×

KT-8300というFMチューナーが到着し、前稿ではFM波の感度向上施策が成功。音質もUPしました。
しかし、大本命はFMトランスミッターと繋げて基本特性を測定したり、レトロ感な音質になるのかを検証するところです。クルマでなら動くトランスミッターを家庭内でも動くようにしないといけません。

シガーのままDC電源へ繋ぐ

ルーター用の12V電源が余っていたのでこれを使ってみます~。

シガーソケットにDCジャックをハンダ結線。

動作しました。やはりシガープラグ経由なら動作するみたいです。
ということは、やはりこの赤白黒の結線に秘密があるのでは。
テスターで電位を当たって、理由がはっきりしました。

<白>— +12V

<赤>— +5V

<黒>— GND

やれやれ、これじゃあ動かなくて当然です。(なんで初回は起動したのだろう)
なんと、白が+12Vだったとは。そして、赤はシガープラグ内部で生成された5Vが給電されている。どっちも給電しているということはどっちも回路へ使われていると考えた方が良さそう。

ということで、シガープラグ込みで使うことにキマりです。

結線を整えて

現在は仮配線のためバラケーブルがむき出しで危険な上に気持ち悪いです。
きちんとスリーブを被せてはんだ付けし直します。

よいしょと。出来ました。
最初から切らなければ良かったねと。

外部電源とトランスミッタのセッティングが終わりました。

いよいよ動作開始ぃ。

こんな感じで、FMトランスミッターとFMアンテナは近接なので、感度サイコーです。
このとき、チューナーのSIGNALメーターは[5]でした。このメーターはどんな局でも条件でも[5]より上にいかないので、5で振り切れていると見て良さそう。

今回のFMトランスミッターは、どうやらこの商品らしいです。

https://item.rakuten.co.jp/worldshop01/mg1204-25a/

Bluetoothは音が悪いですが、一応5.0のEDRという上位規格。
なのでまずはBluetooth経由で視聴を開始しました。オンラインマニュアルが見つからず操作方法は分からないままですが、勘で操作してペアリングはあっさり成功。

Bluetoothでの試聴記

自宅にストックしている超高音質リソースでの試聴が可能です。
同一ソースでDLNAとFM波の比較試聴もできてしまいますので、もはや誤魔化しようもありません。

早速何曲か聴いてみますが、先週聴いていた局送り出しの音に比べ

 あっ、これは違う。

ということが一聴して判りました。

周波数が上下に広がり、ワイドレンジになった気がする。また、見通しも良くなった気がします。ペラペラだった音が厚みも出てきましたし、現代的な音調に変わった。前稿では「ベールを2~3枚被った感じで」という表現をしましたが、それがベール1~2枚ぐらいに見通せた印象。

ただ・・・それもファーストインプレッションだけ。ヌカ喜びだったんですね。
第一印象は良かったものの、様々なソースで聴き込んで行けば行くほどに、なまじっかレンジや見通しが良くなった分、本質的な悪さが一層あからさまになったカタチです。以前(局出し)はもっとナマクラでぼんやりした音だったので、「七難隠してくれていた」という見方もできそう。

まず第一印象は、「Xbassを切ったような音だな」という事です。

FM局出しの音の頃から超低域不足は同じですが、なまじ十分な低域の力感が出てきたなかで一層顕著に判りました。40Hz未満の最低域が弱いんです。30Hz以下の低域は数百万円のハイエンドスピーカーでもほとんど滅多に出ていない帯域なので、一般的なスピーカーで聞く分には差は解らないはずだし、十分な低域が出ているように聞こえるかも知れません。しかしウチでは顕著に差が出てしまうんです。

それならばと、鬼太鼓座Iの「弓ヶ浜」を聴きます。おお~、立派立派。かなり凄い音がします。ただ、凄い音のさらに下、大気を揺らす威圧感とうねり、風、鼓膜や身体を蹂躙して吐き気を催すような気圧変動に近いような帯域は無くなってしまっています。

低域が十分に収納されたソースでは顕著ですが、普通のソースでも雰囲気の恐怖感がなくなりアッサリ味になるので違いは大きいです

Sophie MilmanとNorah Jones

もっとダメダメで、馬脚をあらわしたのは女性ヴォーカル。
どなたの声にも付帯音というか、妙な歪感を纏うんです(元から歪みの多い系では気付けないかも知れません)。まるで全員コロナ明けで喉を壊したかのようにイガらっぽい。聴いていて不快になります。彼女はこんな声じゃないぞ。この歪感はいったん耳に付くと何にでも付帯して聴こえ、音楽を台無しにしているように感じ始めました。こうなると総合採点も一挙に辛くなります。高域が伸びてない局送りの音では分からなかったが、トランスミッターで高域感が伸びた分、顕著に粗が分かるようになりました。

