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以前、ノッティンガムのアーム調整について少しご紹介しましたが。
今回は少し突っ込んだオーバーハングと水平調整の方法についてご説明します。

というのも、

新しいプラッターマットを買ったからなんです。その調整についでに再説明もやってみようと。

マットなしがデフォ

知っていましたか? Nottighamのアナログプレーヤーは、どれもプラッターマットを何も敷かずに裸で使うのが推奨です。

Spacedeckのプラッターは、自重7kgの特殊アルミ合金製です。表層はアルマイト処理なんだか、樹脂塗装なんだかわかりませんが、見た目は樹脂製にも見えますよね。でもアルミです。これに”ダンピングベルト”と呼ばれるラバーリングを渡すことで共鳴を巧みにコントロールしているんです。標準で付属してくる「スペースマット」は全部オプションなのですね。少なくとも、トム・フレッチャーの推奨はヴァイナルをプラッターへ直置きでした。トムさんは最終的な音質をマットなしでチューニングしているからです。

とはいえユーザー像は多様です。プラッターマットを使ってVinyl(レコード)を傷つけたくない人がもちろん居るし、音質変化を楽しみたい人だっている。それで、2種のマットが添付されているわけです。でも「マット無し」であることが基本であることは変わりません。かくいう私も愛聴盤がスリップでダメージを受けるのが嫌なので、一貫して付属のスペースマット(フェルト)を敷きっぱなしでした。ほぼ無配慮に、ほぼ思考停止で。なぜなら一度も、敷いたその音になんの不満も抱かなかったからです。

しかしここへ来て、プラッターマットによる音質変化も知りたくなりました。そこで、グローバルでノッティンガム愛好者が好んで選んでいるマットを調べてみました。そこで行き当たったのがこちらになります。

ほぼノーブランド品。なんの変哲もないブチルゴム製のマットです。しかも非常に安価です。え、皆本当にこんなものを使っているの? これには拍子抜けしました。さぞや超高級品やわけのわからん工夫マットばかりが好まれているのだろうと思い込んでいたのです。

やはり理由はあるようで、スリットが多量に切られてスピンドルの共鳴が分断されるような構造になっていること。それと、レーベル中央部に行くに従ってマットが窪んでおり、密着性を確保すると共に、上に置いたスタビライザー等が最大効果を発揮するように配慮されているのです。

そんなに音質は変わらないだろうと考えているのですが、使うのが楽しみですね。(実は現段階でまだ音は聴いていません)

さて、本題のアーム調整をしていきましょう。マットを除去するにせよ、違うマットに替えるにせよ、アームの再調整は必須です。あえて「アームの調整がまるでできてない」状態から説明を進めていきます。

アーム高さ調整と水平バランス

プラッターマットの有無やプラッターマットの種類によって、盤面は高さが変わってしまいます。マットを交換したらアームの水平調整が必要となります。まずは水平調整から行いましょう。

通常、アーム水平が出ていないと針圧もインサイドフォームも無意味ですから、針圧調整は最後に行います。しかし適正な針圧でないとアームの沈み込みが変わりますので、水平調整ができないことになります。つまり、最初は何度かループバックして調整を繰り返す必要性が出てきます。

アーム水平を調整する場合は必ずVinyl(アナログディスク)を敷いた状態で行います。

今回は、こんな感じの汎用インサイドフォースゲージを敷いた状態で調整しました。このゲージは厚みがちょうど一般のVinylと同じにできているから一石二鳥なのです。

インサイドフォースゲージを購入される場合は:(私の買ったもの)

調整中に手が触れてプラッターが回ってしまうとスタイラスにダメージが出ます。そこで、図のようなスポンジを咬ませてプラッターをロッキングしておくと良いでしょう。安心して作業ができます。

Vinyl、またはオーバーハングゲージ上に慎重に針を下ろして、アーム水平を確認します。わずかながらピボット側の方が高く見えますね。さっそく高さを調整していきましょう。

Spacearmの高さ調整はここと、

それからここ。アームベース2箇所のねじを緩めて高さ調整ができます。

SpaceDeckの場合は、そこを緩めなくてもここ。微妙な高さ調整をするためのねじ(VATと呼ばれます)が付いていますので、カンタンに高さ調整・水平調整ができるようになっています。

 

目視でもかなり水平になりました。

しかし、目視での水平調整は意外と限界があります=狂っています。
図のようにカートリッジ下に適切な厚みのスペーサーを敷いた上で降針し、その状態でアームシェルの上に小さな水準器を置きます。より正確に水平を取ることができます。
 

オーバーハング調整する

オーバーハング調整の本当の意義は理解されていない場合が多いです。

例えばOH量の指定があったとして「オーバーハング量が**mmになる」というのはただの結果論です。別に**mmにならなくたっていい。もっと注意すべき目的があります。それは音溝とスタイラスの並行(線接触)を確保すること。

Vinylは原理的に最内周部が最大のトラッキング歪になります。だから、内周優先で並行性を確保するんです。

オーバーハングゲージには、大概最内周部の基準にドットが打ってあります。ここを基準に揃えなさいというポイントですね。そんなに神経質になる必要はありません。どうせそこで合わせたって他の半径では狂うんだから。

プラッターをロックした状態で、内周基準のポイントに正確にスタイラスチップを下ろします。

その状態で、真上から観察します。

わざと斜めになるよう取り付けてあるのですが・・・判りますね。
ゲージのメッシュに対して、アームエッジもカートリッジのネジもやや傾いていますよね?

