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FMシリーズも佳境・・・か。今回も長文ですので長文苦手の方は離脱してください。

FMチューナーは無線ではなく優先のFMモジュレーターにより、自宅オーディオソースとダイレクトにつながりました。それはあたかも「自宅FM局」の誕生ですね。自分で選んだセトリ。自分で選んだ超高音質ソースも再生できるし、なんだったら系の特性の測定まで出来てしまう。

再試聴

気のせいかもしれませんがFMトランスミッターに比べるとモジュレーターはレンジも鮮度も大幅に上がっているような気がします。

一方で、最初にこのスルペニ・オペラを聴いていると、どうにも妙な歪みが気になります。
よく聴けば、中高域の音量の上下動でじゅるる、じゅるじゅるじゅるとモジュレーションのような気がします。凄い歪みが発生している。

もしや・・・と思い調整したら。。。ビンゴでした。これは入力オーバーレベルです。

WiiM からMFモジュレーターへは、2Vの固定出力が印加されていました。FMモジュレーターだかチューナーのアンテナ入力だか、どちらだかは分かりませんが、オーバーレブで派手な歪み(高調波)が出ていたようです。固定出力を500mVへ切り替え、なおかつゲインを80%へ抑えたら、ジュルジュルした歪み、ビートはすっかり無くなりました。

ただ、なんだろうな・・・それでも僅かな歪み感は残ります。

非常に良い音です。Andromeda本来の、らしい〜音がするというのかな。
前回の試聴では、「サブウーファーが断線したかのような音」という表現をしましたが、これはそんな感じはほとんど無いですね。可聴帯域のボトムエンドまで伸び切った、スーパーサウンドという鳴り方です。
豪快で繊細、迫力もあるしキレもあります。

だけど、何だろうな、、、かなり良くはなったのですが、相変わらず少しレトロ感はあります。少しカマボコのように中域が盛り上がった感じがあるし、それを中心に穏やかな印象。

「切れがある」とは書きましたが、ちょっとナマクラ刀になる。本当に繊細で鋭い切れ味は削がれて、少しずつ穏やかになる。名匠の銘刀が、百均の包丁に変わる感じです。一応切れはするんですよ。

なんでも少しずつ、刃が削がれて穏やかで聴きやすい感じになります。ラジオのようなナロウな音ではないんですが、ちょっとずつ丸まり、角が落ち、繊細な切れ味が少し優しくなる。ベールを被って透明度が下がる。
だから、BGM的な聞き方にはむしろ好適な音質になります。誇張して書いています。ほんの僅かにです。

ただし、一つだけハッキリ断言できることがあります。
FM局、局の送り出し音質は遥かに超えている。敵じゃないです。自宅ソースをダイレクトに送り込んだ音の圧勝。受信感度はどちらも遜色ないしS/Nもそんなに違わないから、純粋にANT端子に到達した時点での音の質の違いだと考えています。

そういう意味だと、FMっぽくない音です。FM局は強烈にFMを感じるのだけれど、もはやこのFMモジュレーターを通した音は「方式の違いではなく装置の個性の違い」に近いくらいHi-Fiに近接してきた気がします。

ただ、しつこくもう一度言うと、歪みもノイズも感じるし、F特の限界も感じます。これは自宅ソースをどんな装置で聴いた時にも感じないこと。つまり、KT-8300 による音質劣化は、確実に「ある」。

特性の再計測

特性と言っても、私の測れるのはせいぜい周波数スペクトルと歪率くらいなものです。
早速、見ていきましょう。何か変わったのでしょうか?

