ウィングがないまま、性急に・簡易的な・音楽視聴。開始です。

まずは、トゥイーターもサブウーファーも無し、GREATZのフルレンジのみの音。
期待(妄想)していたほど良いとは感じなくて、悪口雑言が続きます。思いつくままに感想を書いてみると、
・紙臭い、ガサゴソ
・個性的≒癖がある
・f特は中高域で凸凹感
・口径の割に高域はよく出ているが
・本当の伸びでなく、癖と誇張で聴かせるタイプ
・低域はウィング抜きの恨みはあるが、まるで出ない
・ドスドスではなくトントン
・ブンブンではなくクンクン
・しかし不思議に細身ではなく、コクがあって脂身もある
・微小信号に強い感じ、細かい音や気配がよく出るが、
・忠実なのではなく、誇張で反応がよく感じるタイプ
・中域の特定帯域にコーコーという癖が付きまとう
こうして書くと、万事メタメタな感じですが。救いようがあるんです、良いところも沢山ある。
まず、能率がメチャメチャ高いし高感度な感じ、ボリウムを絞っても音が明瞭で、細かい気配がよく出る感じ。ただし、インパルス応答的な正しい意味での「ハイスピード」「忠実度」という意味での繊細さでは勿論なく、癖があるので結果としてそんなふうに聞こえる。
曖昧な表現としては「味がある」となります。無味乾燥でなく、味が濃いので、ハマれば、つまりソースの相性が良いと、「おっこれは?」という。ちょっと聞いたことの無いような興奮できる音が出ます。スピーカーが音楽に、調味料的に雰囲気を足しちゃうので、この雰囲気がタマラナイというのも頷けるところがある。
しかしこれに、ウルトラ・ウーファーを加えると、相当に大化けします。サブウーファーから低域が出ているという感覚は全くなく、この楕円コーンから物凄い低域が再生されるように錯覚します。全体として骨格がしっかりして堂々とした/聴き応えのある再生音に変身し、このフルレンジの良さがようやく少し、出てきた感じ。

これに更に、今回新規で追加したホーントゥイーターを追加すると、さらに様相一変。まったく別物の再生音となりました。
まず、一番気になっていた「紙臭さ」が完全ではないにせよ、相当に軽減されました。本物の繊細感が出てきます。フラットを狙うのではなく、若干リップを誇張するようなチューニングをしているので、そのせいか女性ヴォーカルがやたらと艶かしく、伸長された低域と相まって実に妖艶でなまめかしい再生音です。
妖艶で、それでいて非常に爽やか。
それにしても、100dBを超えるホーンとアッテネーター無しに全く違和感なくつながってしまう、このフルレンジの能率には舌を巻きますね。100はないけど、95以上はあるのかな。
やたらと低域不足なのは、バッフル面積不足もあるけれど、元々密閉や後面開放向きであって、プレーンバッフルには不向きなドライバーなのかもしれません。メーカー作例でも密閉や、背面プレッシャーを掛けた准後面開放がほとんどです。
また、この紙臭さ。昔のFOSTEXなどのやかましさを伴う紙臭さとはまた違う、まさに、紙臭いとはこういう音か。ボール紙や画用紙をドライバーの先でこするとゴソゴソ、ゾゾゾと音がしますよね。それと全く等質の雑音が常に再生音につきまとっている感じなのです。
想像では、このテの大口径ドライバーは全部こんな感じなんじゃないかと邪推しているのですが、愛用者の方々はこの癖がむしろ魅力的で、気にならない個性ということなんでしょうか?

200Hz程度でドスンとカットしてしまうと、この癖も軽減できるかもしれないのですが、だったらこのドライバーを使う意義も全くなくなってしまう。
まあ、このスピーカーについては設置、ドライバー交換、ネットワーク調整、球で鳴らしてみたりなど、まだまだチャレンジすべきことが多数残っていますので、しばらくは色々と屠ってみるつもりです。