本日は、オーディオファイルにはあまりにも有名な、コレです。

XLO Reference Recordings – Test & Burn-In CD
XLOのテスト&バーンインCDです。これを知らない人はオーディオファイルではないし、大概の人は所有している。知らなければオーディオファイルのもぐりなんじゃないかなと思っています。
あまりに有名で公知の存在。なら、なぜ今ここで取り上げるのか?
それは、ネットを徘徊する限りコレの本当のヤバさについて解説している例がまったく見当たらないからです。
このディスクの何がそんなにヤバいのか?
それではご紹介します。それは、ラストトラックに収録されているこの曲です。
Weinberger: ‘Polka and Fugue’
– Frederick Fennell/Dallas Wind Symphony/Paul Riedo – Frederick Fennell/Dallas Wind Symphony/Paul Riedo

ヤロミール・ヴァインベルゲルが1926年に作曲した『バグパイプ吹きのシュヴァンダ』(チェコ語: Švanda dudák)というオペラがあります。この「ポルカとフーガ」はその中から抜粋された一節。
このラストトラックは、ウチの数あるソースのなかでもトップレベルのヤバさを有しています。何がヤバいのかというとウーファーが吹っ飛びそうになるからです。
とてものどかで、ノン気で、愉快な感じのポルカです。だから皆さん油断するのですよ。そんなに物凄い音が収録されているとは予感しない。
「うわっ、ヤバい!ANDROMEDAが壊される!」そう感じるソースはそんなに多くありません。これはそんな数少ないトラックのひとつです。ラストのクライマックスへ近づくにつれウーファーの振幅変移が目に見えて増え、雑音・ボトミングすれすれまで行くからです。なぜ、多くのオーディオファイルは”そのことに気づかない”のでしょう? 理由はカンタン、(何度かご紹介していますが)凡百のラウドスピーカーは超低域が再生できていないから皆さん気づかないのです。ウーファーの振幅変移量が極度に増えるのは「再生できている」ことの査証です。余裕綽々、ということは「再生できていない=だから変移量も小さい」という証です。逆に「ヤバいヤバい!」と感じることができた人は自慢していいと思います。それは再生できている証拠ですから。
圧倒的大音量再生なんてもってのほか。「まだイケるかな?」というのを雑音の出方を探りつつ、おそるおそる音量を上げて限界点を探る必要があります。部屋の空気をまるごとひっつかんでグリップしてゆさゆさ揺するような超低域です。聴感でも恐怖感と危機感は半端ありません。ウチは普通のリビングをリスニングルームにしていますから部屋中の調度や置いてあるものがガタガタと揺れ出します(普通のソースではそういうポルターガイストは起きません)
というわけで、このバグパイプ吹きのシュヴァンダ、クライマックス近くのスペクトルを見ておきましょう。

あまり観たことのないような形状をしています。
スペクトルを見慣れている方だと、これがいかほどにヤヴァいか直感的にわかるはずです。20Hzのレベルが中低域を+15dBも上回っている。20Hz未満もかなりのレベルを保っています。アンプやウーファーが気絶寸前まで行くのは当然です。ただ、「超低域を再生できていない」ラウドスピーカーならば安心。振幅が常識範囲に収まりますので恐怖感はないしラウドスピーカーを壊すリスクもゼロです。
『バグパイプ吹きのシュヴァンダ』はワイドレンジなラウドスピーカーを破壊しに掛かります。
有名なJBL-4344と拙宅のANDROMEDAを比べてみます。
実例をご覧いただけば「ヤバい」という感想について理解が進むかと思います。

4344の周波数特性とそのときの変移量です。20Hzで1.3mm、10Hzで2.5mmといったところ(2.83Vでの値)。問題ないですね、余裕綽々です。なぜなら4344は超低域が再生できないからです。(40Hz付近からロールオフ開始)

こちらは拙宅のANDROMEDAの周波数特性とそのときの変移量です。Excursionは20Hzでは4mm。10Hzでは12mm以上にも達します。これは、再生できているからこそ、この変移量になってしまうのです。これは聴いている最中に「うわっ、壊れる!!」と恐怖感に駆られるレベルです。Xbassは10Hzが印加されると、4344のx5倍もの変移量リスクに晒されています。だからごく一部の特殊なソースで危機感を感じるのです。JBL4344は恐怖感もリスクも感じない。なぜなら、再生できていないから壊されるリスクもゼロだし恐怖も感じない。
どちらがいいんでしょうね?(笑) 破壊のリスクがなく、超低音は聴こえないけど安心して聴けるラウドスピーカー。ワイドレンジだけど、いつも冷や冷やしながら聴き、音量も上げられないラウドスピーカー。私は後者が好きでそちらを選んだというだけなんです。
ちょっと脱線しましたが、XLOのラストトラック、いかがでしたか。これは試金石かつ踏み絵です。これが安全に再生できる・または聴いていても何も感じないラウドスピーカーというのはナローレンジという証です。
- XLOのラストトラックはワイドレンジなラウドスピーカーを破壊する
- XLOのラストトラックはナローレンジなラウドスピーカーならまったく壊さない

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