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オーディオのチェックに使える、Sクラスの弩級録音をご紹介するシリーズ。
本日は何度かご紹介したことのある Remember me, my dear です。

私がオーディオ再生で最もプライオリティを置いているのは、楽音の生々しさはもちろんですが、それ以上にホログラムのような正確なステレオイメージに重きを置いています。そういう視点で今日ご紹介するそれはトップレベルに近い。

Jan Garbarek / The Hilliard Ensemble – Rememberme, my dear

出自

(P)2019。録音そのものは2014年です。
ヤン・ガルバレク、ヒリヤード・アンサンブルといえばECMの中でも優秀録音を多数輩出してきた名手。

彼らの出会いは1993年、プロデューサーの Manfred Eicher によるもので、初作 Officium(1994年) は古楽と即興的サクソフォンが融合した前例のない試みとして大成功を収めてました。以降、『Mnemosyne』(1999)、『Officium Novum』(2010)と3作のアルバム/ツアーを重ねてきました。このアルバムは、そんな1990年代初頭から続いたGarbarek — Hilliard Ensembleの協働プロジェクトの最終章にあたります。彼らが共演したツアー “Officium” プロジェクトの締めくくりとして収録・制作された、「ラスト・ライブアルバム」です。

レコーディングは 2014年10月のツアー中。スイスのベルリンツォーナ教会(Chiesa della Collegiata dei Santi Pietro e Stefano)で録音されたライブアルバムです。客席の咳き込みや椅子きしみなど雑音も克明に捉えられています。教会の広い空間と残響は演奏に深い霊性と広がりを与えており、現場の空気感を忠実に捉えた名録音です。

40年以上も活動してきたヒリヤード・アンサンブルにとっては、実質、この一連のライブがほぼ引退活動に近かったようです。収録曲は彼らがこれまで探求してきた幅広いレパートリーを総括した内容になっています。アルメニアの世俗曲、Garbarek自身の作曲(“Allting Finns” や “We Are The Stars”)、ロシア正教聖歌や中世のポリフォニー曲、
16世紀のスコットランド民謡など、多彩な構成。時間と様式を超えた音楽の連続性を感じさせ、古いものが現在の感性によって“再生・再解釈”される不思議な感覚も生み出します。

録音の特徴

音が出始めた瞬間、ギョッとします。ありきたりな表現では、「部屋が教会の大聖堂に変わってしまう」ですが、そのイリュージョンのレベルが半端ないのです。オーディオの最終目的が時間と空間を超えて現場を再生することだとしたら、こんなに高い再現性の録音はなかなかないと思いました。

いったい残響は何百ms…何sあるのだろう。深々とした残響、しかし、直接音と間接音が克明に分離、しかも跳ね返ってきた残響がまた融合してブレンディングしてうなりを作る様子が克明に記録されているのです。こと音場感、ステレオイメージではトップレベル。曲調と相まって、神々しい楽音とコーラスに恍惚としてしまいます。没入型ソース。特に鈍い輝きを放って長い残響を生むGarbarekのテナー・ソプラノサックスは必聴。こんなの聞いたことないです。

スペクトル

Track1の冒頭から。

サックスと高音コーラスだけですから。決してレンジは広くはないですね。
ただ、200Hz以下も暗騒音レベルは高いのでしっかり記録はされていて、超低域でのレスポンスのよいラウドスピーカーでは再現性とリアリティに大差が出ます。

再生の難しいソースでもある。超高分解能/音場型/繊細な再現性/超低歪なラウドスピーカーで再生すれば、卒倒しそうなくらいにリアリティのあるホログラムが現出します。

ステレオイメージ優先傾向のオーディオファイルには、必携盤!!

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2件のコメント

    1. >hkhk321さん
      そうですねー、ネタだけなら尽きることはないです。
      それこそ100枚200枚じゃ足りないくらいわんさか有るのですが、
      でも記事にするのも労力掛かるし、さすがに胆力がもちません。

      だから、暇なときを見つけて、ぼちぼちとやりますよ。
      ただの音楽批評じゃなくて、たまにはこういう視点のレビューがあったっていいですよね。

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投稿者

KeroYon

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