたギボシが在庫切れになってきたので発注しました。これを待っていた。
私はACラインのようなヤバそうな箇所はいつもコレです。エーモンのギボシ。金具に厚みがあってガッチリして、容易に抜けないのです。引き抜きトルクにバラツキが無いのも魅力。ファストンなどは金具調整してもどうしてもトルクにばらつきが出てしまうものです。

ウーファー箱側にオスのギボシを付けていく。けっこうこれが大変で。入口が狭いうえにケーブル長が凄く短いので、電工ペンチが上手く入っていきません。カンと手探りで慎重に作業しました。
 

まあなんとか全部付きましたね。ACや電源ラインなんかは、受け側がオスが基本です。なぜでしょう。万が一に振動ですっぽ抜けた際に給電側がメスならギボシカバーで保護されていて、ショートが絶対に起きないからです。前回、ウーファードライバーは5インチくらい、と報告していましたが、良く見れば3.5~4インチくらい。凄く小さいです。パッシヴラジエーターが7.5インチくらいですから、かなりの口径差があります。(ウーファーよりPRsの方が面積が大き目なのは正しい設計です)
 

また、内部にポートを持っていることも着目してください。
私はこれを単なるPRsの4次系だと思い込んでいたのですが、実は6次系だったのですよ。
こうです。

絵を描くと、このような構造になっています。6th Orderです。
ウーファーのFsで1極、内部ポート共振で1極、PRsの共振で1極。全部で3極です。つまり6th Orderになります。6th Orderといえば、私が最近MX-1000Hで6次系サブウーファーを作ったのが記憶に新しいところですね。

これは本当に偶然ですが、MX-1000HもMX-0001Λも、低域を補助する系がどちらも6次系になってしまいました。6次系は低域が凄く下まで伸びるが、群遅延が大幅悪化するという特徴があります。
 

脱線でした。作業をつづけます。

反対側、つまり回路側にもギボシを付けて接続可能とします。
オリジナルよりは線長を長めにして、検査や調整を容易としました。
 

ボリューム・スイッチの配線

ボリュームの配線にはリボンケーブルを用いました。10線のケーブルを6本ぶんに裂いて配線します。
 

こんな風にニッパーで抑えながら、一線ずつ慎重にはんだ付けします。老化とアル中で手が震える~(笑)
 

なんとか付きましたねえ。手先の細かさが要求されます。
 

電源スイッチの2線も配線します。このボリュームスイッチには計8本のケーブルが集まっています。リボンケーブル以外では綺麗に配線はムリですね。
 

うまくはんだ付けが出来たら、ヒゲが出ているところをデザインナイフでこそげ落とし、絶縁を確保します。確実な接続と絶縁が確認できたら、エポキシでケーブルを補強します。ケーブルの接合部は脆弱ですからね、断線原因の宝庫です。こうしておくと、工作中の不用意なケーブル断線やショートを防げます。

もうひとつのボリューム、低域レベル用は3線ですからかなり楽でした。
同じようにはんだ付けしてエポキシで補強します。
 

出来上がったらPCB側に配線をはんだ付けします。ボリューム配線はボリュームが小さくラインが多く、今回の工作ハイライトでしたが、問題なく結線ができました。
 

親PCBと子PCBを合体

いよいよ、親基板と子基板を合体して配線を行っていきます。

以前採ったこのメモが役に立ちます。

メモ通りに結線できました(笑) 早い。

こんなんなってます。
 

パターン面はこんな感じ。
 

ここまで出来たら、端子カバーとシールド放熱器を被せていくんですが。この端子カバーは穴が空いていないので、今回のカラーケーブルを通せません。そこで、
 

ホットナイフの出番です。(ハンダゴテとも云う)
 

今回、ホットナイフ+プラスチックの極意を習得した気がします。すごく楽に綺麗に穴を開けられた。

ガラクタ倉庫を漁っていたら、これが出てきた。まだ持っていたんだな。放熱用のシリコングリスです。昨今では滅多に出番が無くなってしまった。たいがいシリコンシートですもんね。
 