= これは音溝にスタイラスが水平にコンタクトできていない、ということなのです。

で、どうしたってカートリッジのねじをひん曲げて真っ直ぐにしたくなるのですが、そうではなく、

カートリッジの取り付け位置をシェル上で前後させることで、水平が採れる箇所を探ります。カートリッジをシェルに対して歪めてしまうのはオフセット角が狂うのでNG:あまり好ましくありません。

写真のとおり、メッシュに対して直交/水平を調整できましたね。これでオーバーハング調整は終わりです。
あれっ? +15mm とか、オーバーハング量を測定しないの?しないんです。それは結果論ですから。そこを調整しにいっては水平が取れていない場合があります。

私の場合、この調整後のオーバーハング量は18mmでした。でも、それは結果論ですから。気にしない。

で、調整完了後のグルーヴ最外周部での角度がこれです。結構、狂っていますよね。
でも最内周を優先したのだから外周でこうなるのは当然。これが嫌な人は、少し中間的な箇所でオーバーハング調整する方もいます。その場合は内周部の歪みは増えますが、妥協するわけですね。

アナログプレイヤーの調整はバランスです。すべての点において満点の調整はありません。
習熟してくると、ユーザーごとに「どこに力点を置くか」の趣味性や勘所が出てきます。だから、同じプレイヤーを使っていても出てくる音が十人十色になるのです。

針圧調整

一通り調整が終わったら、針圧を再調整します。

水平調整、オーバーハング調整・・・それらをやると、適正だったはずの針圧は大幅に狂ってしまいます。
ここまで読まれてお気づきかと思いますが、ここで「針圧を変えてしまったのだから」、せっかく合わせたはずのアーム水平はまた狂っています。つまり、アーム水平、オーバーハング、針圧〜・・・このループを何度かやり直しして最適状態へ追い込む必要があります。

Nottighamのアームは、カウンターウェイト下部に仕込まれた真鍮製のサブウェイトを前後にずらすことで針圧を微調整します。とても神経質で何度もやり直すことになり、日本のアーム例えばSAEC辺りの簡便さに比べるととても原始的です。しかし、針圧計しか頼れるものがないのだから、常に正確に針圧を調整する慣習にもなるし、私は儀式としてなかなか良い造作なのではないかと思っています。

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4件のコメント

  1. とても参考になりました。
    私もそのうち、このマット手に入れてみます。

    なるほど、針圧、水平調整、オーバーハング調整、針圧と栗か返していくわけですね。
    ここまではわかりました。
    この方眼紙みたいなもの、ほしいですね。
    Vinylってなんでしょうか。

    1. >hkhk321さん
      方眼紙みたいなやつですね、オーバーハングゲージですね。
      記事中に購入商品のリンクも追加しておきました。千円くらいしかしない安い物です。
      プリンターがあれば自作もできますよ。(さすがにアナログディスク厚みの再現までは無理ですが)
      ノッティンガム純正で付いてくるゲージはお持ちではないでしょうか?
      紙のゲージでもよいが、アナログディスクと同じ厚みのゲージはなにかと便利です。

      Vinylとはアナログディスクのことです。
      海外ではアナログディスクは大概Vinyl(ヴァイナル)と呼ばれています。

  2. ノッティンガム純正で付いてくるゲージついて
    こなかったんですよね。
    オーバーハングゲージ、購入してみます。
    アナログディスクは大概Vinyl(ヴァイナル)
    というんですか。はじめて、知りました。

    1. >hkhk321さん
      [https://www.discogs.com/ja/search]
      世界最大の音楽ソースデータベース、Discogsです。
      ここで左サイドのメニューを見ていただくと分かりますが、アナログレコードは [Vinyl] と表現されています。
      あくまでも「海外では」ということですが、Vinylが一般的です。(LPや7’はVinylの一部ですね)

      overhangゲージはひとつ持っておくと便利です。
      カートリッジ直交も確認できるし、針を下ろせるからアーム水平調整にも使えるし、オーバーハングの絶対量も読み取れますし。1000円程度しかしないので、必携ですね。

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投稿者

KeroYon

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