×

これまでのアナログなクロスオーバーネットワーク調整を、大雑把に描くとこんな感じかと。

  1. マルチウェイ各ドライバーを独立配線で本番エンクロージャー上に取り付ける。
  2. 各ドライバー別に50cm前後の距離でFarField測定を行い、振幅/インピーダンス特性データを取得する。
  3. VituixCADに上記データを放り込み、ネットワーク設計、オプティマイズをする。
  4. 設計したネットワークを制作する。
  5. 出来上がったシステムを測定し、結果を確認する。
  6. (所望の特性が得られなかった場合は、2からやり直す。作り直しの刑!)

これがDSP408導入時は、このようなシーケンスに変わります。

  1. マルチウェイ各ドライバーを独立配線で本番エンクロージャー上に取り付ける。
  2. DSP408のマルチウェイ各chはフィルタリングせず、最初にフラットとしておく。ただし、MidやHighは保護的にゆるくローカットを掛けておく。
  3. 各ドライバー別にスイープしながら(音出ししながら)、バッフルステップ補償やノッチフィルターを調整。各ドライバーの振幅/位相をフラットに近づける。このとき、ドライバー利用帯域の2~3oct以上、外側まで平坦に出来ると望ましい。
  4. 全ドライバーの平坦調整が終わったら、各chにLinkwitzReilyの-24dBを掛けてつなぐ。
  5. 全ドライバーから音出しし、合成振幅/位相特性を確認する。必要に応じてEQで最終微調整を行う。
  6. あまり微調整が上手く行かなかったら、3-5を繰り返す。(手間は最小)

 

———–

さて、ここで一つ事例を挙げましょう。

こちらは、Thiel Audio CS2.4に利用されているミッドハイ・ドライバーの裸の実測特性です。

一見フルレンジ風のドライバーなのですが、ご覧のとおり、2kHz周辺を中心にポッコリと振幅の盛り上がりが見られます。

こちらのドライバーは軟化サラウンドを介してドームとコーンを繋げた所謂メカニカル2wayを構成しているため、そのクロスオーバー周辺で位相回転があり、振幅特性も乱れてるんですね。

で、このままでは使えませんので位相補償が必要となります。
実際のThiel CS2.4のクロスオーバー回路はこちら。(現物から描き起こしたものです)

いかがでしょうか。この複雑なフィルタ回路をThielは「1次クロスオーバー」と呼んでいるのですが、何処が1次じゃい?という感じですよね。でも、確かにスロープを見ると1次相当の緩やかな曲線で接合をしているのです。
現実には、アルミウーファーのブレークアップ補償。+メカニカル2wayの位相補償。+また、メカニカル2wayのFsを潰して1次で無理なくつなげるためのFs補償。これらが重畳され、複雑なネットワークを構成することになります。
 
これ、高級/高品位なクロスオーバーパーツを駆使して実際に制作すると(制作するつもりでした)、コストがすごいです。また、大変大きな体躯になり、取り回しも大変です。DSP408の導入で、これが全部ナシになります。しかも何だったら、CS2.4以上に複雑な補償だって出来る

もうひとつ、付帯的なメリットとして、アンプの負荷が軽くなります
実は上図の複雑なクロスオーバー、このスピーカーシステムの超低インピーダンスの要因となっています。無理な補正の塊ですので、帯域によっては3Ωを切ってしまっています。これらのパッシヴ要因がなくなることで、各アンプはドライバー本来のインピーダンスだけを負担すればよく、気絶や高域発振のリスクから開放されます。

DSP導入のメリット、少しは伝わったでしょうか?
少なくとも、私のようにXover補償に心理障壁の無い人間にはメリット極大なのです。

シリコンパワー ノートPC用メモリ DDR4-2400(PC4-19200) 8GB×1枚 260Pin 1.2V CL17 SP008GBSFU240B02

Synology NASを拡張した時に入れたメモリーがコレ!永久保証の上、レビューも高評価。もちろん正常に動作しており、速度余裕も生まれて快適です。

投稿者

KeroYon

関連投稿