パワーICへべったり塗ります。
このICってマイカシートによる絶縁が要らないみたいです。楽でいいや。

放熱板も取付完了です。
ところで、先日エポキシで接着したPCBボスが力を入れたら取れてしまったんですよ。接着力ゼロ。AIの嘘つき。
 

しょーがないから、「雨どい用」接着剤で再接着中。
 

できました。だいぶ形が整ってきましたね。

さあ、次はリアパネルの加工だ。

リアパネルへ接合

リアパネルは鋼板製でした。
大昔のプリメインアンプなどに使われている部材と同じです。
その前に、RS232C端子の穴をどう塞ぐか。これだけ大きな穴を開けっ放しにすると、ウーファーの背圧がここから漏れてしまいます。
結局、RS232Cそのものを使うことにしました。

目止めしておいて、エポキシを穴へたっぷり盛るのです。

乾いてからテープ除去したところ。綺麗に平面で穴が塞がっています。これをそのままリアパネルへ取り付ければ穴塞ぎは成功です。これを密閉蓋として使います。
 

ばっちり穴が塞がりました。

スピーカー端子も取り付けていく。

そして、基板とボリュームも取り付ける。
 

裏から見たようす。
ボリュームのケーブル長はいい加減&適当でしたが、ほぼピッタリでした。逆に、これ以上短いとストレスが掛かってヤバかったかも。。。

スピーカーケーブルも結線します。

ツマミも付けてみる。このツマミはClova WAVE用に買ったアンプにくっついて来たものです。一挙にキレイに整ってきましたね。
 

ACケーブルはこの部分のケーブルカバーが硬くて、ねじ込むのに苦労しました。逆にいえば幾ら引っ張ってもこのケーブルは抜くことが出来ないです。
 

回路側、すべて整いました~。
 

そうそう、この基板スイッチを押し込んでおくのを忘れずに。
これをONしておかないと、ツマミで電源ONしても音は出ません。

サブウーファーの完成とテスト

音出しテスト

本体、ウーファーボックスと回路を接続します。ギボシを押し込むだけなので本当にラクです。

ケーブルは長くしたつもりですが、テストにはぎりぎりというか丁度良かったみたい。

いきなりフタを閉じるようなことはしません。バラックの状態で電源を入れ、各chから正常に音が出るかテストしていきます。

テストには今回もWiiM Miniを用いました。ほんと、小さくて役に立つやつ。
ボリュームツマミを最低レベルからパチンと少し時計方向へ回せば電源が入ります。

 サブウーファー:問題なし

 Lチャネル:問題なし

 Rチャネル:問題なし

問題ないですねぇ。綺麗な音が出てきます。B1kΩをB20kΩへ換装してしまったため、ウーファーの扇動ノイズが心配でしたが杞憂でした。
 

じゃ問題無いようなので、フタを閉じましょうか。
キレイに仕上がりました。自己満足です。

設置と視聴:Λコンプリートシステム

そうそう、こういう姿を夢想していたのですよ。
今回のLogicoolのサブウーファーは、まるでΛ専用に設計されたかのように幅がシンデレラフィットです。まるで最初からセット設計されていたみたいにデザインも相性が良いです。

また、Λ単体だと少し背が低すぎて、ソファに座ると具合が悪かったのですが、このサブウーファーに乗せることでちょうどヘッドが耳の高さ辺りになり、音響効果も最大化されます。

少しだけですが、音楽視聴もしてみました。
問題無いですね。Λの低音が自然に拡張されて実によい塩梅になっています。ただ、自作パワーアンプのような凄い音場感は無いです。圧倒的な広がりやギョッとする定位感はMOSアンプに比べると少しおとなしめになった??

