KT-8300というFMチューナーが到着しました。
前稿では、FMトランスミッタの利用がずっこけてしまいました。
そこで今回は、アンテナ感度を上げて性能の底上げにチャレンジします。
まず、ウチには簡易的な屋内アンテナしか無かったのです。
これ。

満足な感度があったのは一局だけ。ほかは大小ゲイン不足でした。ゲイン不足では音質もS/Nが悪くなります。FMは、アンテナの受信感度や品質がすべてと伺ったこともある。これでは正しい音質評価したことにはなりませんね?
そこで、ある仮説を立てて実験をしてみることにしました。
ある仮説とは

ウチのテレビのスキームはこんな感じです。
光ケーブルが宅内に引き込まれ、終端装置から地デジなどを受診するためのUHF信号が出ています。このケーブルは、TVや録画機に直接引き込めるので、一般的な電波受信信号と同じ信号が流れていると推定されます。
仮説とは、
もしかしてこのTV信号線にFM帯域も搬送されているのではないか?
ということです。そこで、

スプリッタを買って、FM信号を取り出すことにチャレンジしました。ダメ元って奴です。
ONU直下にスプリッタを設置
本当はF接の加工のようすもリポートしようと思ったのですけどね。ケーブル制作中の写真が全部パーになったので、結果だけ。

ウチのルーター室です。
ONU、プロバイダ支給のルーター、NASが2台。ここ以外に外部に無線LANルーター1台、中継機が1台ですべてです。
このONU直下の映像信号出力に、スプリッタをぶら下げて、FMチューナーへ分岐してみました。

これが分配器。単なる2分岐ではなくて、UHF帯とFM帯を分離する機能を持っています。
さぁ、これでFM信号が受かるかな。感度は上がるでしょうか?
実験結果は
おおおおおおおお~
大幅感度アップです。仮説ズバリ。
想像どおり、この信号ラインにはFM波も乗っていました!

これまで、SIGNALレベルが5だったのは一局だけだったのですが、全ての局でレベルが5になりました。S/Nも大幅向上。
受診状態も実に安定しています。これは、立派な8素子を戸外に立てたのと同等と言っても良いのではないでしょうか?
ウチの屋根にはアンテナと呼べるものは1本も立っていません。
アンテナを立てることなく、BS/CS/地上波はもちろんのこと、FMも良好受診に成功しました。
ただし、エクスキューズもありましたね。
これまで、十分なレベルではないものの屋内アンテナでは受かっていた地方局が、一切受けられなくなりました。局が少なくなったカタチです。ケーブルテレビならぬ、ケーブルFMになったようなものですから、東京で受かるべき局以外の信号は重畳搬送されていないのでしょう。
ケーブルFMで受けられるのは、確認したかぎり、ここだけ。
80.0: TOKYO FM
81.3: J-WAVE
82.5: NHK-FM 東京
89.7: Inter FM
アンテナなら当然受けられるであろう、これまで聞けていたNACK5やFMヨコハマも全滅です。さ、寂しい。。。まぁ、いいんですけどね。FMを聞く習慣はないし。本気でラジオ番組を聴きたいだけならインターネットラジオでも聞けばいいでしょうしね。
ところで、FM受信ラインをケーブルに置き換えてしまったということは、FMトランスミッタを使った実験はできなくなります。このような使い分けになります:
a)FM曲を聴きたいとき:
→今回のケーブルFMをつなぐ
b)トランスミッタを使って性能検証するとき:
→屋内アンテナをつなぐ
面倒臭いですが、両方とも最高性能を狙うならつなぎかえをするしかありません。
ケーブルFMになって感度上昇したから、本質的な音質もUPしたかも確認してみたいと思います。
音質を聴いてみるべ
パカパカ切り替えながら飛び火視聴。
視聴に用いたのは、MEMOした限りではこんなセトリ:
- ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」:エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団
- リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲:ルドルフ・ケンペ指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
- DAOKO×米津玄師:打上花火
- スピッツ:美しい鰭
- スティックス:フーリング・ユアセルフ
- 椎名林檎:長く短い祭
- 十明:夜明けのあなたへ
色々聴いてるけど曲名がわからん。S/Nが向上したおかげでかなり印象は良くなりました。が、もともと音質に感じていた限界点はほぼそのままでした。
所感を簡潔にまとめると:
- 安心できるような/聞き流せるヌルい音。
- 帯域はグンと狭くなり、カマボコを感じる。
- 音場は狭く、奥行も浅い。
- 定位も茫洋としており、もうひとつはっきりしない。
- 鮮度や切れ味は5~6歩後退だが、嫌な音もしない。
- fレンジだけでなくDレンジが狭く感じる。
- 全体としてベールを2~3枚被った感じで全体像も霧に霞む。
- やかましめのJ-POPではこのベールが有効な演色として働く場合もある。
- 普段聴いている音を巨大本格システムとすれば、FMはミニコンポ、位の違いはある。
試しにこのFMを聴いていた耳で、突然いつものDLNA再生に切り替えると、あまりの格差に愕然とします。録音の質の違いではなく、違う装置で聴いてる感じです。また、ケンペのアルプス交響曲をAmazonMusicHDで探して聴いてみましたが、(ふだん音が悪いな~と感じているAmazonと比べてさえも、)まるで別物でした。

ということで、少なくともこのチューナーKT-8300で聴ける、FMオンエアの音質は、「あえて音質制限した」「古臭い」「レトロ臭」満載の音質であると判断しました。
この旧い昭和チューナーを通せばまさに「レトロ郷愁再生」もできそうなのですが…。これがFMトランスミッタを通すと、どのように化けるのか?現代的な音質に変容してしまうのだろうか?期待と不安でワクワクしています。