BolcomのSymphony No.4
続いてpppがポイントなこれを聴きました。
音場感/ステージングが全くダメですね。透明感がないためです。空間が見通せない、現れない。なにより微弱な楽音が全部無くなってしまいます。だからステージの雰囲気を形成していた微弱な空間音も消し飛んで当然か?
聴こえてたはずの物が消失してしまう。POPS系でもダメさは判りますが、こういう再生の難しいクラシックは壊滅的でした。

高域が伸びたといっても本当に伸び切ったわけではなくまた、透明度が悪くむしろ弊害感があります。汚い音のトゥイーターを追加した感じかしら。

  • 音楽信号が周波数変調されて、帯域制限もされる
  • 周波数変調された信号が電波で飛ぶ
  • 飛んだ電波をアンテナが受ける
  • 不要帯域をフィルタリングする
  • 周波数→振幅変調してオーディオ帯域へと復調する
  • スプリットしてモノラル信号をステレオに戻す
  • (バッファして出力する)

このような複雑な変復調プロセスを経て、音楽信号も大きく劣化が見込まれます。又そんな複雑なプロセスだからこそ、チューナーの品質/価格帯で性能に大差が出そうというのも容易に頷けます。

FM局送り出しの音と、FMトランスミッターからの音。
私ならば、FM局送り出しの方を選びます。なぜかというと、鈍いけど嫌な音は少ないからです。

FM局送り出し

おっとりして性格の良いおばちゃん。仕事の能力はボチボチだが、話していると癒やされる。

FMトランスミッター:Bluetooth版

イライラ系おじちゃん。仕事の能力はおばちゃんよりも上で機敏だが、常に怒っており、周囲に毒を吐き散らしている。上記の所感はチューナーの悪さとは限らず、このトランスミッターが音質を左右している可能性もあります。

試しにまた局送りの方の同軸ケーブルに挿し替えして注意深く聞いてみると、さきほどの高域の歪感、付帯音は局の音の方にもまとわりついていることが判りました。高域が鮮明になったことで付帯音も顕著になったかたちです。

まとめ:

ウチのシステムの中にあって、このFMチューナーの音質を活かそうとするのは厳しい。現段階の判断。
局送り出しの柔らかな音質には魅力もあるが、この音質レベルだったら局が膨大なインターネットラジオでもいいかな、というのが結論です。

次回、

・非Bluetooth、microSDなら音質は改善するのか

・系の周波数応答を見てみよう

にチャレンジします。

APPENDIX:聴力劣化

ところで、長時間に及ぶ試聴時で、明らかにチューナーからと思われるキーキーした雑音が気になりはじめました。
まさかこれ・・・MPX(マルチプレクサ信号)が聴こえてるのか??
俺の齢で、まさかだよな。でも、MPXFonやMONOにすると音量が下がるんです。(ゼロにはならない)

もしやと思い・・・本当に久しぶり、純サイン波による高域聴力テストを実施しました。
・・・残念ながら19kHzはもう、聴こえない。当たり前だ! ただ、MPXは純サイン波ではなく意外に漏洩帯域が広く、ビートダウンなどして周辺帯域にも悪さしているのではないかなと想像しました。だってずっとキーキーがダダ漏れしてるんだもの。もちろん、USBやDLNAやアナログディスクではそんな音は存在しません。

試験結果。いま私がクッキリ鮮明大音量に聴こえるのは15000Hzまで
16000Hzは、音量を上げるかトゥイーターへ近づけば何とか聴こえました。
17000へ行くと・・・もうダメ。なんか聴こえてるようなフンイキはするんだけど、はっきりしません。NGです。嫁は17000Hzでも、近づけば鮮明に聞こえるだと。。。。かなり悔しい!

娘はさすがの高性能、20000Hzでも遠く離れて「うるさい!」と言っています。池袋WGPの若者ヨケですね。
ということで、加齢による性能低下はいかんともしがたいですが、今後も耳を大事にしたいなっと。

投稿者

KeroYon

関連投稿