・・・と、この辺でおかしいことに気づく。
PinkFloydのOnTheRunで、当然聞こえてくるはずの音が聴こえない。これ、片ch断線してない?? ビンゴです。Lchから出力がありません。音場感が薄いのもそのせいかも。おかしいですね、テストのときは音が出ていたのに。

ひとつ思い当たる事が。リアパネルを閉じる際にケーブルがつかえて入りにくいのをグイグイ力で押し込んだ。その際に、キャパシタ出力のランドごと、ケーブルを引き剥がしてしまったのでは?? やれやれ・・・やらかしたか。もう一回開腹ですか。

故障箇所の特定はできています。
 

パッド剥がれ

裏蓋を開けて少しずつアタリを付けます。どこかの結線や接続を切ってしまったのだと推定。

原因は開けてすぐに判明しました。

犯人ココですね。

入力端子を変更したときにジャンパー線でSMTのパッドをつなぎました。そのケーブルが閉じるときに出口と干渉したので、下方へグイと押したのです。そのときにパッドごとケーブルが剥がれてしまったようです。一般部品のランドと比べるとSMTのパッドは脆弱なので、少しストレスを掛けるとすぐに剥がれてしまうのです。
遠いランドにジャンパーで引っ張ってそちらへつなぎました。すぐにフタを閉じ、閉じた状態で簡易テストします。

ハイ、治りました。修理完了です。ヨカッタ~

改めて視聴

良かった、今度はちゃんと拡がります。
見た目と違和感があるくらいのスケール感。
ただ、、、、 MOSアンプ + Λ + Xbassで鳴らしたときにように広大無辺で呆気にとられるほどのステージではありません。やはり少々こぢんまりしている。

これはXbassの有無よりも、駆動アンプの違いが大きかったのだと思います。1000HやΛの音場感を支えていたのは、じつは多分に駆動アンプの影響だった。このサブウーファーに内蔵されたアンプも頑張っているとは思いますが、ステージの透明度、広大さ、音像の明瞭度で自作MOSアンプに敵いません。

WALTKONZERTではドイツの森の中にトリップしていたものが、森のなかに突入できなくなりました。とはいえ、音響目的ではなく音楽鑑賞用としてはとても上手くバランスしたものになったと思います。何でも楽しく聴けます。

このドライバは8kHzに大きなピークを持っていますので、

見てのとおりで少々高域がチャリチャリしますし耳を突き刺すような瞬間も、無くはないです。でもそのぶん鮮明でシャープという言い方もできる。一方で、拡張した低域もズンドコ、ドンスコ、なんとも威勢が良いものです。そいや、そいや。お祭りです。私の好みの低音ではないですが、おまつりの賑やかしというのかな?無いよりは全然良いです。

まあ低域も高域もそんな感じですので分かりやすく言えば”ドンシャリ”ですね。帯域バランスだけで云うならかなり派手な音質。高忠実度ではないかもしれないがとても楽しめる音が出ています。そしてこの、独特なステージの出来方。オーディオに知見の深い方であってもちょっと経験のないような/ギョッとする音も出ていると思われます。

細かいですが、ここから先は気になる部分を順に潰していきます。
 

ファイン・チューニング

レベル調整を容易に

まず、一番気になっているというか、、、困っているのはココ。

このツマミ。Bassチャネル単独のレベル調整ですが。

このツマミを僅かに回しただけで、あっという間に低音部が大音量になってしまうのです。これはLAZOSのフルレンジが超低能率だからではなく、Logicool Z4の状態からそうだったのです。ほぼほぼ「設計ミス」と言ってもよいレベルだったと思います。だって、Z4のときにボリュームを7時10分くらいにしないとサテライトとバランスしないんだな…。

そんな状況ですから、Bassレベル調整がやりにくくて仕方がない。つまみの動きに凄くセンシティブです。ほんの僅かに1-2度回しただけで、フルレンジとの音量バランスが崩れて太ったり痩せたりするのです。色々と回路改造のやり方はあるのですが、手っ取り早くBassボリュームの出力端へ固定抵抗をパラレルにすることで、調整容易にしました。