まず周波数応答から。
5-20kHzのスイープを突っ込んでいます。
最初、5-40kHzも突っ込んでみたのですが、原理的にありえない信号を突っ込むと中で妙な変調が起きてしまうらしく、ものすごーく妙な出力音になってしまったため、現実的な帯域制限をしました。

これは立派。前回(FMトランスミッター)と比べてもワイドになったのでは。
だら下がりとはいえ、低域が15Hz付近まで伸びているじゃないですか、これなら合格〜。通りでボトムエンドの伸びを感じるわけです。ただ、少々中域が膨らんでいるんですね?これが音の温かみの正体かもしれません。 スイープ信号がおかしいのかと、いくつか違うアプリで生成した信号を用いたり、Lengthを変えてみたりしたが結果の傾向は同じだったので、こう言うものかもしれません。
この超低域の伸びとかまぼこ感は聴感とも一致しますね。

前回計測と比べてみます。ピンクがFMトランスミッター。グリーンがFMモジュレーター(今回)。
かなり違いますね。聴感上の違いとも大筋一致しています。
同じスイープ信号を使ってこの結果ですので、いずれも電装線路の違いが出たと見ていいでしょう。

ただ、新しいモジュレーターでも音質向上は感じるものの、聴感上なんとなくの歪み感やS/N劣化は感じました。裏取りのために、歪み(/ビートダウン)も見ておきましょう。

まずは理想図。下部のゲジゲジはノイズフロア。1kHzの単一サイン波を印加しますので、1kHzにだけポンとスペクトルが立ちます。

現実はこちら。大量の高調波が立っています。立っているのは別にいいんですが、ちょいとレベルが高すぎる。

スムーシングを一切外して、メーター直読みで確認してみると、最大約3.2%の歪。
このくらいのレベルでは聴感上もハッキリと歪を検知できてしまいます。

どちらでも見えている、19kHzの鋭いスパイクは、MPX信号です。
周波数特性はスムーシングしていますから見えませんでしたが、スムーシングを外してしまえばそちらでもハッキリと見えます。つまり、物凄い鋭いフィルターを通しているのですが、それでも消し切ることは出来ないってこと。(MPXフィルターOFF)
だから、聴こえる人には聴こえてしまうってことです。

次は10kHzです。理想像は、こう。

そして現実は、こう。こちらも同等です。メーター読みすると、最大約3.2%内外の歪。
これにも19kHzスパイク(MPX)は見えています。

これは系全体の歪率です。だから、KT-8300 が犯人とは限らない。FMモジュレーターが犯人かもしれない。ただし、モジュレーターを通していないFM局送り出しの音はこれよりも歪み感があります。だから、ここで見えているこれがKT-8300の実力という可能性は高いです。

経年劣化や調整不良の可能性も否定できません。

FMチューナーの良いところ

何日間もFM経由の音質を堪能したあとで、いつものDLNA-Roon再生へ切り替えてみました。当然ながら、同等のソースでの視聴です。

「うーわ。」

思わず声が上がってしまうくらい、違う。そんなに遜色ないと思っていたのにやっぱり全然違います。超微粒子感、超繊細、スーパー解像力、リアリティ、はるか遠点まで見通せる空間感、圧倒的破壊力。KT-8300にはこれがないのです。Andromedaらしい音が出ているじゃないかと思っていたのに別物でした。

ただ、FMチューナーにもいいところは有るんですよ。BGMに最適な音質に変えてくれます。微妙に味(歪なんですけど)も付けてくれるから、心地よさもある。それが気持ちよくて、ここ数日間はずーっとFMチューナーを介在した音楽鑑賞をしていました。誤解を恐れずに言えば、「真空管バッファ、ないし真空管アンプを介在して味を濃くした」かのような音質に変えてくれるのです。実際、高調波の出方を見るとあながちハズレでも無いかなと。

キョーレツに派手な音質でちょっと厳しいなと感じるJPOP。あまりにもあっさり味でもう少し濃い味が欲しいなと感じる淡麗系ソース。そんなとき、FMチューナーは積極的イコライザとしての活路があるんじゃないでしょうか。

各種の設定で気づいたこと

ところで、実験中に色々と気づいたことはあります。ジマンじゃないけど高性能なFMチューナーは買ったことがないから知見がないのです。

選択度切り替えというスイッチがあって、wideとnarrowがあるのですが、wideは音質がよく、narrowにすると途端に曇ってガックリと解像度が下がります。選択度のトレードオフで高域が犠牲になるのですかね。

また、MPXフィルターのスイッチ。これをONにすると極端に曇った音質になります。
アナログのフィルターですもんね。MPXのリジェクト能力は上がるんだけれども、スロープが緩いので可聴域の高音ももろに犠牲になっています。これじゃ使えないな、と思いました。これは弱電界や受信感度の弱い局での緊急避難的な機能なのですね。

