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KENWOOD LS-11ESを骨までしゃぶりつくすシリーズ〜

最終回?
miniDSPを使ってLS-11ESが変貌します??

ミッドバス用のスピーカーケーブルを新調

ミッドバス用のスピーカーケーブルは使い回しなのでかなり古くなっています。長さも少し足りません。
良い機会なので、新しく作りました。今回もカナレ4S8Gです。

そのまま使っても面白くないから、いつもの通り被覆を被せてデコします。

LS-11ESのターミナルは、Andromedaみたいに屈強ではありません。
こんなゴツいYラグを繋ぐようには出来ていないから、重みで今にもゆるんで接触しそうです。怖いねー

ミッド、ハイに至っては、無理やりファストンへ繋げたものだから、ぐらぐら。外れそう。今にも接触しそう。怖いから、ガムテで固定して距離を置きました。(笑)
パッシヴネットワークは撤去です。

さぁ、miniDSPで屠る準備は整った。
これからディジタルドメインで、LS-11ESを整えて再定義していきましょう。

クロスオーバーのフィッティング

やることはいつもと同じです。
まず、LR24の理想ターゲットカーヴを準備しました。
あとはそのターゲットに出来るだけ近づけるように、

  1. まずはPEQを駆使して出来るだけリニアライズ
  2. 計算どおりのクロスオーバーを適用
  3. その後、微調整

となります。

まずトゥイーター。
かなり綺麗にターゲットへフィッティングできました。
3つのフィルターを駆使していますのでパッシヴではとても無理です。

次にミッド。
ミッドも素が乱れているので。かなり苦労しましたね。この辺が限界です。

ミッドとトゥイーターを一緒に鳴らした様子。まあまあです。

最後にウーファーをフィッティングして・・・

いったん完成です。パッシヴクロスよりは平坦に出来ましたね。

特に低い帯域でグラフがよれよれしているのは、時間窓を長めにとって反射を拾い始めているからです。見づらいのはご容赦ください。
ミッドも緩いシェルフ2種とノッチ1種を組み合わせているから、アナログだと実現困難なレベルです。
では次に、いよいよウーファーへLTを適用してみましょう。

Linkwitz Transform、大失敗~の巻

結論から言ってしまうと、LS-11ESに対するLTの適用は大失敗に終わりました。
カーブ適用後、ゲインを揃えようと、ボリュームを上げていったら・・・

MOS-FETアンプの保護回路が動作し、瞬停。出力が落ちました。MOSが飛んだかと、脂汗が吹き出ました。ま別に飛んでもいいんですけどね、替えはあるし。やっぱり65W/8ohmのパワーアンプごときで、LTはムリかぁ~。Xbassを駆動しているアンプは4Ω400Wは出るものです。最低、そのくらいは無いとLTはダメってことね。

でも、「大失敗」と言っているのは、アンプのパワー不足のことを言っているのではないです。
以下に実測したLT後の特性(青)を示します。

なんか、blendedとはいえ、これはおかしくない??
低域が異様に盛り上がっちゃってます。(実はこのとき、音質もかなりおかしいです)計算上は25Hz付近までフラットになるはずなんです。

この事が何を意味しているか・・・つまり、LS-11ESのウーファーは線形近似ができないドライバーって事なんです。たびたび説明しているとおり、Thiel Small Parameterも、Linkwitz Transformも、線形に近似できるからこそ、線形近似補償ができるというわけです。このウーファーは、計算どおりに動きません。つまり、線形に近似できないほど古臭くておかしな設計の規格外のドライバーということです。

例えばXbass、18W8545Kは線形近似できるから、計算通り、15Hz付近までは一直線に再生できています。
LS -11ESの詰んでるドライバーだと、せっかく事前に測っておいたFc1もQtc1も役に立ちません。計算どおりに動かないんだから。
ここで気を取り直し、ムリにLTするのは諦めました。
 

最終特性

LTの代りにLowShelfで軽い傾斜を作り、補償結果を眺めながら緩い補正を掛けました。これで35Hz付近までは平坦再生できます。この、実測をしっぱなしながら補償量を変えられるのがDayton+miniDSPの良いところです。

それで再チューニングした最終特性がこちら。

320Hz以上が5msec.のファーフィールドの疑似無響。320Hz以下がニアフィールドです。
いやまあ。。。。実測値はなんとご立派ですこと。

特性図だけなら、凡百のハイエンド製品はまっ青ですわ。
PEQを駆使しまくっていますので、正直ズルですね。
音圧偏差もパッシヴクロスをラクに超えて、Betaレベルに迫っています。

音も、まあ一聴立派だこと。
かんたんに言うと、スピード感が凄い。ビシ!ビシ!パシ!パシ!ドス!ガツン!音がぶっ飛んでくる。音が堅ったい。かなり硬め。曖昧さがない。似たような音圧周波数特性でも、GammaやAlphaとはかなり違う。余裕がまるで無い感じ。低音も、低い方まで出てはいるけど全然余裕がありません。必死だな。

例えて言うなら、肥満体だがドーピングされ、あり得ない速度で強制的に走らされるランナーな感じ

死にものぐるいな感じの音質

しかし、相変わらず音場感は良いし細かい音が沢山出るしAndromedaとは違う鳴り方です。これはこれで、スピードとか鮮度とかシャープとか解像度とか評価され、好きだという人もいそうな音。
良さは認めつつも・・・私は少し、疲れちゃうかな?

気になっていた低音は、徹底した吸音処理、密閉型に改造かつステップフィルタで補償したためか、ほとんど癖が気にならないレベルに。ゴーゴー言ったりボンつく癖も減少はしました。しかしそれでもこの低音はなにやら少し堅すぎるというか・・・カチカチでバキバキ筋肉質すぎる人工的でドープした低音に聴こえます。これがこのドライバ+箱の個性なのでしょう。…てかこんなQtsの高いウーファーではどんな頑張っても癖は抜けきらないと思います。補償量が大きすぎるせいか、じゃっかん歪感増加も感じます。
 

安値で手に入れたジャンクスピーカー。思い残すことなく屠りました。これで暫く聴いて、LS-11ESはオシマイ。お疲れ様でした~
 
 

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投稿者

KeroYon

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