ボリュームのPIN2 – 3番間に2kオームをインサートします。
レベル差は計算すれば出ますが。メンドー臭いんで、シミュレーターで差を見ます。笑い泣き

5kOhmだと、ぜんぜん効かない。1kOhmだと、音量が下がりすぎてしまうかもしれない。やり直しはしたくない。無難なところで間をとって、2kΩとしました。

ボリュームを50%絞ったポイントで、-11dBも違いが出る。十分だと思いました。結果論としてここは1kΩでも良かったくらいでした。

ここです。この2端子間を利用して抵抗を裏打ちします。

熱収縮チューブで絶縁を確保しつつ、後付しました。
 

ブーミーな低域をなんとかしたい

とにかくブーミーなのです。

今の若い人は「ブーミー」と言われてもどんな音か分かんないのかな。低域が常にブーブーどんすこ鳴っていて、濁っていて不自然です。まあ、仕方が無いんです。これ6次ですから。『【ナレッジ】バスレフ型の低音は凄く遅れる』最初に結論から。 バスレフ型の低音はとても遅れている。 ダブルバスレフ型の低音はさらに凄まじく遅れている。 今日は低域の群遅延特性について書いてみたいと思いま…ameblo.jp

個人的にはバスレフの低音さえ我慢できないのに、6thとなればもっとです。
それでもUltimateMicroSubやMX-1000Hでは共振点が極く低かったのであまり気になりませんでしたが、Logicoolのは目立った低域で派手に群遅延が増えるのと強い共振で不自然きわまりないです。箱の板共振も凄い。頑強の極致のMX-1000HのSubとはちがう。
・・・とか何とか言いながらも、4thや6thばっかり自作しているジブンが居ます。キライキライも好きのうち、ってか?

少しでもマシにならないかなという事で、少量吸音材を突っ込んでみました。(元は何も入っていなかったんです)こんな量でそんなに効くとも思えませんが。
 

フタを閉じて視聴です。
低域のレベル調整は劇的にやりやすくなりましたね。成功。
以前はツマミ5%付近(7:30位)をふらふらしていましたが、今はボリューム40-45%くらいでバランシングするようになりました。なによりツマミの動きに神経質ではなくなり音量調整がやりやすいです。ブーミーな低域も、多少はクセが少なくなった感じはします。しかし根本改良はムリですね、6次ですから。
 

高域共振をノッチしたい

もうひとつ、試してみたいことがあります。

それはフルレンジのブレイクアップをノッチすること。

これはマストではありません。これがこのΛの個性という言い方も出来ますし。ただ、聴いているといかんせんキビシイソースはあるのです。耳をつんざく、キーンとなりそう感じのときはある。

ノッチを入れれば必ず良くなるというわけではない、今ある美質もサプレスされてしまう可能性だってある。だから、入れたり切ったりして効果は確かめておきたい。本当は入れたくない。入れたら制作コストが上がってしまったことになるし。ノッチ用のキャパシタやインダクタは高いのです。だから、「オプション」ですねこれは。

回路模擬です。

潰しすぎない程度に、潰します。
とはいえ、これだけ変わると聴感、相当に変わりますね。
ノッチ回路はまだ作っていません。

手持ちのパーツで有るには有るけど、比較的高級なパーツなので、Λへ投入するのは悩んでしまいます。かといって、新規オーダーするほどの余裕やモチベはないし、ここは考え所。

ウーファーを足した時の特性

測定を実施しました。
500Hzくらいを境に近接場/遠点疑似無響となります。

みごとな吊橋形状です(笑) ドンシャリ傾向。
180Hz付近がアコースティックXoverなのですが、かなり明快で深いNullが見えます。これはもしかするとウーファーが逆相の方が巧く繋がるのかも知れないです。だが、ウ~ン、もう一回開けるのかなぁ~、面倒臭いな。

音のバランスはf特のとおりで、ど派手で明快で演色の強いものです。低域下限は43Hzといったところ。通常の音楽再生用としては十分ですが、超Hi-Fi視点ではやっぱり足りないかな。ここから下がきっちり高品位で出ているかどうかで音響空間は異次元で差が出ます。

あとは予定どおり、高域のブレイクアップを潰して聴いてみたい。

ノッチ回路と最終チューン

ノッチの設計

以前近接場でドライバ実測した段階では、8.5kHzだったブレイクアップが、80cmの疑似無響では9.5kHz周辺へシフトしてしまいました。謎。
ドライバー間の個体差かもしれません。

