Upsilonは作りたてでは革がぴんと張っていましたが、部分的にヨレて来ました。もう合成皮革なんて使うもんか!
 さて、Upsilonで音楽鑑賞したファーストインプレです。
微調整していないが、それなりに整った特性になったので、、、かなり長時間聴いてしまいました。
この特性↓サブウーファー(Xbass)を切った状態での視聴です。

出音一発目で驚いたのが、f特通りの低域の豊かさと生生しさ。なかなかです。
最近は、メインスピーカーが失われたので、音楽を聴いていたのはもっぱらTV用に制作したミニスピーカー群。
つまりコレでした: 

これだって、Air Motion型トゥイーターとかトランスミッションラインとか拘った構成に加え、18Hzまで平坦再生できる超小型サブウーファーも加えて、レンジも音質も「それなり」には頑張ってたつもりです。TV音声には役不足なほど。
しかし、それと比較しても、ざっと「3倍は感動できる音」。
鳴り始めたアニメ主題歌

米津玄師 / Kick Back
いきなり鳴り始めたこれ、傍らで聴いていた娘がぼそっと一言、
「えええ?本当はこういう曲だったの?」
素人のこの一言が、全てを表しています。
曲そのものが変わったのでは と感じるくらいの、情報量の違いとインパクトはあったようすで。
 

闊達で、生々しく生気に溢れた音。
それでいて、癖らしい癖はあまりなく、また刺激的な音は一切出しません。
全体的に温度感や湿度感は高めです。 
低域はf特のとおりで実に豊かで締りもよく、良く弾む低音。
以前まったく同じドライバーで制作したバッフル型のお色楕円(オイロダエン)とはぜーんぜん、違う音です。
ずっとHi-Fi調。ただし、これは一昔前のHi-Fi調かな。現代的ではありません。
こうしたヴィンテージには、オープンバッフルを猛烈に鳴らして演色した方が好適と、勝手な思い込みでしたが、そうでもないみたい。54mmの強靭なフロントバッフルでガチガチに固められたエンクロージャーから、時代を跳躍したかのような小気味よい音が出てきます。バッフル型も銘木でも使えばまた違うのかもしれませんけど?
例えは悪いけどこれは80年代の国産大口径ブックシェルフ全盛のような低域? ボン、ドスがやや強調。かってのメインシステムのような春風のような低域ではありません。しかしこれはこれで、気持ち良く聴けてしまいますね。
曖昧な表現をすると、オーディオ寄りよりも音楽的な音、音楽鑑賞に向いた音なんだと思う。音質よりも音楽に耳が行ってしまう。だからいつまでも聴いていられます。実際、流しっぱなしにしていますが、珍しく家人からクレームなし。(むしろ聴いてる?なんだったら歌ってる?)
弱点/欠陥をほじくり返してみると、:
- 音色はいいが、クールで冷徹な超高分解能ではない。
 - トゥイーターはシャープでそれなりの空気感もあるが、分解能はコストなりの限界がある。
 - 最高域は伸びが足りない。
 - したがって、広大深淵で透明な音場空間は現れない。
 - 雰囲気は実によいが、いわゆるギョッとするほどのピンポイントの定位や実存感は得られない。
 - 中高域・・・フルレンジコーンの分割振動が始まるか位の帯域で、カゼをひいたハスキーのようなガサゴソした質感を感じることがある。(これが妖艶な味付けをしているのも事実)
 - 低音は現代的Hi-Fiに比べると、若干ボンつくところがあって、曲によっては古臭く感じたり、単調に思えたりする。ようするに紙臭い?
 
つまり、オーディオ的な快感を味わうシステムではないということ、、、でしょうか。でも一方で、もうこれでアガリでもいいや。とばかり、鼻の下伸ばしてずーっと片っ端から聴いちゃってるジブンが居ます。
 

Vangelis / Chariots of Fire / Tr6: Jerusalem
最初に鳴らしたのはコレだったです。
広大な空間感とスケール感。
音の生気、柔らかさ。オルガンの豊かさ。
ええぇ?ヴィンテージでパイプオルガンまともに鳴るの?
 

Oscars Motettkor / Cantate Domino / Tr9 : Oscars Motettkor
もしかしてオルガン鳴るの? ・・・繋がりで本物引っ張り出したのがコレ。
カンターテ・ドミノなんて、最低域40Hz程度でしょ?楽勝でしょう。ウン、オルガン問題なし。これも良く鳴ります。ただし、暗騒音が駄目。これに入ってる暗騒音はサブウーファーをONしないと出ませんね。

Jean Gillow / The Great Organ of St. Eustache / Tr2: Grigny: Recit De Tierce En Taille
さすがにコレはあかんじゃろ? ・・・ウン、あかん。
ドリアンは鳴りません。別物です。ここでたまらず、SW Onしてみる。一応、異次元の再生音となります。傍らを風が吹き始める。
一部の変態ソースを除き、サブウーファーはいりません。引き続きOFFで視聴をすすめます。

MANGER AUDIO Referenz CD / Tr2 : Der Himmel deckt…
繊細にして生々しい、超ヴィヴィッド。細かい音を非常によく拾います。
TV用スピーカーでは、全てが埋没していたのだと分かります。ドアの開閉のショックも、人声も、凄いインパクトです。ただ、ダイアフラムがちょっと負けちゃってる/よれちゃってる感じがしますね。
 

Jennifer Warnes / Famous Blue Raincoat / Tr1 : First We Take Manhattan
いやもう、Rock、Pops系は全然問題ないですね。てか、ずっとこれでずっと聴いていたい。
 

TLB / Triple Cross / Tr1 : La Plaine
Jazz系の超Hi-Fiということで、コレ。
ぜんぜん問題ないです。繊細で動的で、生生しい。ピアノの打鍵が少し誇張されすぎか? でもベースラインはたまらんです。だがしかし、この盤はどんなスピーカーで聴いてもそれなりに良く聴こえるから、反則かな。
ここでまたサブウーファーもON。空間感がまたまた一変します。
以上。自画自賛の嵐でした。ま、ネット上の官能的音質評価なんて、全部「自画自賛の嵐」ですからね(笑)こんなところでしょ。ところでまだフルオケは聴けていない、BrucknerやMahlerも鳴らしたいな。どんな音で鳴るんだろう?
しかしこれで満足していてはいけません。まだまだあと3台、随時、頑張って調整していきます。後の3台は、Upsilonのような手抜き調整は許されません。Upsilon, Gamma以外は神経質ですから。
Upsilonが一番アタリで、ほかが全部ハズレという可能性も出てきました。・・・?