オーディオのテスト、比較視聴にも使えるA級録音をご紹介するシリーズ。
今回は使い古されたマンガーのテストディスクです。

Musik Wie Von Einem Anderen Stern -Manger Test CD-
2000年リリース。有名なマンガーのテストディスクです。
えっ・・・もしかしてこれをご存知ない!? オーディオをやっているのにこれをご存知ない。それはちょっとした問題です。評価ディスクは選択肢があればあるだけ良くて、オーディオファイルの端くれとしてこれが欠損しているのは問題です。
これって非売品なのかな?と思ったら、今でも普通に買えるじゃないですか。
勿論ストリーミングでは配信されていないものです。入手できるのなら買えるうちに買っておいた方が良いと思いますね。
このディスクって、BISとかKlavier RecordsとかLivingston Taylerとか有明処が普通に入っているんですよ。
つまり、単なる寄せ集めってこと? その通りなんです。その辺の優秀録音を引っ掻き集めてきて収録しただけのオムニバス・テストディスクなんです。だったら各曲をバラで買い集めても良くね? その通りなんです。ただ、このディスクにはカタログショッピング的な良さがあると思っています。例えば、私はこのディスクを通じてLivingston Taylerも知りましたしO-Zone Percussionも知りました。視野やジャンルや知見が広がるんですよね。

マンガー博士は惜しまれつつ2016年に87歳で逝去されてしまいました。今ではその娘さんが、過去の事業や技術を引き継いでおられるそうです。しかしこのディスクを通じて当時のマンガー博士がどんな音質や音場を大切にされていたのか、その指向性までが伝わるのですよね。バラバラのリソースを寄せ集めているだけなのに一貫性があるのです。それだけでも価値のある一枚だったと思います。今でも一線でテストに使える高品位なリソース群です。
このディスク一枚だけで、「優秀なオーディオソースのせとり」みたいな役割も果たしてくれるんです。
もちろんバラしでもここに収録されたソースを買い集めて完全な蒐集は可能。ただ、単一のアルバムで同じ音質や曲調が続くのは意外に退屈で飽きてしまうもの。その点、このディスクは音質の一貫性は保ちつつも様々なジャンル・特質のソースを一堂に聴くことができてとても便利なのです。オーディオファイルの端くれとして持っておいて損はないでしょう。
中でもTrk.2とTrk.15は白眉で、私もそれらをしょっちゅうテストに使っています。Trk2は特殊なものだから他では入手できないんじゃないかな。
それぞれ、人工的 と ナチュラル 両極端で究極的に透明繊細豪快な音響空間を堪能できます。
前者はラジオドラマトラックからの抜粋。後者はラテンパーカッション・モダンジャズからの抜粋です。
Trk.15 ラストトラックはこのディスクの中でも白眉で、そこだけ聴きたいのであれば下記音源も有名で単独入手可能。すごい録音です、ただ、一貫して同じ音楽なので、これ1枚を通して聴けば退屈かもしれません。
退屈ではないのがこのManger Test Diskの良さなのでしょう。