なんにせよ、ノッチの設計ももう少し高めにフィットするようにシフトしました。

手持ちのパーツのなかでフィッティングするよう努めます。

が、手持ちパーツで33Ωが無いんです。
27と33を発注し、当面は15Ωで妥協しました。結果としては15Ωでも高すぎるくらいでした。

キャパシタをどれにするのかも悩みました。適切な値をチョイスすると、どれもパーツが超高級すぎるのです。Audyn CapとかZENとか、どれも高級すぎる。さんざん悩んでSolenを投入しました。SolenのFastcapでもこのプア・ラウドスピーカーに対しては立派すぎます。本当はこういう用途の為にDaytonやBENNICや松下があるはずなのですが、残念ながら手持ちのパイには定数が無かったのです。だからといって、追加発注(投資)する気には到底なれない。だから高価なパーツを投入しました。

インダクタは今は亡きTRITEC、キャパシタはSolen、レジスタはNorth Creekという豪華布陣です。せっかくローコストに抑えたラウドスピーカーが、ノッチ用のパーツだけで全額が吹き飛んでしまいます。
 

中継ターミナルには過日のLS-11ES用のターミナル板を流用しました。

音出し。
まだ高域にピークは少々残っているはずなのですが、一挙に落ち着いてフツーの音になりましたね。
バランスが妥当で、ナチュラルな音色に改善されました。

トレードオフで、一聴してギョっとするような拡がりとカミソリのように切り立つ異次元の音像感は1歩も2歩も後退。凄い音ではなくフツーの音になってしまいました。帯域バランスは改善されたのにです。このあたりが、マトリクススピーカー/ラウドスピーカーの難しいところ。異次元感のあるサウンドステージを聴きたければNotchナシ。自然で妥当なバランスで聴きたければNotchアリ。好みは分かれそうです。

NotchのON/OFFを確認できましたので、後日はノッチの周波数特性と、それからウーファーリバースの特性を測って終わりにしたいと思います。

なんだか傍からダラダラ続けているように見えるかもしれませんが、ラウドスピーカーは「終わりのない戦い」であり、引っ張ろうと思えば永遠に引っ張れてしまうのです。

ノッチの実装結果

ノッチを加える前はこんな特性でしたよね。

こんなNotchを加えて高域のブレイクアップを補償したわけです。
結果、どうなったかを計測してみましょう。ついでにBassのレベルも微調整して少々控えめとしました。

これはウーファー/フルレンジ共近接場での実測です。
近接場なので、ドライバアライメントや回折影響はリジェクトされています。

この段階でもう、高域共振はかなり巧いこと潰れているのが判りますね。

ついで、こちらが最終的で正確な実測特性です。低域側はニアフィールド。500Hzから上はファーフィールド。1/6th Oct.でスムーシングしています。
じゃっかんピークは残っているものの、驚くほど綺麗にブレイクアップが潰されました。実測も聴感も再調整の必要性を感じませんので、この定数でFixします。

140Hz付近にクロスのNullが見えます。やっぱり逆相にした方が良いと思いますので開けてみます。ちなみに、リバースヌルが深いことを最優先するようなアプローチもありますが、ヌルはヌルでしかないのでそこばかり追求することに実はあまり意味はありません(良い音にはならないという意味です)。それよりも、できるだけブロードでリニアな群遅延を目指したほうがサウンドステージはより好い結果が得られるでしょう。

一番上に示した「吊り橋」に比べると、ずいぶんとフラットな特性になりました。

非常にニュートラルで当たり前の音に近づいたのですが、その分、当たり前過ぎて面白みには欠ける音になったのかもしれません。また、f特がニュートラルになったからといってキャラクターやカラレーションがこれで皆無になったわけではないです。

やっぱり低域はブーミーでバタ臭いし自然ではありませんし、高域にはアルミ臭い輝きが乗ります。ブレイクアップは非最小位相系ですから、ブレイクアップを潰せたところで、カラレーションは残ってるのです。ラウドスピーカーは聴者の経験値が上がると、ケブラー臭、アルミ臭、チタン臭、ファブリック臭などが嗅ぎ分けできるようになります。さすがに、最新鋭のベリリアムやダイヤモンドになると識別不可能なくらいに無個性的には成ってきて、あとはベンダー特有のキャラクターだけが僅かに残る傾向になります。

