KENWOOD LS-11ESを骨までしゃぶるシリーズ~
LS-11ESウーファーは「驚きの特殊性」(私も外見だけからでは想定外でした)が分かってきたので、もっと詳しく。いかにこれが変なウーファーなのかをもう少し見ていきましょう。
【2024/03/03訂正】
以下の記事は私の調整不足で誤り(特にグレーの部分)を多く含んでいます。特性は常識的な範囲内の設計でした。
もしかしてこれ、”ウーファー”では無いのでは?

見た目からは、振動系がいかにも頑丈で屈強で、重めの重低音が出そうな予感がしますよね。見た目だけなら。でもコレが違うんだな全然・・・。
これは高域が出ないという意味では、確かにフルレンジではなく「ウーファー」と言えます。でも、コレはついでに重低音再生もあきらめている形跡があります。

FOSTEXのFE-208 Solというフルレンジドライバがあります。口径が割と近いので、コレとパラメータ:設計指向を比較してみることにします。FEのパラメータはキューゼロ、エムゼロといったガラパゴス日本な指標になっていますが、まぁT/Sと同じようなもんだろと見なして並べています。
| 指標 | LS-11ES | FE-208 Sol |
| Fs / F0 | 86Hz | 43Hz |
| Qts / Q0 | 0.64 | 0.15 |
| Mms / M0 | 13.4g | 14.3g |
| マグネット質量 | 580g :推定笑 | 3672g |
前々稿でも触れましたが、驚くのは振動系の実効質量の軽さです。
フルレンジのFOSTEXより軽いってどういうこと?(笑)
また、フルレンジのFOSTEXよりFsが倍近く高いってどういうこと?(笑)
実はその後、もう少し下げようと二度目の軟化処理をしているんです。でもほとんど変わらないですね。やっぱりFsは80Hz付近から落ちないし、Qも0.6内外です。
振動系質量が軽いところは共通しているんですが、支持系が硬く、FsやQtsが高い。そして電磁制動がほとんど掛かっていない(マグネットが弱め)ということろが、このKENWOODウーファーの特長になります。支持系が硬い…という意味では、カー用途のサブウーファドライバもちょっと似ているんですよね。でも、アチラは振動質量がこれの4倍以上はあって、Fsがずっと低く出ます。電磁制動もずっと強い。そこが違うんです。
これって・・・一番似ているのはUpsilonに使われているような・・・そう、フィックスドサラウンドを持つ、オールドファッションな古代フルレンジが一番設計が似ています。このテのドライバーは、T/Sパラメータが線形近似できる領域を逸脱しており、バスレフ型の箱をオプティマイズしようとしても、巧くフラットにできません。(詰んでると言われます)
どんな箱ならよかったの?
これらのパラメータを見ただけでどんなシステムが好適か、すぐに思いつけたらオーディオでも上級者だと思います。
超大型の箱が合うんですよね。200リッターとかかな。それくらいあればバスレフでもなんとかチューニングは出来ますし比較的ワイドレンジにも出来ます。そんなデカい箱なら、もはや裸でもいいんじゃ・・・?その通りで、2x2mなどの大型オープンバッフルが似合います。天井埋め込み/壁埋め込みになっていて、その背面が開放空間になってたりすると最高です。いっそのことLinkwitzさんのORIONのような小型オープンバッフルシステムにして徹底的補償も面白いかもです。(でもその場合も最低域用じゃないよな。ミッドバス用かな。)
小さな箱に押し込めるような基礎設計にそもそもなっていないんです。最初からフラットな低域再生など諦めているかな。LS-11ESの箱は14L内外です。このサイズに収めるなら、サイズから逆算したドライバー設計をすべきですがそうはなっていない。
もしかしたら、私などの想像が及ばない、ぜんぜん違うことを狙ってこのスピーカーを企画したのかも知れませんね。最低域を欲張ったところでどうせ大したモノにはならないんだから、最初からばっさり諦める。そして、薄く軽く丈夫な振動板で、フルレンジライクな軽やかな音を出す。といった事を狙ったのかもしれません。私が魅力を感じた中域のオイシさも、このウーファーに拠るところが大きかったと思います。でもだとしたら、なぜわざわざ本格的3wayで構成しようと考えたかが解せません。
極端な裏読みをせず、私が素直にこのスピーカーを捉えると、やっぱり基本設計にシクった変なスピーカー… という評価になります。でも、軟化しても初期性能が出ていないだけというオチもあるし…。前述のとおり私の想像の及ばない狙いがあったのか全ては闇の中です。このウーファーは、少し(例の)ブレイクインをして、FsやQtsが落ちきるのかを試してみたいと思います。色々面倒くせーなーとは思いつつ、でもこの面倒臭いプロセスが趣味なのだろうと我慢してチャレンジします。

(これが精一杯がんばった時。150リッターのバスレフです。鬼か!)
【この連載の目次】
- またドフゴミを買ってしまったよシリーズ: LS-11ES(1)
- LS-11ES(2) つるしのまま測定して聴いてみるよ
- LS-11ES(3) 中身を徹底的に晒そう
- LS-11ES(4) クロスオーバーの実態を解析してみるよ
- LS-11ES(5) 劣化したサラウンドの軟化処理と、効果を見てみるよ
- LS-11ES(6) ミッドレンジは徹底して磨け/なぜなら魂柱だから
- LS-11ES(7) ウーファーの特殊性を考えてみる
- LS-11ES(8) え〜い、もう側板を補強しちまえ
- LS-11ES(9) 大改造/まずターミナルを作り替えてみるよ
- LS-11ES(10) 大改造/フックアップと吸音処理
- LS-11ES(11) REWで擬似無響計測~
- LS-11ES(12) 実装状態での素特性を測っておく
- LS-11ES(13) 大改造/XoverのSimを追い込む
- LS-11ES用にスピーカースタンドの改造をしてみた
- LS-11ES(14) 大改造/chat AIにXoverオプティマイズのやり方を
- LS-11ES(15) 大改造/有孔ボードでXover制作開始
- LS-11ES(16) 新パッシヴXoverが完成ですよ?
- LS-11ES(17) 大改造/嘘だろぉおおお?
- LS-11ES(18) 大改造/改良後を色々聴いてみよう~
- LS-11ES(19) miniDSPで大化けか、KENWOOD
- LS-11ES(20) 灯りを点けましょ、ウーファーに

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