以上、FMチューナーにぜんぜん詳しくない、ど素人のたわごとでした。以上です。
またしばらくFMの記事は休止かな〜と。


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2件のコメント

  1. バリコンチューナーでのひとまず完結編?読むだけで楽しく満足です。
    FM東海で試験をしていたころに、F特やAM放送のような不具合がない以外に「(なんか)音が良い」というのがあったからこそ実用化までの苦労を乗り越えたのかなと。
    オーディオで音が良いと思った一歩はレコードよりFMだったので、そんなことを思ったりします。

    MPXフィルタ、ドルビー搭載のカセットデッキにもついていましたね。
    FM雑誌にNRが誤動作するから入れるように、と書いてあったのでせっせとスイッチオンでMPXフィルタを入れてエアチェックやレコードのコピーに励みましたが。
    フィルタの音質変化など気がつかず。
    性能向上が著しかった当時のカセットなら録音レベルをぎりぎり上げればNRなどなくてもよかったのかと思ったりします。
    ノイズを減らしたところでソースはレコードかFMでしたし。
    やたらとノイズが耳につくシステムだったような気がします。

    1. >YAS-NORIさん
      僻地でお読みいただき、ありがとうございました。
      また、今回は返信が遅れて申し訳ありません。
      私がコメント欄に気づかなかったためです。

      アメブロ内に比べると、通知が来るわけでもなし、レスポンシブではありませんね。(笑
      この返信にも気づいてもらえるのやら。。。

      > オーディオで音が良いと思った一歩はレコードよりFMだったので、
      ああ〜。なんだか判る気がしますね。

        良い音を感じた原体験

      というのでしょうか、それは私も大切にしています。
      「FMは猛烈に音が良い」「だからFM局の送り出しで使われている装置は品質が良い」。

      FM末期のL-02TとかL-03Tとかの広報や批評には「局送り出しの音」とか書いてあったし、デンオンの局用プレイヤーそっくりの、だが民生用プレーヤーが大人気だったり、局用のEMTが人気だったりしたのは知っています。そこから類推→ 「FM局は神格化された存在で、それは超高音質だと捉えられていたのではないか。」
      なぜなのか。「顧客の手元で聴けるレコードプレーヤーの音はプアーな装置で貧相だから」。
      そうなのでしょうね。昔の品質基準で言えばFM放送って素晴らしいものだった、そう思います。自宅のレコード音がFMを超えてたのは上位数%のスーパーマニアだけだったかもしれない。

      もちろん私も「エアチェック」なるものを散々しました、でもしかし小中高時代だったのでお金がなく、高級なFMチューナーなど一度も買うことなしにFM時代は終わってしまったのです。雑誌で商品を見て涎を垂らしていたのみです。当時の私は、ラジカセの信号を外へ引っ張り出してチューナー代わりにしたものと + バラックでケースにさえ入っていない奇怪なカセットデッキ”もどき”を使っていました。お金がないからです。そのくせ、レコードは譲ってもらったアナログプレーヤーとMCカートリッジ、自作プリアンプ、自作パワーアンプ、自作スピーカー(今と全く変わらんやないかい)という豪華布陣で、それにFMエアチェックは全く敵いませんでした。
      だからそれも原体験ってことなのです。高級なFMを購入できたら先入観もないし、凄いFMライフを送れていたのかもしれません。

      MPXやWIDE/NARROW。頭でっかちですから用途は知っていましたが、真っ当な実体験はこれが初めてです。こんなに音が変わるものなんですね。ケーブルでの音質差なんてあっち行ってらっしゃい位に愕然と違いました。

      「今だから分かること」
      って有ると思います。KT-8300は当時性能を再現できていないかもしれませんが、少なくとも現状ハイレゾストリーミングには段差が激しすぎる程度に歯が立ちませんでした。それでも、「自宅のリソースを突っ込めばこんな音も出るんだ〜」というのは興奮と感動のアハ体験でした!
      宝くじでも当たったら、SGと150Mオッシロ買って、チューナー調整にチャレンジしますよ(笑)

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KeroYon

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