ついでにヘッドブロックのインピーダンス特性も確認しておきましょう。

グリーンがドライバ裸でのインピーダンス。
青がハコに装着した状態でのドライバ単体のインピーダンス。
そして、紫が抵抗やマトリクス結線されて系トータルでの(片ch側から見えた)インピーダンス特性です。

変ですね? ドライバー単体(緑)よりも箱に装着した方がむしろFsは下がっているし、実はQtcも下がっています。普通はドライバを箱に取り付けるとFsもQも上がるものですよね?これはどういう事かと云うと、トランスミッションライン系の影響です。トランスミッションラインがマスロードとして負荷されたために管共鳴の共振に引っ張られて系のFsやQが低い方へシフトしたものです。

系の共振が空気質量負荷で潰されて低くなるようすも克明に現れています。

低域のドライバをリバースする

少々面倒臭いんですが、

箱をもう一度開けて、ウーファーの配線を逆相へひっくり返してみました。

ついでに、あと一息調整をラクにしたいBassレベルの調整ツマミ。ここの抵抗値をさらに低く換装しました。

 2kΩ → 820Ω

にしてみた。

これです。赤いスリーブのが820Ω。
取付のようすは省略。一挙に完成。

再び聴いてみる。Bass Levelの調整は一層ラクになりました。さほど大きな音質差は感じませんが、多少は良くなったかな?

逆相で結果がどうなったか、もう一度測定しましょう。

再測定・再視聴

こちらはまず、ニアフィールドです。
ウーファーもフルレンジもニアフィールド。
あら、ディップが無くなっちゃった。よさげですね。

それと、この中域の驚くべきフラットネス。前にも説明しましたが、このLAZOSのフルレンジは高域共振を別にすれば素性が良いのです。高域共振が均されたお陰で、いっそう特質が顕わになりました。

では次に、ニアフィールド+ファーフィールドつまり、正しい疑似無響計測です。

こちらもいい。少なくとも低域のヌルは消えた。

でもニアフィールドでは真っ平らだったのに、なんでファーフィールドだとこんな風に高域に凸凹が出るの?これはもうキャビの設計が悪いからです。ドライバ1本単体では真っ平らでも、バッフルエッジディフラクションの影響が出る。マルチドライバの位相干渉だってある。これを均すにはどうしたらよいか。ANDROMEDAのように本格的なバフル設計をするしかない。バッフルが小さいことも災いしています。少々のラウンドバフルにしたところでこれはどうにもならない。世の中にはバッフルが小さければ音場感が良いみたいな思い込みや先入観がありますが、それはただの先入観。正しい設計をされたラウドスピーカーの音場感が良くなります。

改めて色々と聴いてみたが、音楽鑑賞用やBGM用ならやっぱりNotchが在った方が良いかな~?音響的な凄みならNotchを抜いた方が頭抜けるが、かわりに明らかに不自然で、長く聴いてると疲れる。音楽を聴く時はNotchを入れ、音響快楽がほしい瞬間だけはNotchをショートしちまえば、両方が楽しめそうです。Notch有りでも過日のKENWOOD LS-11ESとか、JBL J216Proとか、Celestion SL6Sとか、その辺りよりは私好みの音が出ています。(嗜好性/指向性がワタシ的というのかな?) 世界最小最軽量最低価格。シャレとギャグで始めたプロジェクトでしたが、予想外にトンがったスピーカーになったような気もします。

やれやれ。長かったチューニング後。やっと特性も音も整った感じです。

突風のように手元を通り過ぎた存在

実はもう、このスピーカー、私の手元にはありません。売却してしまいました。

世界最小最軽量のマトリクススピーカーとして誕生したΛ。

蓋を開けてみればサブウーファー・アンプ付きになってしまったから、もはや最小でも最軽量でも無くなってしまいました。しかし、サブウーファーとアンプがあった方が汎用性が高まるし音質にも好結果だったと思います。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

#マトリックススピーカー #自作スピーカー #マトリクススピーカー #スピーカー制作 #世界最小
 

投稿者

KeroYon

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